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依頼


 数日後


「レジウス様、お久しぶりにございます」


 そう言ってレジウスの自宅を訪れたのは、ブラックパイン男爵家の警備主任であるイグニスという男だ。

 年齢は40を超えているだろう。

 ブラックパイン男爵家の分家の出身で、陪臣でもある。


「久しぶりって、家出てまだ1ヶ月ちょっとだが? 久しぶりっほどでもないだろ?」


「レジウス様を1ヶ月も見てないことなどありませんでしたので、久しぶりという感覚なのです」


「そんなもんか? で、用事はなんだ?」


「仕事を依頼したいので、屋敷までご足労願いたいのです」


「仕事? なんだろう? 分かった。今から行けば良い?」


「お願いします」



 てなことで、ザックに乗って1ヶ月ちょっとぶりに、屋敷に帰るレジウス。


「おかえりなさいませ、レジウス様」


 と家令が頭を下げて出迎える。


「ああ、ただいま。父上は?」


「書斎にてお待ちです」


「書斎? なんの用事なんだろ?」


 レジウスは勝手知ったる実家の廊下を歩き、父親の書斎のドアをノックし、


「父上、レジウスです」


 と声をかけると、中から、


「入れ」


 と声がしたので、ドアを開けて入室し、


「失礼しますって、レインも居るじゃないか。元気にしてたか?」


 父親の横に立っていた弟にも声をかけた。


「はい、兄さん。兄さんは元気そうですね。聞きましたよ」


「ネビルやウィンクル家の事か?」


「イーリス家の降格の件もです」


「馬鹿相手に儲かったよ。で父上、仕事とは?」


「オーグラ沼干拓工事の土砂運搬を依頼したい」


「ん?……前にレインに言った件か。いいんですか? 漁民の仕事を奪うことになりますよ?」


「漁民には干拓後の農地を与えると約束をする事で了解を得た。トンガリ山の跡地も農地にできるはずだしな。干拓中はお前の手伝いで報酬を払う事で生活の保証をする」


「なるほど。トンガリ山の木材のほうは?」


「加工して用水路やそこに掛ける橋などに使えるだろうから、先に伐採させようと思っておる」


「伐採させなくても私の方で回収して、木だけ選別して渡しますよ?」


「林業関係者には、あの山の木材を通常より高く買う事で話をつけたから、お前の手を借りるわけにはいかんのだ」


「なるほどねぇ。いいですよ。いつから私が動けば良いので?」


「伐採の前にトンガリ山の魔物を殲滅してほしいから、すぐにでも動いて欲しい。報酬は金貨80枚でどうだ?」


「家族割引して50枚でいいですよ」


「いや、それは流石に安過ぎないか?」


「別に生活に困ってるわけでもないし、新たな農地にするにしても、すぐに大量に収穫できるわけでもないでしょう?」


「それはそうだが」


「実家からむしり取るのも気が引けますしね」


「助かるよ」


「そのかわり、オーグラ沼干拓地の一部を私に下さい」


「どのくらいだ?」


「そうですね……自分が食べる分の麦を育てられるくらいの土地でいいです」


「それぐらいなら許可する」


「では決まりですね。書類をお願いします」


「ああ」


「では、書類が出来るまで、トンガリ山で暴れてきます」


「よろしく頼む」


「んじゃ、レイン、行ってくる」


 レインに手を振ってから部屋を出て行くレジウス。


 それを見送ってからレインはレナードに、


「兄さんって、農業に興味あったんですね」


 と言うと、


「レイン、アイツは麦を作るとは言っとらんぞ」


 と笑うレナード。


「え?」


「一人食えるだけの麦の収穫を見込める土地をくれとは言ったが、麦を植えるとは言っとらん。そもそも干拓地をくれとは言ったが農業をするとは一言も言っとらんからな」


「麦を植える訳ではないので?」


「さてな。アイツは小さい頃から何を考えておるのか分からんからな」


 レナードがそう言いながら契約のための書類に取り掛かるのだった。



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