参戦
ザコディリス侯爵家の暴走とでも言うべき今回の事件に、ノースセツ王国が事態の打開を図るべく王宮より使者を向かわせることになったのが、サンライト皇国が兵士を差し向けた日から5日後。
ノースセツ国王が兵士を引くようにとの命令をザコディリス侯爵家に発令したのだが、兵士を引くどころかザコディリス侯爵家はさらに冒険者を雇い兵士を増やした。
それを確認したノースセツ王家の使者は、急ぎ王都に引き返そうとしたのだが、ノースセツ王家からの介入を受けたくないザコディリス侯爵家は、使者を拘束。
少しでも時間を稼ぐため、使者など来ていないことにするのだった。
ちょうどその頃、ラーナ国とサンライト皇国騎士団は全面戦争に突入した。
ラーナ国は国境沿いに多くの魔法兵を配置していたようで、魔法兵による魔法の撃ち込みで、サンライト皇国国境近くの村に多大なる被害が出た。
ラーナ国は戦のセオリーを無視し、兵士に向けてではなく、一般市民に向けて攻撃を開始したのだ。
一箇所に集合し、どう動くか思案中だったサンライト皇国騎士団とパイン三家軍は、家の報告を受け急遽国境地域の村々を守るべく散開することになる。
急ぎ展開したため、作戦など決まるはずもなかった。
各村々にサンライト皇国騎士団やブラックパイン男爵軍、レッドパイン伯爵軍などが到着し、怪我人などの救出と手当て、さらに防衛のために動き出した時、ブルーパイン新当主ディランは、数人の共を連れ白旗を掲げてラーナ国側に向かう。そうしてラーナ国王と密会したのだった。
さてそんなことになっているとはつゆほども知らぬ王太子は、各地に布陣することになった自国の兵士を鼓舞するべく、村々を回っていたのだが、ブルーパイン子爵家が防衛することになった村に到着した日、ブルーパイン新当主ディランと面会するため訪れた村の村長宅にて、拘束されてしまったのだった。
ディランは王太子を人質に取り、そのままラーナ国側に合流。
ブルーパイン子爵家が守るはずだった村からラーナ国兵士が次々と侵入したことにより、戦線が崩壊してしまった。
さらに総大将である王太子が身柄を押さえられたことにより、サンライト皇国側の指揮が一時混乱したことによりラーナ国が優勢に。
サンライト皇国は、ラーナ国にかなりの侵攻を許してしまう。
ブラックパイン男爵家当主レナードは、独断で息子のレジウスと闇通信により連絡をとった。
当然、レジウスに参戦を促すためである。
レジウスはこれを快諾。
デイルやタッカーを引き連れ、ラーナ国に占拠された村を見下ろす高台へと到着した。
「父上」
「レジウス、早かったな。ご覧の通りだ。ディランの奴が我が国を裏切っただけでなく、皇太子殿下を人質にとって兵士を引けと要求する始末だ。パイン家の恥だ」
「あのバカ、何を考えてやがる……」
親子の会話の途中で、
「敵襲!」
と兵士が叫ぶ。
見るとラーナ国軍が迫って来ていた。
その中にブルーパイン子爵家の兵士見える。
「魔法放てっ!」
ラーナ国側からの声と同時に無数の火の玉が発射された。
「た、退避だっ!」
レナードの叫びに、
「父上、間に合いません! 私にお任せを! 収納!」
レジウスのその言葉と同時に迫り来る火の玉が消失した。
いや、レジウスの亜空間に収納されたのだ。
その後、ラーナ国側から放たれる矢の雨も、レジウスは次々と収納していく。
そして、
「放出!」
レジウスがそう言うと、収納した攻撃魔法や矢が次々と敵、ラーナ国軍やブルーパイン子爵家軍に向けて排出されたのだった。




