バレる
「皆の者! 一つ余興を思いついたのだが、私の余興に付き合ってくれる者は明日も宮殿に来い。面白いモノが見れるぞ。そこの者、明日必ず来い。当事者も呼ぶのでな。これは余からの勅命である!」
帝は、そう馬鹿に言うと隣りに立っているラーナ国の侯爵に、予定通りの話を投げかけるべく歩みを一歩進めた。
『レジウスを呼べ』
と、レナードに話しかけながら。
「え? 宮殿に?」
レジウスは思わず問い返す。
もちろん、相手は父であるレナードだ。
「ああ、帝からの勅命だ」
と答えたレナードに、
「なんでまた?」
「お前、またやらかしただろう」
「ええ? 何かやったかなぁ?」
「こないだのアレじゃない?」
そう言って会話に入ってきたのはリーナ。
何故ならこの会話は、レジウスの自宅、それも三人で小さなテーブルを囲んでおこなわれているからだ。
時は園遊会の行われた夜にである。
レナードは帝からの命令を遂行すべく、レジウスの家に向かった。
そうしてレジウス宅に入った時、それはもう大変驚いた。
息子の家、しかも一人暮らしのはずのレジウスの家だったので、遠慮なく家内に影移動で乗り込んだら、ベッドの上で息子と若き女性が裸で絡んでいたのだから。
しかもその女性が、貴族籍からは外れたとはいえブラックパイン男爵家からみて総本家であるレッドパイン伯爵家の娘であるリーナだったのだから。
「なぜだぁあああああっ!!」
思わず叫んだレナードの気持ちは、形容し難いものだっただろう。
その後大騒ぎして、一旦レジウスの家からレナードが出てリーナが服を着る時間をとり、その後3人での侃侃諤諤のOHANASIがもたれた。
リーナの行方はレッドパイン伯爵家だけでなくパイン3家、つまりブルーパイン子爵家とブラックパイン男爵家も含め、総動員で探していたのだ。
いくら喧嘩して家を出た娘であろうとも、自分の娘がどこで何をしているのかは気になるのが親であり、出て行けと言ったのも売り言葉に買い言葉な訳で本心ではなかったのだから、心配で堪らなかったのだ。
リーナは母親にだけは行く先を教えていたが、「誰にも言わないで」と言ってあり、母親もそれを守り家中が大騒ぎして探しているのに、何も言わなかったのだ。
なかなか根性の座った伯爵夫人である。
まあ、今バレてしまったので、この後レッドパイン伯爵家には、レナードからリーナの居場所が伝わるだろうが。
さて場面は戻って、レジウス。
「アレ?」
レジウスがリーナの方に顔を向けて聞くと、
「こないだ貴族っぽいのに絡まれたじゃないの」
レジウスが本当に覚えていないのか、半信半疑のリーナが説明をする。
その説明を聞いたレジウスは、ようやくその時のことを思い出したのか、右膝に右拳をポンと叩いて、
「あー! あのブタさんかぁ。イチモツ小さかったなぁ。あははは」
と笑う。
「笑い事じゃあないぞレジウス」
そう言って、レナードが肩を落として溜息を吐き出すのだった。




