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魔法


「大きめの魔石だね。今日の獲物は何? 領内に被害は無かった?」


 レインが自身の手のひらにある魔石を見つめながら、レジウスに聞くと、


「トンガリ山でまたオークが出たのと、オーグラ沼のウォータードラゴンが暴れたくらいだな。怪我人はなし。それ以外は特に問題ないかな」


 と笑って答えたレジウス。


 トンガリ山とは、ウージ領の南西部にある町中にある、先にレジウスがオークと戦闘をしていた付近の山のことで、山頂部が尖った岩山であることから名付けられた。


 山の麓は少しばかりの森が広がり、その森には周囲が開けた農村であるにもかかわらず、ゴブリンと呼ばれる小型の人型の魔物や、オークと呼ばれる中型の人型の魔物が出没する。

 何度殲滅しても出没するので、一度森を囲んで外部から侵入しないように見張ったのだが、それでも出没した。

 これにより魔物は魔力の濃い場所で自然発生する事がほぼ証明されている。


 オーグラ沼とは、ウエストサンライト帝国内で二番目に大きな湖沼であり、一番大きな湖であるライデン国(サンライト皇国の北東隣にあるウエストサンライト帝国所属の国)のビーワー湖から流れ出る唯一の河川であるウージ川が、サンライト帝国時代に氾濫して形成された沼であり、深くはないのだがとにかく広い。 


 ウージ川とオーグラ沼は、今でも一箇所で繋がっているため沼の水が引く事はない。

 オーグラ沼の大きさは、ウージ男爵領の領地面積の5分の1に相当する。

 そこにウォータードラゴンと呼ばれる大きな顎と太く筋肉質な尻尾を持ち、短い手足で陸上を四足歩行もできる水生の魔物が住み着いており、漁師の天敵となっている。


 狩っても狩っても、上流にあるビーワー湖で繁殖したウォータードラゴンの幼体がウージ川に流されてきては、オーグラ沼に住み着くのだ。

 これはビーワー湖でウォータードラゴンの繁殖を抑えられていないから仕方ない。


 そもそも人は水の中で機敏に動けるわけがなく、上陸していたり浅瀬にいるウォータードラゴンしか退治できないのでどうしようもない。

 これは、ビーワー湖が国土の4分の1を占めるライデン国でも頭を悩ませている問題である。


 ビーワー湖水系ではウォータードラゴンはどこの水場にも生息しており漁師にも迷惑がられているし、ライデン国内では年に数十人はウォータードラゴンに食い殺されている。


「大問題だけどね。しかしあの山、しょっちゅう魔物が湧くよね。ウォータードラゴンによる漁師の被害も多いし、どうにかしたいなぁ。父様に進言してるんだけど、具体案を出せと言われてもなぁ」


 そう言うレインに、


「あるにはあるが、漁師の説得が不可欠だからなぁ」

 

 と返したレジウス。


「あるのっ⁉︎ 」


 少し声を大きくしてレインが聞き返すと、


「トンガリ山を崩してその土砂でオーグラ沼を埋めればいい」


「そりゃそんな事出来ればいいけど、そんな事したらいくら金がかかるか……ん? 兄さんの空間魔法を使えばそれなりに可能?」


 レジウスの顔を見つめながら、問いかけたレイン。


 レジウスは闇魔法の才能にはあまり恵まれなかったが、多少の風魔法が使え、無属性魔法、特に空間魔法と呼ばれる魔法にはかなりの才能があった。


 空間魔法の一例をあげるとすれば、魔力によって形成される亜空間に物を収納できるという、商人達からすれば喉から手が出るくらいに欲しい魔法である。


 まあ、それなりの魔法が使えれば商人などしなくとも良いのだが。

 ある程度の魔法の才能があれば、たとえ平民であっても、一代貴族(爵位の相続は出来ない)の騎士爵に任命され、国の仕事に従事することも可能になるからだ。

 貴族の子供であれば嫡男でなくとも、準男爵と言われる、騎士爵よりも身分の高い一代貴族になれる。


 辞退することも可能だが、そんな者はまず居ない。

 そもそも、魔法を使える者は少ないので優遇されていて、平民でだいたい1000人に1人くらいの割合で魔法使いが生まれる。

 が、それがそこそこ使える者となると、その数はガクッと減る。

 ほとんどが指先に小さな炎を灯せるとか、コップ一杯の水が出せる程度なのだ。


 そして貴族は、そこそこ魔法を使える者を陪臣の子との婚姻などにより派閥に取り込むことが多いので、貴族の家に生まれる者やその従士には、魔法が使える者がかなりの割合で居る。

 およそ3人にひとりは魔法が使える子が生まれる。それがサンライト皇国貴族である。

 ちなみに魔法が使えるかどうかは、産まれた時にすぐ分かる。

 魔法が使える者は光輝いて産まれてくるからだ。

 その光の加減で、将来魔法がどの程度使えるのかが分かるのだ。


 そして、貴重な魔法使いを国に取り込むために、助産師は国による任命制度となっていて、魔法使いが産まれれば、即、国に報告することが義務付けられており、貧乏な、例えばスラムに住む者などの子供であっても、国が引き取って育ててくれるし、両親にもそれなりの資金の給付があったりする。


 話が逸れたがちなみに、先出のジンという少年は、攻撃魔法が使えるため成人と同時に騎士爵が与えられる事は、既に決定している。



ウォータードラゴンはデカイワニだと思って貰えるとよいかと。


今日は、あと数話投稿していきます。

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― 新着の感想 ―
[一言] なぜかわからないけど、なんとなく地図が浮かぶ笑
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