第二十三集 激烈ニャ! ゴウリの修行!
ゴウリによるタマの修行が始まった。
「ニャー!
お尻割れたニャー!」
「違うゴリ!
獣力で尻を覆うんじゃないゴリ!
尻の肉と獣力を混ぜ合わせる感じゴリ!」
タマの獣力の量は中々だとゴウリも認めるものだった。
ただ、その使い方はまだまだらしく、ゴウリに厳しく指導されていた。
タマ曰く、今まで考えた事もない獣力の使い方をするので大変らしい。
でも、難しいけど楽しいと、タマは毎日充実しているようだった。
「頑張れー……」
レサは役目を終えたので、黒猩拳の里にでも帰るのかと思っていたが、何故かタマの事を応援していた。
「レサ、戻らなくても平気なの?」
「大丈夫……。
それにタマとエノといると面白いから……」
そう言うとレサは休憩中のタマに汗拭きを持っていった。
汗を拭きながら木の根元に座るタマ。
その耳元でレサが何か言うと、タマはうんうんと頷いた。
さらにレサは忙しなく動き、タマの肩や腕をマッサージしていた。
なんかどっかで見たような光景だった。
「そろそろやるゴリよー」
ゴウリに呼ばれ、修行を再開しようとするタマ。
そんなタマにレサは謎の声掛けをした。
「タマ、ガード上げていこう……」
「ニャ?」
〈レサ、絶対ふざけてる……〉
かくいう僕は何をしていたのかというと、何もしてなかった。
タマの修行を見ているだけだった。
そんなある日、あの男が大猩樹を訪ねてきた。
「レサ!
案内が終わったら帰ってこいと言ったではないか!」
「あ、ジーショウさん……。
ちっ……」
〈舌打ちした……〉
ジーショウがやって来た。
レサを連れ戻しに来たのかと思ったが違うらしい。
エープでは各流派から、定期的にゴウリに近況報告をしに来ることになっているらしく、今回はそれでやって来たようだ。
ジーショウは、タマの修行を真剣な表情で眺めていたが、次第にじっとしていられなくなったようだ。
「タマちゃん……、頑張ってる。
そして、カワイイ!」
タマが傍で騒いでいるジーショウに気がつく。
「ジーショウ!?
何でいるニャー!
とりあえずうるさいニャ!」
タマに怒られたジーショウだったが、中々収まらなかった。
「タマちゃん! カワイイ!
タマちゃん! カワイイ!」
「ゴリ!」
そんなジーショウにゴウリが一発げんこつをお見舞いした。
ジーショウの体は地面にめり込んだ。
「さぁ、続きをやるゴリ!」
タマとゴウリは修行に戻っていった。
ジーショウも慣れたものなのか、モゾモゾと地面から這い出してきて、何事も無かったように話し始めた。
頭にたんこぶが出来ているが、武獣家はタフだ。
「ところで、エノよ。
お主、タマちゃんと旅するのはよい。
よいが、有事の際にタマちゃんに守ってもらってばかりでは立つ瀬がなかろう?」
さっきまで、女の子に向かってワーキャーしてた奴に言われると反論したくなるが、確かにその通りだった。
僕がいるせいで、タマが全力で闘えないかもしれないというのは、この先を考えた時にいつもぶつかる悩みだった。
以前虎皇拳に向かう際に、トラ達に教えてもらった事もあったが、それ以来ごぶさただった。
獣総栄食に頼るのもリスクがあるので、出来れば自力で何とかしたかった。
「その通りです。
今までは運が良かったけど……。
この先、僕がタマの足を引っ張る事があるかもしれません」
「そこでだ!
実は今この大猩拳の森に高名な武獣家、ラオ=タン=ウー大師が滞在しておられるという情報を掴んだのだ。
拙者も一手ご教示願おうと思ってるのだ。
お主も一緒に訪ねてみないか?」
「ラオ=タン=ウー大師?」
名前からしてなんか凄そうだ。
白髪の仙人みたいな感じかな?
でもタマが頑張っているのに、僕だけ何もしないというのも申し訳ないし、情けない。
これはチャンスだ。
「ジーショウさん、是非お願いします!」
「うむ!
ゴウリ様やタマちゃんにも相談してみよう」
その日のタマの修行が終わると、ジーショウは早速ゴウリにラオ=タン=ウー大師の事を訊ねた。
「ウー大師?
いるゴリよ」
「おお! やはり!」
そこでジーショウは僕の悩みなどを含め、ウー大師に教えを請いたいとの旨をゴウリに話した。
「そうゴリねー。
確かにエノは見てるだけで退屈ゴリよな。
ウー大師ゴリか……、なんせ変わり者ゴリからな」
ゴウリが腕を組んで考え込む。
だが、何かを思い出したようで急にこちらを見てきた。
「そうゴリ。
エノなら気に入られるかもしれないゴリ。
いや、爪も牙も無いエノこそ大師が待ち望んでいた者かもしれないゴリ!」
「おお! では!」
ジーショウの問いかけにゴウリが大きく頷いた。
「明日みんなでウー大師を訪ねてみるゴリ。
タマもレサも、いい機会だから会ってみるゴリ。
儂と一緒なら門前払いにはならないゴリ」
「ありがとうございます!」
嬉しそうに大きな声で礼を言うジーショウだったが、ゴウリはそんなジーショウを憐れみの目で見ていた。
「ゴ、ゴウリ様、どうかされましたか?」
「ジーショウ……、多分お主は相手にしてもらえないゴリ。
ウー大師は武獣家嫌いなんだゴリ……」
「なんと……」
肩を落とすジーショウを見て、レサは笑いを堪えていた。
読んでいただきありがとうございます。
次回はラオ=タン=ウー大師が登場します。
よろしくお願いします。




