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ネコジャRUSH!   作者: ジョン・道
第一章 転移と出会い〜フェリダエ武獣研鑽会まで
32/89

第三十一集 まさかの再会ニャ! 


 フェリダエ武獣研鑽会の会場である闘技場に、リバ達と一緒に向かっている。

 今日は対戦相手を決める抽選会が行われる予定だ。

 アムやフー、虎皇拳の皆さんは先に会場へ行っている。


「誰と当たるかなー。

 強い奴だといいなー」


 リバがポキポキ指を鳴らしながら言う。

 ターチが同意するように頷く。

 ゲパは血気盛んなリバの事が少し心配なようで、苦笑いをしていた。

 何気なく隣のタマを見ると、心なしか表情が暗かった。

 なんかいつものタマじゃないみたいだ。


「タマ、どうしたの?

 何か心配事?」


「ニャ!?

 い、いや、ニャんでもニャいニャ!」


 声を掛けるとタマは慌てて首を振り、背中のレサを背負い直して颯爽と歩き始めた。

 ただ前方不注意だったため、前を行く者にぶつかってしまった。


「す、すみませんニャ。

 失礼し……ニャ!」


「ん?」


 タマがぶつかったのはヒト型のネコだった。

 道着を着ているから武獣家だろう。

 もしかしたらタマの知り合いかな?

 そんな事を思っていると、タマがものすごく動揺していた。


「ミ、ミケ兄さん……!?」


「タマ? お前、こんなところで何をしている?」


 兄さんって……、もしかしてタマのお兄さん!?

 タマに兄弟がいたのか……。

 聞いたこともなかったし、てっきりひとりっ子かと思ってた。


「まさか研鑽会を見に来たのか?

 武獣家を諦めたというのに」


「いや、諦めた訳ではニャいニャ……」


 タマがモゴモゴと口ごもって言う。

 初めて見るようなタマの姿だった。

 燃えるようだった目も輝きを無くしてる。


「ミケや……、何かあったのかい?」


 前からまた猫がやって来た。

 小さくて可愛らしい、おばあちゃんネコだ。

 猫そのままの顔で、道着を着て二足歩行をしている。

 ケモノ型の武獣家だ。


「ク、ク、ク、」


「く、く、く?」


 タマが口をパクパクさせて意味不明な事を言う。


「おー!

 クーニャンのばあちゃん!

 久しぶりじゃん!」


「おや?

 豹猟拳のリバさんかい?

 奇遇だねぇ」


 リバがクーニャンと呼ばれたおばあちゃんネコと、親しげに会話している。

 あれ? そういえばクーニャンって、猫爪拳の道場主じゃなかったっけ?

 道場主同士だから、リバとも顔見知りなのか。

 

「すみません、クーニャン様。

 不肖の妹と偶然会いまして」


「妹さん…?

 確かタマだったかね」


 タマは相変わらずで、焦って何かあたふたとしている。

 

「クーニャン様に覚えていただいてたなんて、こ、光栄ですニャ!」


 タマが抱拳礼をする。

 クーニャンはニッコリと笑うと、タマの肩をぽんぽんと叩いた。


「ミケから武の道は諦めたと聞いたけど、今は何をしているんだい?」 


 クーニャンが言った言葉に、僕らは耳を疑った。

 タマが武の道を諦めた?

 そんなバカな!

 そういえば前に、逃げたと思われている、とか言ってたな。


「武の道は諦めた〜?

 おいおい、ばあちゃん、そんな訳ねーだろ。

 ボケのるにはちと早えーぞ」


「きさま! 無礼だぞ!」


「これ、ミケ」


 リバの言い様が癇に障ったのか、クーニャンが止めるのにも関わらず、ミケがズイッとリバへと詰め寄る。

 しかし、すぐさまターチがその間に入って、ミケの前に立ち塞がった。


「無礼はきさまだ。

 豹猟拳が主、神速のリバ様に向かってきさまだと?」


「ふん、何者だろうとクーニャン様への暴言は、このわたしが許さん」


 睨み合う両者。

 慌てたタマが両者に割って入った。


「ターチさん! リバ様!

