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第74話「黒藤さんと初詣」

黒藤さんの家から2年連続でお茶が贈られたりと今回もいろいろあった岐阜帰省、1月の3日に終わり俺は東京に帰る。ちなみに今年も藤堂と一緒だ。大学が始まったのはその次4日からだ。


その数日後の事。


「斎藤君。」

「黒藤さん。」

「今から私初詣行くんだけど、斎藤君も一緒に行く。」

「そういえば東京での初詣はまだだったな。いいね!俺も一緒に行く。」


去年は岐阜と東京でそれぞれで初詣をしていた俺。ちょうどいいから俺も黒藤さんと一緒に行くことにした。


「場所は?大学の近くの神社?」

「ううん。」

黒藤さんはそう言って俺にスマホを見せてきた。

「ああ。前に俺たちで写真撮りに行ったところか。」

その場所は去年黒藤さんと北条さんが部活に入った後、俺たち4人で写真を撮りに出かけた神社だった。


黒藤さんと一緒に電車に乗り、その神社へと向かう。


神社に着いた俺たちは列に並んだ後、願い事をする。

(鈴を鳴らす音)

(2回手を叩く音)


(写真部でもっと良い写真撮れますように… あとそれと…―)


俺は一つ気になったことがある。

(黒藤さん、どんな願い事してたんだろうな…)


「ねえ黒藤さん。」

「ん?なあに?」

「黒藤さんはどんな願い事した?」

「ん?秘密!」

「まあそうだよね…(苦笑)」


その後は神社の周りを散策しつつ写真を撮る。


その最中、おみくじを見つけた俺たち。

「ねえねえ斎藤君。あそこにあるおみくじ引こうよ。」

「ああ。」


黒藤さんが見つけたおみくじを引く俺たち。100円を払い、箱の中からおみくじを引く。


「お!」

俺のは大吉だった。自分が引いたおみくじの内容を見ていると…

「あ!」

黒藤さんも嬉しそうな反応をした声が聞こえてきた。

「黒藤さんはどうだった?」

と聞く俺。

「大吉だよ!」

「奇遇だね。俺もなんだよ。」

「マジで!?大吉でお揃いとかあるんだ!」


大吉のお揃い。考えてみれば凄いことだ。


俺たちはお互いのおみくじを見せ合った。

ふと、俺の目に飛び込んできたものがある。

「恋愛 近くにいる人に縁があります。」


(ねえこれまさか俺じゃないよな… まさかな…)

と俺は思った。その直後、俺も自分のものを改めて確認した。

「恋愛 普段の縁を育めば成就することでしょう。」


まさかな。と、俺はまた思った。



おみくじを結んだ後、

「あ!あっちに甘酒あるよ!」

と言ったのは黒藤さんだ。

「いいね。寒いから俺も何かあったかいもの飲みたいと思ってたんだ。」


屋台の列に並んで甘酒を買う俺たち。

「正月の三が日の地方のテレビの編成、すっごく面白かったんだよ。これ見て欲しいんだけど…」

(良哉にスマホを見せる紘深)


列に並んでいる間、黒藤さんの正月三が日の地方のテレビ局の編成に関する話で盛り上がっていた。

いつもは全国ネットのワイドショーの時間がローカル編成の時間帯になって、東京がバラエティーの傑作選やドラマの再放送を流している間、地方の系列局が思い思いに(東京とはまた別の)ドラマの再放送やら以前放送されたバラエティーやら映画やらを流すところが多い正月三が日。黒藤さんにはそれが面白いようだ。


「そういえば去年もそんな話したよね。」

「うん!」


~回想・前回の大晦日~

「それで昨日と今日、山口では朝から私が本当に大好きだったドラマの一挙再放送やってるんですよね!あの詐欺師の3人組が活躍するやつ!」

「そうそう!」

「私本当に大好きだったんです~!それが朝早くから見られるなんて!」

~回想終わり~


そうこうしている間に俺たちの番になった。

「300円です。」

「ありがとうございます。」


甘酒を受け取った俺たちは座れるところを探す。甘酒の入った紙コップは温かく、まるでカイロみたいだ。

「斎藤君まだ飲まないの?」

「ああ。なんだか持ってると手が暖かくてね…」

「カイロみたいな感じ?」

「そうまさにそんなもん(苦笑)」


俺も黒藤さんと一緒に甘酒を飲み始める。ちょっと熱いが、甘くて美味しい。

思えば、東京に来てから甘酒を飲むのは初めてだ。


「ねえ斎藤君。今年はどんな年にしたい?」

甘酒を飲みながら、黒藤さんがこう話しかけてきた。

「ああ… 4月で俺たち3年生だろ?まあ就活も近づいてるわけだから、4年生になるのに備えていろいろ両立させたい1年かなって思うよ。黒藤さんは?」

「目標的な面は斎藤君と大体同じかな。それと、私一つ夢?的なものがあって…」

「夢?」

「うん…」


黒藤さんは甘酒をまた一口飲んだ後、こう続けた。

「3年生になるんだから、バイトで貯めたお金でどこか遠くに行きたいって思ってる。」

「遠く?例えばどこ?宮崎とか大分とか?」

「それもだけど、京都とか…関西もいいかなって思う。関西ローカルでやってる朝夕のワイドショーとかバラエティー見てみたいな。」

「あはは。黒藤さんらしいや。面白そうでいいね。京都はいろんなお寺あるから、写真撮るネタもたっくさんあるしね。」

「だね!」

「7泊はかかりそうだな…(苦笑)京都は俺就学旅行の時に一度しか行ってないなぁ…」

「できれば4人で一緒に行きたいな。」

「藤堂OKしてくれるか…?(苦笑)」


その後もいろいろおしゃべりは続く。俺も俺で行ってみたいところはあるが、黒藤さんと一緒の方が楽しそうな気がする。でもそれだと一週間近く泊まる必要がありそうな気もするけど。

「和歌山?そこもいいね!」

「だろ?」


俺と黒藤さんとでは主に思い描いているものが明らかに違う気がするけど、それでいいと俺は思った。

(ま、いっか。)


「はぁ~…」

甘酒を飲んでホッとしている感じの黒藤さん。俺にはそんな黒藤さんが、なんだか可愛く思えてきた。


俺がしたもう一つの願い事。やっぱり俺はそれを黒藤さんには言わないでおこうと思った。


~回想・願い事をしている時~

(あとそれと…今年も黒藤さんと一緒の時間を過ごせますように…)

~回想終わり~


その日、黒藤さんと別れた後のコンビニ。

「あ。いいな…」

俺はそのコンビニで、ボトルの甘酒を買った。

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