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上京男子と地方局マニアの女子  作者: 白石あみの
~2年生・春休み編 Part2~
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第94話「岐阜お茶の間恋愛話」

春休みもあと1週間ほど、良哉は短いタイミングで岐阜に帰るのですが…

「6番線から、電車が発車します。ご注意ください。」


春休みもあと一週間ほど。俺はややタイトなスケジュールで岐阜の実家に帰っている。

未緒「良哉。おかえり。」

良哉「ただいま。改めてごめんね。部活のスケジュールとかの関係で帰ってくるの遅くなっちゃうしほんな長くいられへんしで。」

未緒「帰ってこれるだけええ方よ。」


2泊3日。やはり春の帰省はタイトなスケジュールだ。俺はいつものように岐阜駅前にあるテレビ局に寄り道してそこでタイムテーブルをもらった後、バスに乗って母さんと一緒に家に向かう。


(玄関が開く音)

良哉「ただいまー。」

市華「あー!良哉おかえりー!」

(市華が駆けてくる音)

玄関の音と俺の声に気づいた姉ちゃんがこちらに駆けてくる。


未緒「落ち着きんさい市華(苦笑)」

市華「だってしばらく会えてないんだよ。」

良哉「3カ月ぶりやん。とりあえず手洗わせてよ姉ちゃん…」

母さんが苦笑いしながら呆れているのを横目に、俺は手洗いうがいをしに行く。


手洗いうがいをした後、俺は父さんが待つ居間へ向かう。

庄治「お!おかえり良哉!」

良哉「父さん。ただいま。ごめんね今年もおる時間短うて。」


午前中に大学の就活ガイダンスがあったから、それを終えた後すぐに家に一旦戻ってから出かけ、夕方過ぎに岐阜の実家に着いた俺。その後は荷物の整理をしたのだが、それが終わった後にはすぐ晩ご飯の準備だった。


その晩ご飯は当然お寿司のセットだ。久しぶりのお寿司のセット。俺は毎回これで「実家に帰ってきたんだな。」という気持ちになれる。


「そういや、瑞寿司にこの間新しいサラダのメニューできたんだ。」

「新しいサラダ?」

「ああ。海苔とかが入ったサラダなんだ。うまかったよ。」

「海苔が入ったサラダなら家でもたまに作っとったわよね。」

「そうだね。」


その後は俺の東京での話で盛り上がる。一番の大きなトピックは、やはり黒藤さんとの京都旅行とこの間の茨城合宿だ。


庄治「お土産のお菓子うまかったよ。改めてになるけどありがとう。」

市華「黒藤さんと2人きりで泊りがけの旅行なんでしょ?凄いよ良哉!」


すると、姉ちゃんは続けてこんなことを聞いてきた。

市華「ねえねえ、その京都旅行って黒藤さんか良哉どっちから誘ったの?横浜デートの時は良哉から誘ったわけじゃん。」

良哉「あ、ああ…」

姉ちゃんは、完全に俺からしたら自分の痛いところを突いてくる質問をしてきた。


良哉「まあ、黒藤さんからなんだ。」

市華「な~んだ良哉からはなかったんだ今回は。」

良哉「『な~んだ』はなんだよ『な~んだ』は…」

市華「ごめんごめん。でも2人だけでとか良哉凄いじゃん!」

庄治「そうやお!良哉もまた成長したな。お父さんは嬉しいよ。」


案の定、食卓の話題は完全に俺のここ3カ月の話から俺と黒藤さんの話に完全にシフトした。俺は姉ちゃんと父さんから恋愛話でイジられる状態が続いた。はっきり言って恥ずかしい。


未緒「そういや茨城に合宿に行った時の話だけど、それはどうやった?」

そう言ってくれた母さん。俺は流れを変えてくれるのではないかという期待を抱いた。


良哉「ああ。姉ちゃんにはもう話したし撮った写真の何枚かは見せたでもう知っとるとは思うけど、偕楽園と袋田の滝と、あとひたち海浜公園にも行ったよ。楽しかったよ。」

未緒「そうそう!いいな~ひたち海浜公園!」


「話の流れが変わった。」そう思って一安心したその時だった。

庄治「で良哉。黒藤さんとはどうやった?」

良哉「あ、ああ… 実はね…」


話の流れがもとに戻ってしまうオチにしかならないが、俺はしぶしぶその父さんからの質問に答えた。


良哉「それが話が長くなる奴なんだけど、やたらと黒藤さんと一緒になる機会多かったんだ…」

庄治「なるほどなるほど。」

良哉「しかも偕楽園に関しては、藤堂と北条さんが俺と黒藤さんが2人くっつくように仕向けてたみたいなんだよ…」

庄治「ええやないええやない!良哉と黒藤さんが仲良うできとることが改めて確認できて、お父さん改めて嬉しいよ!」

市華「良哉今まで恋らしい恋したことなかったから、私も本当に嬉しい!」

良哉「別に恋って言うほどのことやないで… てかもし仮に俺に本当に好きな人おったとしてもみんなに言わすかやろ…」

未緒「良哉も恋愛楽しめとるみたいでええやない!残り2年の大学生活も安泰ね!」

良哉「『恋愛』って言うほどのことでもないよ…」

市華「良哉!あんたからしたらそうかもしれないけど、こっちから見たら立派な恋愛だよ!」

良哉「何言ってんだよ姉ちゃん…」


話は完全に、俺と黒藤さんの話に再び戻った。俺と黒藤さんの話、つまり家族からしたら俺の恋愛に関する話が、お茶の間というか食卓を席巻していた。


市華「また黒藤さんとどっか行く予定ある?」

良哉「今のところねえよ…」

庄治「ゴールデンウィークにどこか行こまいかって話はあったりする?」

良哉「まだそんな話も上がってないよ…」

市華「え~うそ~まだなの~?」

良哉「当たり前やろ?実際京都旅行一緒に行くって決まったの数日前やったんやお。」

庄治「青春やなあ良哉。」

良哉「父さんも何言っとるんやお…」

未緒「ええやない。せっかくの黒藤さんとあんたの仲なんやで。」

良哉「じゃあこうやって根掘り葉掘り聞いてくるなよ…」


俺と黒藤さんの今後のこととかを根掘り葉掘り聞いてくる家族。俺は家族のデリカシーのあるなしというか、息子のプライベートに踏み込んでくるその姿勢というものを疑ってすらいた。


それからしばらくが経ち、食事が終わった。

「ごちそうさまー。」


部屋に戻った俺。はっきり言って「疲れた」という気持ちが俺の中にはあった。



それから2日が経って、俺は東京に帰る。

「じゃあ、行ってくる。」

「行ってらっしゃい。黒藤さんもいつか連れてきてね。」

「わ、分かったよ母さん… でも年末は瑞寿司は忙しいで少のうとも年末は無理やお…」

「今回みたいな春でもいいから!」

「あ、ああ…」

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