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フォレストランドの男


 その夜、レジウスがリーナを交えた楽しいディナーを食べている時、タワラ領のとある屋敷では今回のオーク討伐による被害の再確認や、死傷者達への補償などで激しい言葉が繰り広げられていた。


 主にレジウスへの恨みつらみだったが。


 その会話を、ドアの外側で耳を貼り付け聞いていた人物が居たのだが、それに気がつく者はいなかった。


 1人でも気がついていたならば、いや、ちゃんとレジウスの事を皆に伝えていたならば、翌日の騒動など無かったであろうに……



 翌朝、レジウス達が遅めの朝食を終えて一息入れている時に、ブラックパイン男爵家にフォレストランド男爵家からの書状を携えた使者が訪れた。


 書状の宛名はレジウス。


 応接室でレジウスは、初めて見るフォレストランド男爵家の次男だという太った男、名をイアンというのだが、そのイアンから書状を受け取ると、ソファにドスンと座り読みだす。


 読み終わったレジウスが、


「オークを意図的にタワラ領へ我々が誘導したと?」


 そう言ってイアンを睨むレジウス。


 イアンはレジウスの視線に少し身構えたが、冷静を装う。

 イアンが持ってきた書状には、不当にオークをウージ領からタワラ領側に誘導し、多大な被害を出した責任を取れと、抗議の文章がしたためてあった。


 しかもブルーパイン子爵家の次男である、ケビンの署名も連名で。

 ちなみにフォレストランド男爵家の統治領であるタワラ領と、ブルーパイン子爵家の統治するウォーキン領は隣である。

 だからこそ連名出来たのであろうが。


「領境付近に居たというオークが、前日ウージ側で戦闘があったのにもかかわらず、10体もタワラ領側に居た事に説明がつきませんから。どうせ倒せぬと思ってこちらに誘導でもしたんでしょうがね」


 そう言ってイアンは二重顎の贅肉を揺らしながら、ブラウンヘアを右手でサッとかきあげる。

 全く様になっていないが、それを気にする様子もない。


「ウージ領側での戦闘ではオーク30体を倒したのだが? わざわざタワラ側に誘導などしなくてもコチラであと10体くらい処理できるが?」


 と返したレジウスに、


「なっ⁉︎ いや、それを証明できますかな? 口ではなんとでも言えますからな」


 少し目を見開いた豚、もといイアンがどうにか取り繕う。


「うちの兵も見ているし、実際戦闘をしているが?」


「領主の長男であるレジウス殿の言葉を否定出来る兵が、この領に居るとは思えませんので」


「ふーん……見せれば良いのか?」


「解体場にオークの死体がまだそのまま置いてあるので? 肉の鮮度を保つためにも、既に解体されておるでしょう? 古いオークの骨など見せられても証明にはなりませんぞ?」


「お前、さては俺の事知らねえだろ。フォレストランド家の家令の、たしかバランだっけか? ちゃんと教育してねえみてぇだしよ。ついにボケたかあのハゲジジイ」


 レジウスがバカにしたような目で、イアンを見ながら言うと、


「確かに私はロクデナシと噂のレジウス殿の事など、最近まで名しか知りませんでしたが、バランの言うとおりのロクデナシのようですなぁ。我が家の家令の事を悪く言ったのは父上に報告させてもらいますので」


 イアンはそう言い返したのだが、


「ふん。見せてやるから表に出ろ」


 と、レジウスが顎で応接室のドアを示して言うと、


「私とやるつもりですか……私の水魔法の餌食になりたいようだ。立場が悪くなると暴力とはブラックパイン男爵家の長男殿は、噂通りの乱暴者のロクデナシですなぁ」


 とイアンが偉そうに振る舞う。


「バカの相手するのは疲れるが、とりあえず外に出ろ。ここでは出せねぇからな」

 

 イアンの眼を睨みつけながらレジウスが言うと、イアンは少し不安気に、


「何をですかな?」


 と聞いたのだが、


「決まってんだろ、オークだよ」


 レジウスはそう言い放った。


「オーク?」


「俺は空間魔法が使える」


「空間魔法なら私でも使えますが? 武器などは収納してありまから、表に出れば槍を出させて貰いますぞ」


「オークを空間魔法で収納してると言ってるんだ。亜空間ならオークの鮮度を落とさず保管出来るからな」


「1体のオークを出されたところで、30体のオークが居た証明にはなりません」


「誰が1体だと言った? 30体だ」


 と聞いたイアンの口から、


「へ?」


 と、マヌケな声が漏れた。


「30体全部収納してある!」


 と言い切ったレジウスに、


「そんなバカな! 嘘を言うな! かなりの使い手である私とて、空間魔法での収納などせいぜい2メートル四方だっ! 30体などオークはおろかゴブリンでも収納できる訳がない!」


 と声を荒げるイアン。

 普通の空間魔法の使い手として、確かにかなりの使い手であるのだが、相手が悪かった。


「見せてやるから庭にでろよ。なんだよ見せられるのが怖いのか? まあ、自分の常識を壊されるのは怖いだろうし、気持ちは分かるから、土下座して謝れば許してやるぞ?」


 そう言って薄ら笑いするレジウス。



お昼にもう一話アップします。

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