第四十五集 敵ニャ味方ニャ!? 謎の首長男!
このお話から第二章開始です。
タイトル変更しました。
突然ですみません。
よろしくお願いします。
「あー、くだらねえ。
何が獅子爪牙拳だ。けっ!」
フェリダエの一番北側にある梅花拳の道場。
その道場の庭を箒で掃きながら、パドは車座になって酒を飲み悪態をつく師兄の姿を見ていた。
〈もう何日も鍛錬をしていない……〉
フェリダエ武獣研鑽会に参加した三名の師兄は、研鑽会について多くは語らなかった。
だがそれ以来、師兄達は鍛錬に身が入らないようだった。
そして、人を羨んだり妬んだりする言動が多く見られるようになった。
元々少し意地の悪いところはあった。
それでも、これ程他人に対してあれこれ言うことは無かった。
「ライだか、ワンフーだか知らねーけどよ。」
チヤホヤされやがって……。
俺たちだってちょっと調子が悪かっただけだ」
「そうだ!」
「なぁ兄弟達よ、改めて梅花拳の強さをフェリダエに知らしめてやろうか?」
道場主のメイシュの言葉に、パドは箒を掃く手を止めた。
「獅子爪牙拳に奇襲をかけてやるのさ。
リオンだライだといっても、寝込みを襲えばなんてこともない。
それに奴らは今浮かれてる。
なーに、簡単な事さ」
耳を寄せ合い、声を潜めているつもりなのかもしれないが、その下卑た声は庭のパドにもハッキリと聞こえた。
「もし、それが成功したら……」
「そりゃ俺たち梅花拳の名がフェリダエ、いや、この大陸中に轟くさ!
梅花拳こそがフェリダエの盟主となるのだ!」
「おお!」
〈そんなバカな!〉
パドは持っていた箒を投げ捨て、騒ぎ立てる師兄達の輪に飛び込み、ガバッと両手両膝を床につけた。
無駄だとはわかっていた。
だが、暴走する師兄を黙って見ているわけにもいかなかった。
「メイシュ様! 何を恐ろしい事を仰っているのです!
我々梅花拳はフェリダエ北の国境を任された誇り高き流派です。
道を誤ってはいけません!」
「黙れ!」
メイシュは床に這うパドを足蹴にした。
「ぐはぁっ!」
「お前のような未熟者が道を語るでない!」
メイシュが今度はパドの腹を蹴り上げた。
パドはその勢いで道場の床をゴロゴロと転がった。
「な、なりません……」
腹這いのまま手だけ伸ばし、なんとか引き留めようとするパド。
だがその時、パドの目に何かが映った。
先程まで自分がいた庭で、箒を持って立っている何者かの姿。
パドがその者を見た時に、感じた事はたった一つだった。
〈く、首が長い!〉
「! 何者だ!」
メイシュ達もその突然の訪問者に気が付いた。
道場から飛び出した師兄たちがその者を取り囲む。
「何だこいつ、おかしな首だぜ」
メイシュがニヤニヤしながら謎の訪問者を眺める。
対して訪問者は、メイシュをその長い首の上から見下ろした。
「貴様ら、先程何やら楽しそうに話していたが、何の話だ?」
訪問者の質問を受け、師兄たちが目を見合わせる。
メイシュ同様にいやらしい笑みを浮かべていた。
「何って、俺たちがこの国の主になってやろうって話よ。
何だお前? 俺たちの仲間になりてぇのか?
体の色味は似てるな。
お前、武獣家か?」
「我が名は"超獣拳ジラ"。
やはりこの様な輩が湧いてきたか……。
ファン様の懸念された事が現実に」
ジラと名乗った男が、苛立った目をメイシュ達に向け、持っていた箒を投げ捨てた。
「何だその目は!
おい! やっちまえ!」
「首角鞭撃!」
メイシュ達が飛び掛かかる。
するとジラは、その首を鞭の様にしならせながら、もの凄い速さでぶんぶんと振り回した。
一瞬の出来事だった。
パドの眼の前で、梅花拳の師兄達は全員まるで虫のように、その長くて太い首によって撃ち落とされた。
「ガハッ……」
「メイシュ様!」
パドにとってメイシュの強さは憧れだった。
研鑽会の結果こそ振るわなかった様だが、それでもメイシュの強さを疑うことはなかった。
そのメイシュが一撃であっさりとやられてしまった。
武獣家の世界、上には上がいるとは分かっていたつもりだったが、それでも目の当たりにすると俄には信じられなかった。
「脆い、脆すぎる。
これで国取りとは……。
欲をかくからこうなる。
何も知らず、お山の大将でいれば幸せだったのだ」
地面で這いつくばるメイシュ達に、怒りや憐れみなどが混ざった複雑な視線を送るジラ。
すると今度は道場にも目を向けた。
パドは覚悟を決めた。
自分もこれで終わりかと。
「そんな所で這いつくばってお前は何をしている。
まぁよい。
お前もこの者等と同じように……!」
「扇風尾氷弾!」
そう声が聞こえると、突然ジラに向かって、氷の塊が雨のように降り注いだ。
だがジラは飛んでくる氷を全てその拳で叩き割った。
突然の出来事にパドは現状を把握出来なかった。
「何者だ……」
ジラが空を見上げると、そこには尻尾を回して空に浮かんでいる、全身真っ白の何者かがいた。
「風雪尾扇!」
すると今度は反対方向から吹雪が巻き起こってきた。
吹雪にさらされジラの足元が凍る。
「ぬぅ!」
ジラは足を動かそうとしたが、容易には抜け出せそうにはなかった。
その隙に、よく似た真っ白な二人がパドの下にやって来た。
ただ髪の長さが違うお陰で、見分ける事は可能だった。
「逃げます」
「え?」
「待て!」
パドが戸惑っていると、髪の長い方がパドを肩に担ぎ上げて走り出した。
「に、逃げるって、一体何処へ……」
肩に担がれたまま問いかけるパド。
その問いには髪の短い方が、厳しい表情で走りながら答えた。
「獅子爪牙拳、リオン様の下へ……」
読んでいただきありがとうございます。
第二章開始です!
超獣拳ジラ。お察しの通りキリンです。
梅花拳は豹です。
タイトルですが、「ダセェな!」と思った方はお知らせください。
元に戻したり、また変えたりします。
よろしくお願いします。
昨日もまた100pv行きました!
ありがとうございます!




