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ネコジャRUSH!   作者: ジョン・道
第一章 転移と出会い〜フェリダエ武獣研鑽会まで
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第三十九集 まさかまさかの援軍ニャ!


「虎皇拳ワンフー!」


 進行役のリースが呼び込むと、闘技場にワンフーが現れた。

 会場は割れんばかりの歓声に包まれた。


「ワンフーさん、スゴい人気!」


「地元ってのもあるし、試合も面白いからなー!」


 僕らは闘技場の下、待機場所となっている天幕の中にいた。

 今までは自身の試合が近づくまでは観客席にいてもよかった。

 だが八強ともなると、初戦から闘技場の側で待機だ。

 アムやフー、運営のトラ達も近くにいる。

 審判席にはリオンが座っていた。

 八強からはアムに代わってリオンが担当するみたいだ。


「雪尾拳ハク!」


 髪も道着も全身真っ白な、ヒト型の武獣家が美しい所作で闘技場へと上がった。

 妖艶とでもいうのだろうか、妙に引きつける魅力があった。


「はじめ!」


 リースの合図で試合が始まると同時に、ハクがいきなり宙へと飛び上がった。

 ハクは、その白くて太い尾を扇風機の様に高速で回し、なんとそこから拳大の氷の塊を飛ばした。


扇風尾氷弾せんぷうびひょうだん!」


「ええー!」


「どうなってるニャー!」


 流石のワンフーもこれには面を喰らった様だった。

 慌てて両膝を着き背中を丸め、亀が甲羅に入った様な体勢になる。

 そこに氷塊が降り注いだが、ワンフーは底なしの体力でその攻撃を受けきった。


「耐えたでごわすー」


 防御の姿勢を解き、所々で流血しながらも立ち上がるワンフー。

 それを見たハクは構えを解き、不意に口を開き宣言した。


「降参です」


「な、何故でごわすー!」


 ワンフーは抗議したが、ハクはリオンの下に行き事情を説明した。

 リオンはハクの説明を聞いてそれをリースに伝えた。


「えー、ハク選手。

 全獣力を込め、自身最高の技を放ったそうです。

 耐え切られてしまえば、最早闘う力は残っていないとの事。

 以上を持ちまして、勝者ワンフー!」


 未だ騒然とする会場。

 頭を抱えているワンフーに対し、ハクは抱拳礼をしてさっさと闘技場を降りる。

 ハクはにこやかに僕らの側を通り過ぎて行った。


「あんな事もあるんですね……」


「ワンフーとの力の差を考えて、初めから決めてたのか……。

 アタシの主義ではねーけど、それも一つのやり方かもな」


 リバの言葉に考えさせられながら、去っていくハクの後ろ姿を眺める。

 そうこうしていると闘技場にリースが再び現れた。

 次の準備が整ったのだろうか?

 という事はつまり……。


「えー、未だ驚きが冷めやらぬところではありますが、続きまして本日の第二試合を行います!」


 リースが言うと、観客席がどっと湧いた。

 見ている人達も仕切り直しって感じなのだろうか。


「雷下咬拳リュンピョウ!」


 呼び込まれたリュンピョウが闘技場へと上がる。

 ケモノ型の武獣家で、ゲパと似た印象を受ける。

 ただ、体中にある雲形の斑紋が特徴的で、それが他の武獣家と一線を画していた。

 思ったより体は小さくて、タマより少し大きいくらいだった。


「主催者推薦タマ!」


 タマの名が呼ばれると、今までで一番の大歓声が起きた。


「ひゅー! やるじゃんタマ!」


「ニャんと!」


「タマ! スゴい人気!」 


 レサも珍しく目を丸くしていた。

 大人気のタマだったが、その体には痛々しい包帯が何重にも巻かれていた。

 獣力や体力も、多分まだ完全には戻っていないはずだった。


「タマ……」


 心配そうに声をかけると、タマはニコっと笑って肉球を差し出してきた。


「大丈夫ニャ!

 武獣家として今やれる事をやるだけニャ!」


 タマの肉球に掌を合わせるいつもの儀式だ。

 僕に続いてレサ、そしてリバとゲパも肉球を合わせた。

 タマが闘技場へと姿を現すと、観客席から聞き覚えのある大きな声が聞こえてきた。


「ターマーちゃーん!!」


 慌てて天幕を出て観客席を見る。

 するとそこにいたのはティグ、そしてその隣にいたのは、忍者の格好をしたヒト型チンパンジー武獣家、黒猩拳ジーショウだった。


「ターマちゃーん!」


「ニャニャ!

 ジーショウかニャ!?」


 タマも観客席を見て驚いていた。

 だが、驚くのはまだ早かった。

 "タマ♡ちゃん ガンバレ"と書かれた横長の旗をティグとジーショウが二人で持っていた。

 その旗の後ろに隠れて、何か黒い大きな影が観客席に座っていた。


「あ、あれは、まさか……」


「見えないゴリ!!」


「ガォー!」

「うきょー!」


 黒い影が旗を真っ二つに豪快に破った。

 そうして現れたのは、隣国エープの国主にして、大猩拳の主ゴウリそのひとだった。


「ゴ、ゴウリー!!」


「師匠!!」


「うそ……」


 まさかのゴウリの登場に、開いた口が塞がらない僕ら。

 リバは例の如く、小さくなってゲパの後ろに隠れた。

 こんな時でも胸がキュンとする可愛さだった。

 少し脱線仕掛けた僕だったが、闘技場にアムが現れた事で正気に戻った。

 アムはその持ち前の大声で、会場全体に向けて話し始めた。


「試合の直前にごめんなさい。

 突然だけど、会場のみんなに来賓のお客様を紹介するわ!

 エープの国主、ゴウリちゃんよ!」


〈アムさんが呼んだのか……。

 そういえばティグさんの姿、しばらく見てなかったな〉

 

 観客席で何十個もの椅子を占拠して座るゴウリ。

 文字通りの超大物の登場に、観客達は沸きに沸いた。


「儂のことはいいゴリ!

 さっさと試合を始めるゴリ!」


 ゴウリの大声が会場中に響く。

 ゴウリがさっさと試合をと言った事で、闘技場の上へと皆の注目が集まった。

 アムは宙返りで玉座へと戻った。

 改めてリュンピョウとタマの二人きりになった闘技場の上。

 リュンピョウが爽やかに笑いながら口を開いた。


「なんだか色々スゴいですね。

 タマさん大人気だ」


 そう言われたタマは、抱拳礼をしながらペコペコと頭を下げた。


「いや、ホント、お騒がせして申し訳ニャい……」


 リュンピョウが首を横に振る。


「いやいや、賑やかでいいじゃないですか。

 お陰で僕も、いつも以上にやる気が出てきました。

 さっきの試合じゃないけど、初めから全身全霊で行きますよ」


 リュンピョウの全開宣言を聞いて、タマは嬉しそうだった。


「望むところニャ!」

 

「四百年の歴史を誇る雷下咬拳、その一つの到達点をお見せしましょう!」

 

 リュンピョウが抱拳礼をして構える。

 それを見たタマも、ゆっくりとした動作で半身になって構えた。


「身に余る光栄だニャ!」


読んでいただきありがとうございます。


ゴウリ達を出すつもりはなかったんですけど、やっぱりタマの闘いを見てほしいと思っちゃいました。


時間と距離的に無理がある気がしますが……。

そこはゴウリの超獣的な力でねじ伏せてもらいます。


次話、タマが怪我をおして頑張ります。


よろしくお願いします。



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