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ネコジャRUSH!   作者: ジョン・道
第一章 転移と出会い〜フェリダエ武獣研鑽会まで
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第二十九集 ただいま、虎皇拳! 


「レサ、起きるニャ!

 虎皇拳が見えたニャ!」


 タマが背中に背負ったカバンをゆさゆさと揺らす。

 そのカバンにはレサが入っていて、取り出し口から顔だけ出していた。

 おんぶだと両手が塞がるからと、大猩拳のシンシンさんがくれた物だった。

 レサはそこそこ重いので大変なんだけど、タマは相変わらずこれも修行だと言って率先して持ってくれた。

 その代わりタマのカバンは僕が持った。

 といっても全然軽いものだったけど。


「zzz……」


「ダメだ、全然起きない……」


 大猩拳の森を出てからの旅は順調そのものだった。

 黒猩拳の里ではジーショウが、「レサだけズルい!」と少し駄々を捏ねたが、ゴウリの名前を出すとすぐに引き下がった。

 行きでも懸念された、夜行性のエープの怪物は結局謎のままだった。

 黒猩拳を出たあとは、どうせならリバたちと一緒に行こうかと思い、豹猟拳にも寄った。

 だが、リバたちは既に出発した後だった。

 リバが研鑽会の開催を待ちきれなくて、随分前に発ったらしい。

 道場主代理として、留守番をしていたルートが教えてくれた。


「あ! あれ!

 研鑽会の会場じゃないかな?」


「ホントニャ!

 あれなら存分に闘えるニャ。

 観客席まであるニャ」


 虎皇拳の里の外側は、畑になっている所を除き、以前は原っぱというか広場になっていた。

 今はその一部に、四角い石がビッシリと敷き詰められていて、綺麗な正方形の闘技場が出来上がっていた。

 その両脇には階段状になった観客席もあった。

 流石に屋根などは無いけど、それでも十分に立派な会場だった。


「すごいね!

 短期間でこんな立派な会場を作るなんて。

 流石フーさんと虎皇拳のみなさんだ」


「虎皇拳はフェリダエ南の盟主だからニャ。

 一声かければ手伝いもたくさん集まるニャ」


 虎皇拳の里を見下ろす丘を下り、研鑽会の会場を横目に見ながら、虎皇拳の里へと入る。

 久しぶりの虎皇拳はとても賑わっていた。

 前はトラ達ばかりだったけど、今やいろんなネコ科があちらこちらを歩いていた。

 道着を着た者がほとんどだったけど、観戦に来たのか、ちらほら普段着のネコ科もいた。


「ん?」


 里の中心にある道場に向かう道を歩いていると、反対側からガヤガヤと騒がしい連中がこちらの方へと向かってきた。


「気配が……、タマちゃんの気配がする……」


「気配なんて分かる訳無いでしょ!」


 一人は右に左にふらふらと歩き、もう一人はその腕を引っ張り、その動きを止めようとしていた。

 

〈あれ? なんか見覚えが……〉


「あ! リースだニャ!

 ティグもいるニャ……」


 タマが複雑な表情で言うと、ティグとリースもこちらに気がついた。

 ティグは飛び上がり、リースは信じられないといった表情だった。


「タ、タ、タマちゃーん!!

 見たか、妹よ!

 私のタマちゃんへのじょうね……ぶべらっ!」


「兄さんの変態!」


 リースが放った後ろ廻し蹴りを喰らい、ティグがゴロゴロと道に転がった。


「タマさん、エノさん、お久しぶりです。

 お元気そうで何よりです!」


 廻し蹴りを放った一本足の体制のまま、リースがニコっと笑って言った。

 

「リース、見事な廻し蹴りニャ……」


「やっぱりリースさんも強いんだね……」


「zzz……」


 ■


「タマちゃ〜ん!

 エノちゃ〜ん!

 よく戻ったわ〜!

 待ってたのよ〜」


 リースとティグに連れられ、虎皇拳の道場へ行くと、早速アムが熱烈に歓迎してくれた。

 アムは僕らと熱い抱擁を交わそうとしたが、フーとリバが必死で尻尾を引っ張って止めてくれた。

 二人が止めてくれなきゃ、虎皇拳に来てそうそう病院行きだった。


「何よ〜。

 せっかく再開の喜びを分かち合おうと思ったのに〜」


「二人を殺す気かよ!

 アムねーちゃん!」

 

「も~、リバの意地悪!」


 アムは頬を膨らませるとぷいっとそっぽを向き、腕を組んでドシンと床に座った。

 その振動でみんなの体が少し浮いた。

 そしてレサも起きた。


「ん……、着いた?」


「おはよう、レサ」


 レサがカバンから顔だけ出したまま聞いてきた。

 その姿に最初に気がついたのはリバだった。


「あれー?

 お前、我楽護拳のレサじゃん!

 なんでこんなとこにいんの?

 てか、何処に入ってんだよ……」


「リバ様、お久しぶりです……」 


 何でもレサはゴウリの使者として、豹猟拳を何度か訪れたことがあるらしい。

 その縁でリバとは顔見知りなのだとか。


「かわ♡いーいー!」


「フー!?」


「ニャ!」


「わー……」


 突然、フーがレサに抱きついた。

 レサを背負っているタマごとガバっと抱きしめ、レサの頬に自身の頬を寄せた。

 フーの目はハートになっていたが、レサはいつもの眠たい目のままだった。

 それにしても、タマ、レサ、フー、実に画になる光景だった。

 そう思っていると、ふとティグと目があった。

 ティグは目をキラキラさせながらゆっくりと頷き、小声で「尊いですね」と囁いてきた。

 僕も思わず頷き、ティグと握手をしてしまった。


「はっ!」


 不意に我に帰ったフーがパッとレサから離れた。

 その顔は真っ赤だった。


「す、すみません。

 レサ殿、タマ殿!」


 慌ててペコペコと頭を下げるフー。


「フーのこの感じ、滅多に見れないわよ。

 みんな、拝んでおきなさい!」


 そんなフーを見てアムがからかうように言うと、フーは慌ててアムにすがりついて止めに入った。


「や、やめて下さい!

 アム様!」


「アハハッ!

 ホント、久々に見たな! フーの素!」


 そんな二人を見て、リバが豪快に笑った。

 リバに吊られて、その場にいた一同からも楽しそうな笑い声がこぼれた。

 一通り笑い合うと、アムがその場を締めるように、僕たちに向かって大きな声で言った。


「タマちゃん、エノちゃん、そしてレサちゃん!

 改めて"笑顔が絶えない虎皇拳"へ、ようこそだわ!

 チュ♡」


 アムのウインクと投げキッスのダブルパンチに、思わず膝を着きそうになった。

 だがそれも本人の目の前、なんとか堪えた。

 その時脳裏に、アムの手紙を読んで苦しそうにしていたゴウリの姿が蘇った。

 

「ゴウリさん、もしや貴方も……」


読んでいただきありがとうございます。


次話も皆でワイワイやります。


中々大会が始まりませんね。

すみません。


これからもよろしくお願いします。


ブックマークして下さった方、ありがとうございます。

嬉しかったです。

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