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ネコジャRUSH!   作者: ジョン・道
第一章 転移と出会い〜フェリダエ武獣研鑽会まで
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第三十ニ集 運命の悪戯ニャ!


「えー、皆さん本日はお集まりいただき、ありがとうございます。

 私、虎皇拳のリースと申します。

 これよりフェリダエ武獣研鑽会の抽選会を行いまーす」


 敷き詰められた闘技場の石の上に、フェリダエ中の道場の代表が集まっていた。

 抽選会の司会はリースで、その後ろには大きな勝ち抜き戦の表が置いてあった。

 そしてその横にアムとフーが陣取り、さらにその横には見慣れない武獣家が二名いた。

 一人は座っているのではっきりとは分からないけど、背はかなり高そうだった。

 でも体型はシュッとしていて整っていた。

 青い瞳と、金色の長い髪がキラキラと輝いていて印象的だ。

 気だるそうにしながら、足を組んで爪の手入れをしていた。

 もう一人はこれまた金色の髪で、こちらは短めだった。

 黒い華やかな礼服を着て、背筋が真っ直ぐに伸びた綺麗な立ち姿だった。

 どちらもヒト型の武獣家の様だった。

 見た目からは分かりづらいけど、醸し出す王者の雰囲気ですぐに分った。


〈ライオンだ……〉


「ねぇ、タマ。

 あのアムさん達の横にいる方って……」


 タマに耳打ちで訊ねると、タマも小声でそっと教えてくれた。


「あの方々は"獅子爪牙拳ししそうがけん"の主、リオン様とその右腕のライ様ニャ。

 リオン様はフェリダエの国主でもあるニャ。

 といっても、フェリダエの南側は虎皇拳に全て任されているので、基本的には北の盟主って感じニャ」


 獅子爪牙拳……、やっぱりライオンだった。

 たてがみの無いヒト型なのに、何となくわかるなんて流石だ。

 しかも国主とは。

 改めて見てみるとやはり風格があった。

 ただ、風格という面ではその隣に座っているアムの方が凄い。

 黙って座っていればだけど。

 もしや、リオンにも何かあるのか……。

 などと少し脱線仕掛けた処を、リースのよく通る声に引き戻された。

 

「それでは順番にお名前を呼びますので、呼ばれた道場は前に出て、箱から番号札を引いてください。

 同門対決を極力避けるため、箱を三つ用意しました。

 代表のお三人はそれぞれ別の箱から札を引いて下さい」


 確かに遠路はるばるやって来て、同門と闘うってのはちょっと悲しい。

 その辺の配慮は必要だ。

 まぁ共に勝ち上がったのなら仕方ないけど。


「ではまず、梅花拳の皆さんどうぞ!」


 ついに抽選会が始まった。

 各道場から集まった、総勢三十二名がその武を競う。

 名前を呼ばれた武獣家が、次々と前に出て札を引いていく。

 

「えー、雪尾拳ハクさん八番です!」


 勝ち抜き戦の表がどんどんと埋まっていく。

 そしていよいよ……。


「では主催者推薦タマさんどうぞ!」


 会場がざわつく。

 でもタマはそれに動じる事なく、胸を張って前に進んだ。


〈いい顔だ……〉


 お兄さんのミケに啖呵を切った事で、腹が決まったようだ。

 タマが箱から札を引き、リースに渡す。


「タマさん、十五番でーす!」


 タマの名が表に書かれる。

 そしてその隣の十六番は、ある者の名で既に埋まっていた。


大耳拳だいじけん……カル!〉


 タマが前を向いて帰ってくる。

 相手は誰でも関係ないニャとその顔が物語っているようだ。


「おかえり、タマ。

 大耳拳のカルさんだって」

 

「みんなワタシより腕は立つはずニャ。

 相手は誰でも全力でぶつかるだけニャ」


 タマは鼻息荒く言うと、僕らの後ろの方をじっと見つめた。

 タマに吊られて見てみると、そこにはネコっぽいケモノ型の武獣家が笑顔で立っていた。

 大きな耳が特徴的で、その耳の先には黒いふさ毛が付いていた。


〈もしかして、大耳拳のカルさんか?〉

  

 タマが笑顔で抱拳礼をすると、カルと思われる武獣家も抱拳礼を返してくれた。

 実に爽やかで武獣家らしいやり取りだった。

 清々しい気持ちになっていた僕らだったが、リースの声で一気に緊張が高まった。


「猫爪拳ミケさん、十四番でーす!」


「ニャンと!」


「これは……」


 タマとお兄さんのミケが隣同士。

 これはもし、互いに一回戦を勝ち抜いたら兄妹対決になる。

 運命の悪戯ってやつだ。


「タマ……」


 タマの顔を覗くと、なんだか難しそうな顔をしていた。

 タマがゆっくりと口を開く。


「とにかくまずは一回戦ニャ。

 ワタシには次の事を考える余裕はニャいニャ」 


 札を引いて元の位置に戻る時も、ミケはこちらをチラリとも見なかった。

 タマと同じく、まずは一回戦といった心境なのだろうか……。

 その後も抽選会は進み、そしてついに三十二名全員が札を引き終わり、勝ち抜き戦の表が完成した。

 リバはタマと同じく大耳拳の道場主との対戦となった。

 ターチは雷下咬拳のスンピョウという者と。

 そしてゲパはなんとクーニャンとの一回戦となり、「終わった……」と顔を青ざめさせていた。

 抽選会の最後に、主催者としてフーが居並ぶ武獣家に向けて言葉をかけた。

 アムの場合、知らない者が見たら刺激が強すぎるからだろうか?


「皆さん、抽選会ご苦労様でした。

 明日より大会が始まります。

 武獣家らしい正々堂々とした闘いを期待しています。

 互いに研鑽し、自身の武を高めて下さい」


 言い終わるとフーは、皆に向けて抱拳礼をした。

 受けた武獣家たちも、声を揃えてフーに返礼した。


「はっ!」


 いよいよ明日、フェリダエ武獣研鑽会の始まりだ!


読んでいただきありがとうございます。


ちなみに研鑽会の参加者は、フェリダエの十の道場からそれぞれ三人づつです。

ただ、雪尾拳からは二人しか来ていませんので29名。

そこに特別枠のタマ、ワンフー、ライ、この三人を加えて32名となります。


次回ようやく研鑽会が始まります。


よろしくお願いします。

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