表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ネコジャRUSH!   作者: ジョン・道
第一章 転移と出会い〜フェリダエ武獣研鑽会まで
23/89

第二十二集 お願いしますニャ! ゴウリ様 


「で、何があったゴリ?」

 

 タマは何故ここまでやって来たのか、その理由をゴウリに語った。

 研鑽会に推薦されたが実力が足りない事。

 獣力の扱いは得意だが、身のこなしが苦手な事。

 ネコの動きがダメなのでサルの動きを学びたい事。

 アムにゴウリの下へ行けと言われた事。

 それらを聞いたゴウリは、いわゆる苦虫を噛み潰したって顔をした。


「むむむゴリ。

 アムの奴、儂に押し付けたゴリ」


「ゴウリ様が悩んでる……」


 レサがそう言って驚いていた。

 と言っても、顔はいつもの眠たそうなままだったけど。

 多分、ゴウリは普段なら可でも不可でも即決なんだろう。

 悩んでいるということは、負い目があるからなのか、アムの手紙が効いているのか……。


「仕方ないゴリねー

 そんなに面倒でもなさそうゴリからな。

 まぁちょっと教えてやるゴリ」


「本当ですかニャ!」


 タマの顔から満面の笑みがこぼれた。

 ゴウリもそれを見て軽く微笑んだ。


「本当ゴリ。

 ただし、これで貸し借りは無しゴリよ。

 それからアムにも、儂が力を貸した事、よく言っておくゴリ!」


「ははー」


 再び土下座の体制でペタンと礼をするタマ。

 僕も一応真似しておいた。

 何故かレサもやっていた。


「良いゴリ!

 顔を上げるゴリ!」


 ゴウリに言われノソノソと立ち上がる一同。

 

「タマよ、サルの動きを学びたいとの事、これは無理ゴリ」


「無理ですかニャ!?」


 がっくりと肩を落とすタマ。

 レサが膝の辺りをぽんぽんと励ますように叩いていた。


「正確には時間が無いから無理ゴリ。

 研鑽会とやらが行なわれるまでに、サルの動きを身につけるというのはどんなに頑張っても無理ゴリ。

 何年もかけてやれば可能性はあるゴリけど」


 やはり、サルの動きを短期間でというのは難しいか……。

 中途半端に身に着けても、実戦には役に立ちそうにないしな。


「ニャ〜……」


「落ち込むのは早いゴリ。

 タマよお主、ジーショウと闘ったらしいゴリな。

 ジーショウはお主の技を躱したゴリか?」


「いいえですニャ。

 はっ!」


 タマが何かに気付いたのか、目をパッと見開いた。


「そうゴリ。

 躱すのがダメなら受けるゴリ。

 タマ、お主はこのゴウリの下で受けを学ぶゴリ!」


「ニャーン!」


「ガーン」


 タマが"その手があったか"といった感じで、ワナワナと震えている。

 隣でレサも震えている。  

 レサは面白がってるな。

 

「受けって、ジーショウさんみたいに毛を硬くするんですか?」


 ショックのあまりなのか、言葉を失っているタマの代わりに僕が訊ねる。


「違うゴリ。

 ネコの毛はサルに比べ元々が柔らかいゴリ。

 だからあれは無理ゴリ。

 ネコにはネコの良いところがあるゴリ」


「ネコの良いところ……?」


 ネコの良いところといえば……。

 僕もこの世界に来る前は猫カフェに居た男だ。

 この問題は是が非でも正解したい。

 うーん、ネコといえば……あ!


「肉球だ!」


 僕が叫ぶとゴウリがゆっくり頷いた。


「そうゴリ。

 ネコのあのぷにぷにした肉球。

 あれを上手く使えば、最高の防御になるゴリ」


「これがですかニャ?

 これを獣力でカチカチにするのニャ?」


 タマは自分の肉球をぷにぷにと突っついている。


「違うゴリ!

 硬くするばかりが能じゃないゴリ!

 その柔らかさを活かして、相手の攻撃を吸収、または弾き返すゴリ!」


「なるほど……」


 目の付け所が違う。

 大陸最強の武獣家は伊達じゃない。

 それにあのアムが推薦するだけのことはある。

 

「流石ゴウリ様ですニャ!」


「ゴウリ様、バンザ~イ」


 褒められたゴウリは満更でもなさそうな顔をしていた。


「でも、具体的にはどんな修行をすればいいのですかニャ?」


 タマが訊ねると、ゴウリは任せておけとばかりに胸をドンと叩いた。


「大猩拳の技で柔弾尻じゅうだんこう"というものがあるゴリ。

 それをタマの肉球に応用するゴリ」


「大猩拳の技を、他流派のワタシに……。

 ありがとうございますニャ」


 タマが抱拳礼をして、深々と頭を下げる。

 他流派に、しかも国を超えて技を教えるというのは本来ならあり得ないらしい。

 レサが説明してくれた。

 つい忘れてしまうけど、レサもれっきとした武獣家だった。


「リバも黒猩拳を受け入れてくれたゴリ。

 それなのに儂がケツの穴の小さい事を言ってられないゴリ。

 ただ、修行は厳しいゴリ。

 タマ、覚悟するゴリ!」


「ニャ!」


 ■


「アム様、一つお尋ねしてもよろしいですか?」

 

「何よフー、改まっちゃって」


 本日の組手希望者を蹴散らし、玉座で寛いでいたアムが身構える。

 フーがこう言い出すときは、何となく面倒事が多いとアムは思っていた。


「タマ殿に持たせたゴウリ殿への手紙ですが、何と書かれたのですか?」


「なによその事?

 無粋よ。

 乙女から殿方への手紙の内容を問いただすなんて」


「さすがに乙女は苦しいかと……」


 フーが真顔で言う。

 長い付き合いのフーならではのあしらい方だった。

 

「失礼しちゃうわ、もう!

 まぁいいわ。

 手紙?

 そうね~、自分から言い出したけど、思えばアタシ手紙なんか書いた事無かったのよね〜。

 だから、何書いたらいいかも分からないから、とりあえずキスマークを付けといたわ。

 適当に、5個くらい」

 

「それは……」


 フーが絶句する。

 受け取ったゴウリの事を思うと、その身が案じられた。


「でも、何より気持ちが伝わる手紙になったわ。

 結果オーライね。

 今頃タマちゃんもゴウリちゃんから色々教わっているわ」


 道場の中であったが、フーはまるで空を仰ぎ見るかのように、遠い目をして上を見ていた。

 その目には涙が滲んでいるように見えた。


「ゴウリ殿、どうかご無事で……」


「なんでゴウリちゃんの心配してるのよ」

 

読んでいただきありがとうございます。


ゴウリが修行を付けてくれる事になりました。


次話はその修行の模様が中心です。


よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