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6話 偶然

 土曜日。体育祭のこともあり、憂鬱な休日。

 「こんな日は、一人で趣味に打ち込みますかね」

 うーん。元気を出そうと独り言を呟いてみたけど悲しいな。うむ、虚しい。南無妙法蓮華経……


 ということで、オタクが集う店 "アニスト"に来ていた。最近発売されたラノベでも探索しますかね。ラノベは特に好きだ。将来の夢は、ラノベ作家とか思ってた時期もありましたな……俺が書くと、駄作になっちゃうんよな。まさしく駄作製造機。


「おっ、この新刊面白そうだな」

 と他の人に聞こえないように、ブツブツとつぶやきながら手を伸ばすと、ちょうど他の人と手が重なった。


「あっ、すいません」

 うわ、この夢中になって気づかなかったこのオタクの恥ずかしいパターン! やめろ! 穴があったら入りたい! この場から俺を消滅させてくれ!


「いえいえこちらこそ……ってえぇぇぇぇえええぇえぇぇ!」

 いやそんな驚かなくてもいいじゃないか、恥ずかしい。てかこんな何に驚いているんだ? と相手の顔を見てみると


「えぇぇぇえええぇぇぇえからのおぉぉぉおおおぉぉぉぉおおお!?」 

 と俺もこの場を忘れて叫んでしまいました。


 「桐峰さん!?」


 「井山君!?」

 なんで桐峰さんが!?




 あれから叫んでしまい、恥ずかしくなったので桐峰さんと共に、近くの飲食店に。

 「「…………………………」」

 気まずい気まずい気まずい! 俺みたいなある程度オタクキャラがついてたらいいけど! 桐峰さん女子だし! そういうキャラじゃないし!


「……注文するね」

 桐峰さんが口を開いた。


「あっどうぞお好きなものを」


「私は、パスタとサラダとドリンクバーにしよ。井山君は?」


「じゃ俺ハンバーグセットで」

 あぁ、反射的に言ってしまった! なんだこの流れ!


「じゃ注文しとくね? ドリンクバーいるよね?」


「あ、うん」

 すごいな、ハイスペックメンツって。気配り最強やん。



               「「………………」」


「ドリンク取ってくるわ」

 今度は俺が口を開く。何とか沈黙から抜け出さないと。


「あ、私も行く」

 いや、なんでついてくるの!?


 飲み物の種類を見てると桐峰さんは呟いた。


「……あのさ。やっぱり私ってそういう星に生まれてないよね?」


「そういう星?」

 いまいち意味がわからず、聞き返す俺。


「とりあえず、食べながら話すよ」

 どこかすごく悲しそうな寂しい表情をしていた。


「こちらハンバーグセットになります。で、こちらがサラダとパスタになります」


「「ありがとうございます」」

 注文していたものも来て、食べながら桐峰さんは改めて


「井山君もオタクだよね? やっぱりさ、男子は誰しもオタク気質なとこあるじゃん?」

 と問いかけてきた。


「まぁわかる。男って何かと凝り性かも。まぁこういうの今の時代に言っちゃいけないんだろうけど」

 今の時代LGBT等あるが、基本男子はオタク気質。女子だってアイドルやアニメが好きな人がいるけど、男は何かと集めたがる。スポーツ お笑い 服 車 アニメ 時計などなど……


「だーよね。はぁやっぱり男に産まれたかったなぁ」


「桐峰さんはオタク?」

 そういう星と彼女は例えた。彼女はオタクキャラになりたかったのか。美人な容姿、完璧なスペック。そんな子はオタクにはなってはいけない。そういうことなのだろうか。


「超がつくほどオタクだよ。ラブコメとか大好きだし」


「意外過ぎる……」

 しかも美人なのにラブコメ好きなのか


「で、何が望み? 身体、金?」


「ちょっとちょっと! なんでそんな話になるんだよ」

 悪いことや犯罪をしたところを見た、ならまだわかるが、ただオタクなのがバレただけなのに。


「え? じゃ何が望みなの?」

 不思議そうな顔をする桐峰さん。


「何も望みとかないって。オタクなのがバレたくないなら他の人には言わないし」

 流石に秘密を握ってどうこうしようとは思わない。人間だれしも少しの良心は持ってるしさ。


「……ほんとに?」

 桐峰さんはもう涙が出そうだった。いやもう出てたのかも。でもその泣き顔は美しかった。


「逆に桐峰さんはなんでそんなこと言うの?」

 明らかに異常だ。昔になにかあったのだろうか。


「井山君の家って近く?」

 不意に桐峰さんはこう言った。


「いや、俺はちょっと電車乗ったりするからちょっと遠いかな」


「私の家、ここから近くなんだよね。そこに全て"ある"から」

 なるほど、そこに全てが……って俺女の子部屋初めてだよ!






実は作者が誕生日だったりします

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