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ネコジャRUSH!   作者: ジョン・道
第一章 転移と出会い〜フェリダエ武獣研鑽会まで
34/89

第三十三集 ついに開始ニャ! フェリダエ武獣研鑽会! 


「はっ!」


「ぬん!」


 いよいよフェリダエ武獣研鑽会が始まった。

 初戦を飾ったのは、虎皇拳から唯一出場しているワンフーだった。

 ちなみにワンフーはフーの弟で、フーに並んで腕が立つらしい。

 初戦でもその力を遺憾なく発揮して、梅花拳の某という豹の武獣家を一蹴した。

 

「ほほー!」


 ワンフーの勝利の雄叫びに、観客席からも大きな声援と拍手が贈られた。

 観客席は満員で、もちろん応援に来た各道場の門下の武獣家達も多かったが、道着を着ていない者もたくさん見られた。

 観客席は初戦から凄い盛り上がりだった。

 

「ワンフーさん、めちゃくちゃ強い!」


「ニャー!」


 僕とタマも豹猟拳の応援団に混ざって、観客席から初戦を見ていた。

 

「ワンフーの奴、また腕を上げたなー!

 もうフーより強ぇーかもなー」


「レベルが高すぎる……。

 留守番してれば良かった」


 ワンフーの圧倒的強さに、ゲパは顔色を失っていた。

 

「おい見ろ! ターチの奴が出てきたぞ!」


 リバが指差す先を見ると、ターチが闘技場に現われたところだった。

 対峙するのは雷下咬拳のスンピョウとかいう武獣家だった。


「スンピョウか。

 うーん……」


 リバが腕を組み考え込む。


「そういえばリバさん達は雷下咬拳と交流があるんでしたね?」


「ああ。

 ターチとスンピョウも手合わせしたことがあるよ。

 その時は互角だったけどな。

 あれからお互いに腕を上げてるだろうし、わかんねーな」


 闘技場の二人が抱拳礼を交わし、試合が始まった。

 先に仕掛けたのはスンピョウだった。


「出た!

 雷下咬拳!」


 空高く飛び上がったスンピョウが読んで字の如く、雷のようにターチに上から襲いかかった。


「空中で加速したニャ!」


 雷となったスンピョウの攻撃をターチが間一髪で躱した。

 その後もスンピョウの雷下咬拳を、ターチが何とか躱すという構図が続いた。

 ただターチも躱してばかりという訳ではなく、躱しばなに攻撃を仕掛ける。

 しかしスンピョウも、すぐに飛び去りスキを見せない。

 一進一退の攻防だったが、ターチが次第にスンピョウの攻撃のタイミングを掴んだようで、落ちてくるスンピョウの雷に合わせてカウンターを仕掛けた。


「ああ! バカ!

 ダメだ!」


 リバが立ち上がり叫んだが遅かった。

 リバが叫んだ時には、スンピョウの牙がターチの肩を完全に捉えていた。


「ぐぉぉぉ!」


「それまで!」


 ターチが膝を着いたところで、アムの野太い声が響いた。

 闘技場のすぐ側にいるなーと思っていたら、審判をやっていたのか。

 

「あれ? ターチさんまだやれるんじゃ?」


 咬まれたターチだったが、肩からは出血もしていない。

 戦闘不能という感じでは無かったので、アムが試合を止めたのは意外だった。


「ありゃ牙に被せを着けてるんだ。

 雷下咬拳みたいな一撃必殺の技は、手合わせの場合は致命傷を与えないように工夫されてるんだ。

 研鑽会に来て、武獣家生命を断たれたんじゃ元も子もないからな。

 でも、本当の戦闘ならあれで終わりさ。

 アムねーちゃんが止めたのも当然だ」


 確かにこの大会は殺し合いじゃない。

 あくまでも互いに研鑽するのが目的だから、その辺の配慮は不可欠だ。

 

「それにしても、ターチさんのカウンターは完璧なタイミングだと思ったニャ!

 ニャンで決まらなかったニャ?」


「うむ……。

 私も完璧だと思った」


 タマとゲパが揃って首を捻る。

 するとリバが、その様子を見て高笑いをした。


「アーハッハッ!

 まだまだだな、お前ら!

 あれはスンピョウが意図的に、技の速度をほんの少しづつ遅くしてたのさ!」

 

「ニャんとー!」


「まさか……」


 タマは目を丸くし、ゲパは口を半開きにして唖然としていた。


「あからさまに遅くしたら、相手にバレるけどな!

 絶妙に技の速度を落した事で、ターチは相手の攻撃に慣れてきたと思っただろうな。

 でもそれはスンピョウの罠さ。

 スンピョウは、ターチの呼吸からカウンターを仕掛けてくるのを感じて、ここぞと最速の雷下咬拳を出してきやがった。

 だからターチのカウンターは一歩遅れたのさ」


「そう……。

 リバ様の言う通り……」


 レサが観客席で立ち上がり、腕を組んで言う。

 風はほとんど吹いていないのに、レサの髪がなびいていた。


「レサ、ズルいニャ」

 

「ズルい」


 僕らにそう言われても、レサは澄ました顔をしていた。

 相変わらずいい度胸をしている。


「それにしてもリバさん、スゴいですね!

 それをここから見抜いたんですか?」


「あったり前だ!

 伊達に道場主やってねーよ!

 アーハッハッハ!」


 僕がそう言うと、リバは腰に手を当てて、改めて高笑いをした。


「あのスンピョウの罠に気付けるようになったら一流だな!

 お前らも精進しろよ!」


「はっ!」

「ニャ!」


 タマとゲパが同時にリバに抱拳礼をする。


「そう……。

 リバ様の言う通り……」


レサがまたしても胸を張って言うと、タマが呆れ顔で言い返した。

 

「レサはリバ様より先に言ったら認めてやるニャ」

 

「それは無理……」


「不正を認めた!」


 それでもレサは何処か偉そうに、観客席の上で腕組みして立っていた。

 そして相変わらず、風も無いのに髪がなびいていた。


〈一体、なぜ……〉


 闘技場ではスンピョウとターチが、お互いの健闘を称え合っていた。


読んでいただきありがとうございます。


ついに開幕しました!

次話はタマの初戦です。


よろしくお願いします。

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