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ネコジャRUSH!   作者: ジョン・道
第一章 転移と出会い〜フェリダエ武獣研鑽会まで
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第十三集 アム! 半端ニャいって!


 フェリダエ最強の武獣家の一人アムは、何とオネェっぽかった。

 ただ、その見た目は最強の名に相応しく、かなりの迫力だった。

 それだけに混乱も凄かった。


「ところでエノちゃん!

 フーから聞いたけど武獣家の交流会、とってもいい考えじゃなーい!

 素敵だわ〜」

 

「あ、ありがとうございます。

 そんな突飛な考えではないと思うのですが、喜んでいただけたようで何よりです」

 

 少しづつ見慣れてきたとはいえ、やはり緊張する。

 隣のタマなんて未だに固まったままだ。


「アタシって忙しくて、中々この道場から出られないのよね〜。

 だから交流会が……」


「アム様! 本日の組手希望者30名です!」


 会話の途中だったが、一人のトラがアムに何か報告をしてきた。


〈組手希望者? どういう事だ……?〉


「よっしゃあ!」


 アムはそう叫ぶと宙返りして、道場の中央へと降り立った。

 さっきまで稽古していたトラ達が、今は中央を囲むように壁際に並んでいる。

 中央にはアムと彼?に対峙した武獣家の集団がいた。

 様々なネコ科の集団で、ヒト型、ケモノ型どちらもいた。


「かかってこいやー!!」


〈キャラが変わってる……〉

 

 アムが声を張り上げると、集団の中から一人の武獣家がアムに向かって飛び出した。

 しかし次の瞬間、そのジャガーか豹かの武獣家は吹っ飛び、壁際のトラ達に抱えられていた。

 何が起こったのか僕には全くわからなかった。


「つぎーー!!」


 あとはその繰り返しだった。

 武獣家がアムに向かっていっては吹っ飛ぶ。

 あっという間にアムに対峙する者は一人もいなくなった。

 アムに伸された武獣家達は道場の隅に寝かされた。

 周りで見ていたトラ達が、アムに「お疲れさまです!」と頭をさげていた。


「つ、強すぎニャ……」


 タマが今度は別の理由で固まっていた。

 アムに一撃でやられた連中もタマより腕が立つらしい。

 アムは組手を終え、さっきの巻き戻しのように、今度は後方宙返りで僕たちの処へと戻ってきた。


「おまたー!

 すぐ終わるから、いいかなー? と思って抜け出しちゃったわ。

 ごめんなさ〜い」


 そう言ってアムがウインクする。

 あの強さを見せつけられ、誰がこのトラに文句を言えるだろうか。

 そもそも見た目からして無理だ。

 フーが補足するようにアムの言葉に続く。

 

「会話の途中でしたのにすみません、お二人。

 アム様の下には近隣から、組手希望者が毎日のように現れるのです。

 それ故アム様は、中々この道場を離れられないのです。

 アム様が組手を好まれるというのもありますが」


「活きのいい若者は大歓迎よ!」


 アムがエビ反りになって、謎のポーズをビシッと決める。

 ていうかあれを組手と呼べるのだろうか……。

 向かって行く方も行く方だ。

 でも、頂点の強さを体感するのも大事なのかもしれない。


「タマちゃんもどう?

 いつでもかかってきていいのよ〜」


 アムにそう言われ、固まっていたタマの顔がみるみるやる気に満ちていった。

 アムという規格外の存在に面を食らっていたが、タマもやはり武獣家。

 この貴重な機会を逃す手はないと思ったようだ。


「アム様、ありがとうございますニャ!

 お言葉に甘えさせていただきニャす!」


 タマはそう言い終わるや否や、爪を出し獣力を纏わせた。

 

「回転ネコ波无智!」

 

 ジーショウ戦で使った技で、クルクルと回りながらアムに向かっていくタマ。

 しかし、遠心力を利用したタマの爪の一撃を、アムは瞬き一つせずに脳天で受け止めた。

 勢いを完全に止められたタマが、尻もちをつくようにアムの目の前に落ちた。

 アムの頭は全くの無傷だった。


「獣力は中々ね。

 でも回転が遅いわ。

 それじゃあアタシのゴージャスな皮膚は切れなくってよ」


 アムがニヤリと笑う。

 タマは苦笑いだ。

 

「タマちゃんは可愛いから、特別にアタシの技を一つ見せてあげるわ。

 見逃しちゃダメよ〜」


 タマが立ちあがり、さっと身構える。

 そのタマに向かって、アムの野太い声が飛んだ。


「愛・アム・レディ!」


 相変わらず僕には何が起こったのか分からなかったが、アムが叫ぶとタマの体はピューンと飛んでいった。

 そしてそのまま道場の壁を突き破り、タマの体は道場の外へと放り出された。


「タマー!!」


 見ていたトラ達の中から数人、外へと飛び出していった。


「アム様、やり過ぎです。

 タマ殿は客人ですよ」

 

「あら? これでも加減したのよ。

 掌底のところを指二本にしたんだから」


 フーにたしなめられたアムだったが、全く意に介していないようだ。

 

「寸止めで良いのです。

 寸止めで」


「寸止めだなんて、勿体ぶっちゃイヤよ〜」


 アムが体をクネらせる。

 やはりこのトラは強さの次元が違うようだ。

 などと考えていたら、両脇を抱えられタマが戻ってきた。

 慌ててタマに駆け寄る。

 

「勉強になりニャした……。

 ありがとうございニャした」


 タマがボロボロになりながらも、アムに礼を言った。

 アムがそんなタマを見て、嬉しそうに言う。


「タマちゃんって、ホントに可愛いわ〜」

 

 

読んでいただきありがとうございます。


アム、強いです。


次話は武獣の交流会についてです。


よろしくお願いします。


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