襲撃
次々と仲間から放たれる矢を見つつ、レジウスが駆け抜けたその先には、ラーナ国兵士が食糧を積んだ馬車の周りで槍を使い、必死で矢を弾いていた。
「タッカーとデイルは適当に兵士を! 俺は馬車の中にある食糧の収納を優先するから」
「了解だで!」
「任せな!」
「雑兵がっ!」
ラーナ国兵士がそう叫びつつレジウス達に向かって槍を突き出す。
「誰が雑兵だよ反乱軍の癖にっ!」
レジウスがそう言って槍を避けつつ、その兵士の首を剣で斬りつける。
「ガハッ……」
声にならぬ声を漏らし、ラーナ国兵士の首から鮮血が吹き出る。
それを皮切りに矢を放っていたサンライト皇国側の兵士が、槍を構えて突撃してくる。
「レジウスの邪魔はさせんだで!」
「従士らしい事しないとクビにされちまうからなぁ!」
「レジウスはそんな薄情ではないべ」
「まあそうだけど」
タッカーとデイルは、そんな軽口を叩きながらも、ラーナ国兵士を斬り伏せていく。
流石は元一流冒険者である。
サンライト皇国兵士も乱入したことにより、怒号が響く雑木林。
レジウスは食糧が積んであるであろう幌馬車に取りつこうと、敵を斬り伏せつつ進む。
そうして幌馬車の後ろ側にたどり着き、幌の開口部を開く。
「ちっ、ハズレかよ。予備武器馬車だったか。次っ!」
そう吐き捨てるとレジウスは別の幌馬車へと向かい、兵士を一人斬り捨ててから幌を捲る。
「お、当たりだ。収納! よし、次だ」
次々と幌馬車の幌を巡っては食糧を収納していくレジウス。
「若っ! 敵が退却していきます!」
「深追いするな! 我らの任務は敵の補給を断つ事だ。周囲を警戒しつつその場にて待機してろ」
「了解致しました!」
レジウスの任務は恙がなく終了したのだったが、逃亡したラーナ国兵士は、収納魔法の使い手が補給部隊を襲って来たと、上司に報告するためひたすら走った。
そしてその報告は、ブルーパイン子爵家新当主ディランの耳に入る。
「レジウスの野郎、戦場に居やがったのかっ!」
憎々しげな表情を浮かべ、ディランがそう言葉を吐き出すと、
「ディラン様、どういたします?」
そう聞いたのはディランの臨時副官。
「決まってんだろ! レジウスをぶっ殺す!」
ディランが唾を飛ばしながら大声で叫ぶ。
「しかしあやつはそれなりの腕ですぞ」
「何のために皇太子を人質に取って、あの野郎の身柄を要求したと思ってんだ! 皇太子を縄で身動きできないようにグルグルに巻いて、前面に立たせてレジウスを誘き出せ!」
「皇太子を奪われませんか?」
「奪われないように上手くやるのがお前の仕事だろうが!」
副官の横顔を殴りつけながら、ディランが言う。
殴られて地面に尻餅をついた副官が、殴られた左頬を左手で押さえながら、
「はいっ! 申し訳ありません!」
と謝罪した。
「グズがっ!」
副官を見下したまま、ディランがそう吐き捨てた。




