第三集 サルタマ合戦!?
現れたのは3匹のサルだった。
さっきは10匹以上いたので、手分けして探していたのだろう。
相変わらず目がクリクリだ。
「見つけた〜」
「あれ〜、ネコと一緒だ〜」
動きもスローだが、喋りもスローだ。
絶妙に相手をイライラとさせる話し方だ。
隣を見るとタマの毛が逆だっていた。
「ここはフェリダエ、ネコと一緒にいて当たり前ニャ!
お前たちこそここで何してるニャ!」
サルたちはニヤニヤしながら答える。
「何って〜、喧嘩を売りにきたんだよ〜。
豹猟拳は物足りなかったから相手してよ〜」
タマが言うには、豹猟拳は素早い動きが特徴で、国境に道場を構えているらしい。
その素早さを活かして、エープとの広い国境の警備を担当しているのだとか。
「その喧嘩、買ってやるニャ!」
タマの手から鋭い爪が飛び出す。
サルたちに飛びかかるタマ。
襲われた時の事を思い出し、慌ててそれを止める。
「タマ! ダメだ!」
「ニャ?!」
タマはその声を聞いて、頭上の枝に爪を引っ掛け急ブレーキをかけた。
枝にぶら下がるタマの足先を、サルの放った毒がかすめていった。
地面に落ちた毒がジュ~と音をたてた。
「ニャンと!」
サルが舌打ちをする。
「チッ、外した〜」
タマが枝を軸にぐるりと一回転し、こちらへと戻って来る。
流石ネコ、すごい身体能力だ。
と思ったら着地に失敗した。
「痛たたた……。
エノ、助かったニャ。
毒のこと知ってたのかニャ?」
「うん。さっき追われた時にね。
僕も危うく浴びるところだったんだ」
サルたちがゆっくり近づいてくる。
相変わらずニヤニヤと笑っている。
「この毒で豹猟拳の連中もやられたに違いニャい。
毒を使うサルの流派なんて聞いたこと無いニャ。
動きで油断させて、話し方でイライラさせて、飛んできたところに毒をはニャつ。
よく出来てるニャ」
「初見殺しってヤツだね」
しかし、どうする?
動きは遅いけど、毒を放つのは早い。
タマもかなり素早いが無傷では済まないだろう。
しかも相手は3人?いる。
「そ〜ら」
サル達がどんどん毒を飛ばしてくる。
「エノ! 下がるニャ!」
タマは素早い身のこなしでそれらをかわす。
ただ、動きがぎこちない時もあり、ハラハラさせる。
その中でも隙をついてサルに迫るが、一撃を加える事は出来ない。
「近づくのはやっぱり難しいか」
木の陰に隠れながら戦況を見つめる。
何か遠くから攻撃出来る方法が無いか?
とりあえずカバンの中を見てみる。
「うーん、無い、無い」
ガサゴソと漁っていると、獣総栄食がカバンからこぼれ落ちた。
タマがそれに気が付いて、こっちへと飛んできた。
何か思いついたって顔だ。
「エノ! それもう一本くれニャ!」
「え? 別にいいけど……」
獣総栄食を渡すと、タマはあっという間にそれを食べきった。
「さっきコレを食べた時にすごい力が溢れてきたニャ。
その力があれば、まだ未完成の技を完璧に放つことが出来るかもしれニャい!
きたきた! きたニャー!」
獣総栄食にそんな効果が?
〈そういえばちゃんと注意書きとか読んでなかったな〉
「何コソコソやってんの〜
飽きてきたからそろそろ終わるよ〜」
サル達が毒を集めて大きな玉を作る。
コレを一気に浴びたら致命傷になるかもしれない。
冷汗をかく。
するとそんな不安を吹き飛ばすように、タマの叫び声が森中に響き渡った。
「いくニャー! 猫爪波!」
タマが両手の爪を上から下へと、腕を交差するように大きく振る。
するとその爪の先から青白い刃のようなものが飛び出し、サル達に襲いかかった。
咄嗟の出来事にかわすことが出来ず、刃はサル達を直撃した。
「うきょー!」
もんどり打って地面に倒れるサル達。
その胸には爪で切り裂かれたような跡がつき、血で真っ赤に染まっていた。
「出来た……、出来たニャ!
猫爪波!
やったニャー!」
両手を上げて、ぴょんぴょんと飛び跳ねるタマ。
しかし、何かおかしい。
タマが飛び跳ねる度、初めはぴょんぴょんと軽やかだったジャンプが、ドンドンと重たい音へと変わっていった。
「タ、タマちゃん……。
なんかぽっちゃりしてない?」
「ニャ?」
こちらを振り返った拍子に、タマはバランスを崩し尻もちをついた。
「ドシーン」という音が森に轟き、その音を聞いた小鳥たちが一斉にその場から飛び立った。
読んでいただきありがとうございます。
タマが副作用で太りました。
次はトラ達が登場します。
よろしくお願いします。




