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上京男子と地方局マニアの女子  作者: 白石あみの
~2年生・春休み編~
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第84話「いい棚みつけた」

それは、ある日のバイトから帰った後のことだった。

(それにしてもだいぶ黒藤さんからもらったものが増えたな…)


今度の春で黒藤さんと出会ってからもうすぐ1年半。思えば俺は黒藤さんからいろんなものを貰い、黒藤さんと一緒のものを買ったり貰ったりしてきた。主にテレビ局の番組表とか地方の新聞とかそういったものだ。俺はそのようなものを専用の棚や箱にはしまっておらず本棚に入れていたから、本棚を整理する必要があることに気づいた。


(いっそ新しい棚でも買うか。家の置くスペースはまだ余裕あるし。)

そう思った俺は、バイトがないあさって駅の近くのショッピングモールの中にある家具屋に棚を買いに行くことにした。


次の日、バイトに向かう俺。頭の中には明日棚を買いに行くことが浮かんでいる。

(棚を買うのがいいものの、どんな棚にしようか…)


一応棚を買うことを決めた後いろいろ調べてはみたが、どんな棚がちょうどいいのかをまとめることはできなかった。一つ言えることは、大きな本をいくつも入れられる本棚が必要ではないことくらいだ。


しばらく考えていると、俺はあることを思いついた。

(そうだ。バイト帰りに黒藤さんの家に寄って、黒藤さんがテレビ局の番組表とかしまっている棚を見て参考にするか。)


というわけで、俺はバイト帰りに黒藤さんの家に寄ることにした。


バイトの帰り道。

(インターホンを鳴らす音)

「はーい。」


出てきたのは黒藤さんだった。


「斎藤君。こんな時間にどうしたの?」

「ああ。ちょっとね―」

時刻は夜の8時頃。黒藤さんが不思議がるのも無理もない。俺は今黒藤さんの家に来た経緯を説明することにした。


「俺明日新しい本棚?を買いに行こうと思ってるんだけど、黒藤さんのしまい方とか使っているものを参考にしようかなって思って。ちょっとお邪魔しようと思ったんだ。」

「そうなの?じゃあいいよ入って。」

「んじゃお邪魔しまーす。」


俺は家に上がった。

「やっぱり、新しい本棚にしまうのって私が斎藤君にあげた番組表とか?」

「うん。」

「やっぱり?(苦笑)結構いっぱいあげたから、本棚いっぱいになっちゃったとか?(苦笑)」

「当たり。(苦笑)」


俺は黒藤さんの部屋に入り、黒藤さんが番組表や新聞をしまっている本棚を確認する。

番組表や新聞がたくさん入ったその本棚。しまう場所も番組表と新聞とで上手く分けられていて、きっちりしまえている。


「去年の年末に整理したんだ。これでも結構頭使った方なんだけどね…(苦笑)」

「いや綺麗にしまえてる方だと思うよ改めて見てみても。」


改めて見てみる黒藤さんの本棚。はっきり言って感服だ。俺なんて、黒藤さんから貰ったりした番組表や新聞は本棚の上にのせてあるだけなのだから。


「ちょっと写真撮ってもいい?」

「いいよ。」

「ありがとう。じゃあ。」(良哉のスマホのカメラのシャッター音)


