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ネコジャRUSH!   作者: ジョン・道
第一章 転移と出会い〜フェリダエ武獣研鑽会まで
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第十五集 タマの悩み


 姿を見かけたというトラを訪ね歩くと、タマはすぐに見つかった。

 凄い勢いで出ていった割には、道場近くの広場にいた。

 タマは木の下で膝を抱えて座っていた。

 

「タマ……」


 タマの横に座る。


 タマは膝に顔を埋めたまま上げようとしない。


「タマ、ゴメン。

 研鑽会に出られたら喜ぶかなと思ったんだ」


 タマは首を横にぷるぷる振ると、顔を伏せたまま言った。


「わかってるニャ……。

 エノは悪くないニャ」


 タマはそう言うと、顔を上げ語り始めた。


「私、猫爪拳ではホントに下っ端だったニャ。

 エノは知ってると思うけど、私はどうも体の動きがぎこちなくなってしまうニャ。

 猫爪拳は特に体捌きを重視するから、みんなから全く認めてもらえなかったニャ」


 確かに他の武獣家と比べると、身のこなしでは見劣りする事はあった。

 それでも僕からすれば十分に凄いけれど。


「それで私は旅に出たのニャ。

 どうしても一流の武獣家になる夢を諦めきれニャかった。

 猫爪拳にいてもその夢を叶えるのは無理だと思ったのニャ」


 それは良い選択だと僕は思う。

 自分に向いてないと思う所で頑張り続けるのも難しいだろう。

 頑張り続けて才能が開花した、みたいな事もあるのかもしれないけど……。

 

「でもそれも現実逃避だとわかったニャ。

 色んな流派を見たけど、結局まずは身のこニャし。

 これが良くニャければ武獣家は始まらニャいニャ」


 タマが強がって無理に笑顔を作る。


「もちろん許可を貰って旅に出たニャ。

 でも、きっとみんな諦めて逃げ出したと思っているニャ。

 そんな私が、どんな顔してみんなの前に出ればいいニャ。

 大して成長もしてニャいのに……」


 タマがまた顔を伏せてしまった。

 いつも明るいタマだけど、そんな過去があったのか……。

 確かに、馬鹿にされると分かっている相手に会うのは嫌だろう。

 見返す自信があるなら別だけど。

 タマはまだその自信が付いてないという事か。

 でも、僕はタマが凄いって事を知っている。

 タマはきっとこの先、超一流の武獣家になる!


「タマ、聞いて。

 僕が記憶が無いのは知ってるでしょ?

 だから、とにかく流されるままにするしかなかった。

 そこに自分の意思は無かったんだ」


 僕が話し始めても、タマはまだ顔を伏せたままだった。

 

「サルに襲われて逃げ、タマに助けてもらって。

 フーさん達に会って、一緒にと誘われて……。

 これは全部そうするしかなかった事なんだ」


 タマの方を見ると、ようやくタマが顔を上げ、こちらを見ていた。


「でもね、タマとジーショウさんの闘いを見た時に思ったんだ。

 "もっと見たい!"って。

 タマの闘いを沢山見たいってね。

 これは紛れもない僕の意思だ。

 流されていたら道は一つだけど、自分の意思で泳ぎだしたら一気に心が自由になれて……。

 タマといるのももっと楽しくなった」

 

 タマがキョトンとしている。

 

「あの闘いは本当に感動した。

 きっと武獣家としての実力なら、ジーショウさんの方が上だったでしょ?

 それでもタマは諦めずに逆転してみせた。

 強い武獣家は沢山いるけど、見た者の心を動かす武獣家ってのは、そうそういないんじゃないかな?

 それに、アムさんだってタマの事褒めてたじゃない。

 獣力は中々とか、良くなってきたとか……」


 タマはまたしても首を横に振る。


「あれはお世辞ニャ。

 一応お客さんって事だったから……ぶべっ!」


「タ、タマー!?」


 タマは話の途中で殴られ、横へピューンと飛んでいった。

 そしてそのまま地面にゴロゴロと転がった。

 今までタマが座っていた場所には、いつの間にかアムが立っていた。

 アムが体をクネクネさせて言う。


「おバカな子猫ちゃんね。

 アタシはお世辞なんか言わないわよ。

 この国、いや、大陸最強の武獣家なんだから〜」


 ふらふらと立ち上がるタマ。

 それを見て、アムはさらに続ける。


「タマちゃん、あなたの獣力は底が知れないわ。

 アタシの目は確かよ。

 だからタマちゃん、あなた……」


 タマと僕がゴクリと唾を飲み込む。


「ゴウリちゃんの処へ行きなさい!!」


「ニャ、ニャんで?」


 あまりに突然の話でタマの目は点になっていた。

 代わりに僕がアムに訊ねる。


「ア、アムさん、何でゴウリさんの処へ行けと?」


 アムはタマに向かって、ビシーッと指を指したままの格好で答える。


「タマちゃんはネコの動きが苦手なんでしょ?

 だったら他の動物の動きを参考になさいな。

 サルだっていい動きするでしょう」


 アムは宙返りや側転して、サルの動きを真似していた。

 そしてニヤリと笑うと続けて言った。


「それに何だかゴウリちゃんに貸しがあるんでしょう?

 それを利用しなきゃダメよ!

 ゴウリちゃんって面倒くさがりだから、いつもは何を頼んだって聞いてくれないのよ。

 でも、ゴウリちゃんは本物よ。

 きっとタマちゃんの悩みを解決してくれるわ」


 タマと僕は顔を見合わせる。


「どうする、タマ?」


「私は、私を信じてくれるアム様を信じるニャ。

 エープに、ゴウリ様の下に行って教えを請うニャ!」


 タマの言葉を聞いたアムは、謎のポーズをしながらタマに向かって親指を立てた。


「バッチグ〜」

 

読んでいただきありがとうございます。


ゴウリの下へ行くことになりました。

次はその道中でのお話です。


よろしくお願いします。

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