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ネコジャRUSH!   作者: ジョン・道
第一章 転移と出会い〜フェリダエ武獣研鑽会まで
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第二十六集 ゴウリの課題は激ムズニャ!

 

「おや?」


「おーい! エノにゃ〜い、レサにゃ〜い」


 48の護身技の一つ、砂塵障壁の練習をしていると、タマとゴウリがやって来た。


「ウー大師、修行の邪魔してすまんゴリ!」


「いえいえ、ゴウリ様ご機嫌麗しゅうございます」


「ご機嫌う△□◎✕◯◇☆/ます……」

 

〈前より言えてない……〉


 ウー大師がゴウリに挨拶したのを聞いて、レサも対抗して挨拶したが、相変わらず上手く言えてなかった。


「エノ、レサ!

 聞いてくれニャ!

 ついに肉球で攻撃を受ける技、"柔弾肉球"が出来るようになったニャ!」


「おおー!

 タマ、やったね!」


 タマはレサの両手を取り、「やった、やった」と上下に振り回している。

 レサは「うわぁぁぁぁ……」と、されるがままだ。


「エノ、その棒でワタシに打ってくるニャ!

 思いっきりニャ!」

 

 タマに言われ、ウー大師をチラッと見る。

 大師がコクリと小さく頷いた。


「分かった! じゃあ早速行くよー。

 ほっ!」


 タマの言う通り全力で振りかぶって、タマの頭めがけて棒を振り下ろした。

 タマが頭を守るように、右手の掌の肉球でそれを受ける。

 すると、棒は確かに当たったはずなのに、ポヨンとしてて手ごたえが全く無かった。

 不思議な感覚だった。


「思いっきり打ったのに、何も打ってないみたいだ……。

 タマ、すごいよ」


「衝撃を完全に吸収したニャ。

 でも、本当は跳ね返すつもりだったニャ。

 獣力の加減を微妙に間違えたニャ」


「タマは繊細な力加減は向かないゴリ。

 それより豊富な獣力を利用した力技がいいゴリ。

 そこで一つ、ウー大師に頼みがあって来たゴリ」


「ほう、私に頼みですか?」


 タマの技を見て拍手をしていたウー大師が、意外といった表情をする。

 ゴウリもそれに気がついた様だったけど、構わずに続けた。


「大師が武獣家に興味が無いのはわかってるゴリ。

 ただ一回だけでいいゴリ。

 タマに一度に何発も攻撃を加える、同時攻撃をしてほしいゴリ。

 儂がやると、一発が重すぎるゴリ」


「同時攻撃ですか、ふむ……」


 手を後ろに組み、地面を見つめる大師。

 しばらくそうしていたが、やがてゆっくり顔を上げた。


「良いでしょう。

 他ならぬゴウリ様の頼み。

 それにタマ君は私の一番弟子、エノ君の相棒とも呼べる存在。

 特別にやって差し上げましょう」


 ウー大師はそう言って長く茶色い髪を掻き上げた。

 いちいち気取った感じになる事に、僕らはもう慣れてしまっていた。

 でもタマは、胸焼けを起こしたような顔で苦笑いだった。

 

「ちょうど良い技があります。

 十発の攻撃を同時に加える技です。

 エノ君も良い機会なので、しっかり見ておいてください」


「じ、十発ニャー!

 受けきれるかニャ?」


「タマ、一つ一つを完璧に受ける必要はないゴリ。

 獣力と速さと肉球で、とにかく攻撃を防ぐゴリ」


 不安そうに冷汗をかいていたタマに、ゴウリがアドバイスを送って落ち着かせる。

 極度の面倒臭がりとか言われてたけど、やると決めたら面倒見はいいみたいだ。


「行きます」


「ニャ……」


 ウー大師がいつもの棒を背中から出す。

 大丈夫だろうか?

 もしタマが防ぎきれなかったら、大怪我するんじゃないかと心配になる。


十閃棒とおせんぼう!」


 ウー大師が叫ぶと、タマに棒の雨が降りそそぐ。

 タマは両の掌をおでこの辺りで正面に向け、そして円を描くように素早く動かす。

 

〈肉球の壁だ!〉


 ぽよぽよぽよーんと、間の抜けた音が森に響いた。

 その音を聞いて、タマが全て受けきったかと思ったが、よく見ると大師の棒がタマのおでこを捉えていた。

 

「タ、タマー!」


 大流血でぶっ倒れるかと思ったが、タマは目をパチクリさせて立ったままだ。


「痛くニャーい」


「当然。

 本物の棒で殴ったら死んでしまいますから。

 これは模擬棒。

 多少の重みはありますが、柔らかい素材で出来ています」


 良かった。

 流石ウー大師、ちゃんと考えてくれていた。

 でも……。


「大師、背中に棒、何本入ってるんですか?」


「それは聞かない約束です」


 大師は模擬棒を体の左右や頭の上でグルグルと旋回させると、最後に脇に挟んでビシッと"決め"をした。

 すると、レサがトコトコとウー大師の隣にやって来て、大師の持つ棒の先に自分の頭を当ててニヤリと笑った。


「痛くニャ〜い……」


 それを言いたかっただけか……。


読んでいただきありがとうございます。


タマはメキメキと成長しています。


次話もよろしくお願いします。


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