 ここはワタシの顔に免じてお許しくださいニャ!」

 

 タマは必死で二人に頭を下げた。

 ターチがリバに目で伺い立てる。


「仕方ねーなー。

 ゲパ、ターチ、行くぞ。

 タマ、エノ、先に行ってるからな」


「ありがとうございますニャ!」


 改めて頭を下げるタマ。

 リバは睨みつけてくるミケを尻目に、両手を頭に口笛を拭きながら歩き去った。


「ちっ! タマ、どういう事だ!

 何故お前が神速のリバと一緒にいるのだ?」


「まぁ……色々あったニャ。

 兄さんには関係ないニャ……」

 

 俯いて、歯切れ悪く答えるタマ。


「ふん、まぁいい。

 お前、旅だかなんだか知らんが、遊んでいるならさっさと家に帰れ。

 父や母の手伝いをしろ」

 

 タマは誰に対しても丁寧だし優しいのに、お兄さんは随分と横柄だな。

 これはちょっと黙っていられない。


「遊んでなんかいません!

 タマは立派な武獣家です。

 研鑽会にも、虎皇拳のアムさんの推薦で出場します!」


「エノ……」


 タマの隣に並んで、ミケに向かって怒鳴るように言うと、ミケは怪訝な顔付きになった。

 ちなみにタマは主催者推薦で出場することになった。

 確かに僕の一言から始まったが、どこの馬の骨か分からない僕の推薦では出場に疑問符が付く。

 だからアムとフーにお願いして、主催者推薦に変えてもらった。


「なんだお前は?

 タマが研鑽会に出場?

 アム殿の推薦?

 何を戯言を……」


「戯言じゃない」


 小さいが力強い声が響く。

 するとタマの背中のカバンから、レサがシュッっと飛び出した。

 そのままレサはタマの肩に着地した。

 タマに肩車をされている格好だ。


「タマはアム様そして我らが主、大猩拳ゴウリ様の薫陶を受けた。

 あんたなんかタマの相手にならない……」


「レサ……」


 レサがミケをビシッと指差して言うと、ミケは顔を真っ赤にした。


「何だと!」

 

「ミケ、いい加減におしよ」


 クーニャンの雰囲気が一瞬だけ変わった。

 すると、レサに向かって凄んでいたミケが、パッと下がり気を付けの姿勢になった。

 

「も、申し訳ありません!」


 嗜められたミケが怯んだのを見て、タマがレサをペッと投げて、ここぞとばかりに前へ出る。

 目には炎が戻ってきていた。

 

「兄さん!

 ワタシは武獣家を諦めてなんかニャい!

 ワタシはもう、兄さんの知っているタマじゃニャいニャ!

 新しいタマを研鑽会でお見せするニャ!」


「お、お前が研鑽会に……。

 本当なのか……?」


 信じられないといった表情のミケ。

 タマはそんなミケを真っ直ぐに見つめ、鼻息を荒くしていた。


「クーニャン様、兄さん、会場でまたお会いしましょうニャ。

 お先に失礼しますニャ」


 タマがさっと抱拳礼をして、スタスタと歩き去る。

 僕とレサは慌ててその後を追いかける。

 取り残されたクーニャンとミケは唖然としていた。


「クーニャン様、あの者らの先程の話は……」


「どうだろうねぇ?

 でも、タマの獣力は中々だったねぇ。

 あんたは気づかなかったのかい?

 先入観は良くないよ」


「申し訳ありません……」


「それにアム、そしてゴウリだとさ……。

 本当なら面白いかもね」


 クーニャンが遠くを見つめて穏やかに微笑んだ。

 だがその目だけは妙に鋭かった。


「まぁどちらにせよ行けばわかるさ。

 儂らもボチボチ行こうかね」


「はっ」


読んでいただきありがとうございます。


まさかのお兄さんの登場でした。


次回は抽選会です。


よろしくお願いします。

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