俺は黒藤さんの本棚を写真に収めた。しまい方の参考にするためだ。


「そうだ!よかったら明日一緒に本棚買いに行く?私、明日バイトないんだ。」

「マジで?」


黒藤さんは突然、明日一緒に棚を買いに行かないかと言い出した。断る理由はないから、俺は即OKすることを決めた。


「じゃあ…明日よろしく。」

「了解!明日の朝10時に駅で大丈夫?」

「ああ。」


そして次の日。最寄りの駅。


「斎藤君!」

「おう!」


ショッピングモールに着いた俺たちは、エスカレーターに乗って家具屋のあるフロアへ向かう。

「黒藤さんあの棚はどこで買ったの?」

「そこでだよ。」

「まあ近いしなぁ。にしてもどうやって持って帰った?」

「解体された状態のものを持って帰って、家で組み立てたんだ。」

「そうなんだ。俺の家の本棚もそんな感じだったよ。うーん組み立て方覚えてるかどうか不安だなぁ…」

「もしかして上京直後以降やってないやつ?」

「ああ(苦笑)」


そうして俺たちは家具屋に着いた。俺は黒藤さんに案内されながら、棚のコーナーへ向かう。

「ここだよ。」

「おぉ… 棚がいっぱいあるなぁ…」


家具屋ともあって大きさ幅ともに様々の棚がある。俺の身長くらいの高さのものもある。

「斎藤君どんなのがいい?」

「やっぱり黒藤さんの部屋にあるやつみたいな、小型であんま横幅と奥行とらないやつがいいな。」

「だとしたら…」


俺も黒藤さんも良さそうな棚を探す。

「ねえ斎藤君?これなんかいいんじゃない?」

「これ?」


黒藤さんが勧めてきた棚。それは2段のもので、この売り場にあるものの中ではとても小さめのものだった。4段の棚だった。幅はおよそ40cm・奥行およそ15cm・高さはおよそ75cmの2段の棚だ。

「分厚い辞書とか入れる訳じゃないしたくさん本を入れるわけでもないから、それでもいいんじゃないかなって思って。」

と、黒藤さんは言う。


「まあたしかにそうだけど、今後黒藤さんとかといろんなとこいくの考えたら、もうちょっと大きい方が良い気がするんだよなぁ…」

「それもそうだね。じゃあ、私ももうちょっと探すね。」


俺たちももうちょっと棚を探し続ける。


探すことどれくらい時間が過ぎただろうか。

「これなんかいいかもな… ねえ黒藤さん。」

「斎藤君?何か良さげなのあった?」

「これいいなって思って。」


俺が見つけた棚。それは4段の棚だった。幅はおよそ60cm・奥行およそ15cm・高さはおよそ90cmだ。相当な量が入りそうだ。

「この1段の高さなら、新聞も普通に入りそうかなって思って。」

「あーこれいいね。横幅さっきより広いからいっぱい入りそう!」

「じゃあ、これにする?」

「ああ。」


買う棚が決まった。俺たちは会計で店員さんから解体された状態の棚が入った箱を渡され、家に持って帰る。ショッピングモールを後にした俺と黒藤さんは瑞寿司で別れる。

「じゃあ、明日大学でね。」

「ああ。」


家に着いた俺。手洗いうがいを済ませた後は棚の設置作業だ。まだまだ余裕のある俺の部屋。棚の置き場所は俺の部屋の中で確保することができた。


「さてと…」

本棚を組み立てる俺。取り扱い説明書を見ながら棚を組み立てる。久しぶりの棚を組み立て作業。ネジを締める作業に少々苦戦したが、1時間半程度で終わった。

棚を組み立てた後は、タイムテーブルや新聞を移し替える。


(お!ちょうどいいじゃんこれ。)

タイムテーブルも新聞紙もちょうどよく入った。

(我ながら良い買い物をしたぜ。)



次の日。大学。

「黒藤さん。」

「斎藤君?」

「棚の組み立て出来たよ。見て。」

「おーよく出来てるじゃん…ん?」

「黒藤さん?」


出来上がった棚の写真を黒藤さんに見せた俺。黒藤さんは何かが気になったようだ。


「ちょっと今日部活終わったらうち来てくれる?」

「え?い、いいけど…」


部活終わりに俺は急遽黒藤さんの家に行くことになった。一体あの棚がどうしたんだろうとばかり俺は思っていた。


「お邪魔しまーす。」


黒藤さんは彼女のお母さんの部屋に入った。さすがに俺が黒藤さんのお母さんの部屋に入るのは本当に気が引けるので、俺は部屋の外で待つ。


「これ見てよ!」

「これ… 同じ棚じゃん!」


俺が買った棚はなんと、黒藤さんのお母さんとお揃いだった。


「黒藤さん最初に見たときに気づかなかったの?」

「うん… 私お母さんの部屋にもお父さんの部屋にもまれにしか入らないから…」

「それにしてもこんなミラクルありかよ…」


たまたま買った棚が黒藤さんのお母さんとお揃いだったという現実。俺の動揺はしばらく続いた。

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