表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/253

第64話「友達さんがやってきた。」

合宿が終わって1週間が過ぎたある日のこと。俺たちは文化祭に向けていろいろ準備を進める。とりあえず、部員のほぼ全員が東山温泉に関する何かしらの資料を見つけてきていたようだ。


「俺も明日国会図書館行くかー。」

俺ももっと良さそうな資料がないか、国会図書館をあたってみる事にした。


次の日。国会図書館の入口。

「あ!斎藤君!」

「斎藤さん!」

黒藤さんと北条さんに遭遇した。数日前に2人で国会図書館に行く約束をしていた2人。どうやら今日がその日だったようだ。

〜回想・数日前〜

兎愛「えへへ… 論文もいくつか見つけましたよ。紘深さん今度一緒に国会図書館行きませんか?」

紘深「うん!」

〜回想終わり〜


俺たちは3人でいろいろ資料を読む事にした。

気がついたらもう午後1時。

良哉「ちょっと遅くなったけど、昼飯にするか。」

そうして、食堂スペースで食事をしていると…


「あ!と、兎愛!?」

隣の席に座った俺と同じくらいの女の人が北条さんに向かって話しかけてきた。

兎愛「ん?あ!足利ちゃん!」

その人はどうやら北条さんの高校時代の友達のようだ。

兎愛「私の高校の友達なんです。」

「この人たちは?」

兎愛「大学の部活の先輩。」

「足利千紗です。いつも兎愛がお世話になっております。よろしくお願いします。」

良哉「よろしくお願いします。俺は斎藤良哉です。一応年上ですけど…(苦笑)」

紘深「よろしくね。私は黒藤紘深。」


食事をしながら4人でいろいろおしゃべりをする。足利さんは神奈川県内の大学で海洋学の勉強をしているようだ。


兎愛「で、足利ちゃんは今日なんでここに来てるの?」

千紗「うん。夏休みのレポート課題の資料探し。兎愛は?」

兎愛「私は文化祭の部活の発表の準備。合宿で行った先の温泉地の歴史に関する研究発表がやる事になったの。」

千紗「温泉地に合宿って?兎愛何部入ってるの?」

兎愛「写真部だよ。」

(紘深が何かをアピールをしているかのように微笑む)

千紗「なんか羨ましい… 私は8月にゼミ合宿で茨城に行ったんだけどね。」

兎愛「どんなことしたの?」

千紗「水族館回ったりいろいろ勉強会したりしたんだ。」


足利さんは、今日複写したという資料を少し見せてくれた。

良哉「こういうのやってるんだ…」

千紗「皆さんは何をやられているんですか?」

良哉「俺たちは日本の歴史を。」

兎愛「私も。」


千紗「でこの後は兎愛たちはどうする予定なの?」

兎愛「そういえば決めてなかったな… そうだ!」

北条さんは何かを思いついたようだ。

兎愛「紘深さん、新聞資料室行きませんか?」

紘深「いいね。行こう。」

良哉「ああ。調べてばっかも疲れるし…」

千紗「新聞資料室?東山温泉に関するニュース記事でも調べるの?兎愛?」


足利さんの質問は至極当然なものだと俺は思った。でも、全く違う。


兎愛「ううん。地方のテレビ局の番組表。」

千紗「テレビ局の番組表?」

戸惑いを隠せない足利さん。当然の反応だ。

良哉「まあ、来て見た方が話は早いかな… 足利さんこの後時間ある?」

千紗「はい…」


俺たちは足利さんとも一緒に、新館の新聞閲覧室へ向かった。


新聞閲覧室に着いた俺たち。

(小声で)

「どこの新聞にする?」

「今回も福島にしましょう。」

「どのくらいの時期がいい?」

「1982年くらいが見てみたいですね。」

「ああ○島放○できたくらいの時期?せっかくだから開局当日の分も見ちゃおうよ。」

「あーいいですね。」


2人はいつの時期のどこの新聞(のテレビ欄)を見ようかで(小声で)盛り上がっている。その後ろで俺は足利さんに、小声でいろいろ事情を説明する。

俺「2人はTwitterのフォロワー同士でね、よく話してたみたいなんだよ―」


事情を話している中で、初めて会った時のことを思い出す。

~回想・兎愛との最初の出会い~

「この人?」

「はじめまして。北条兎愛です。」

「黒藤さんの…後輩?」

「ううん。」

「えっ…?」

「SNSでの知り合い。」

「マジで!?」

~回想終わり~


千紗「そういうことだったんですか… 簡単に言えば、兎愛が黒藤さんに影響されまくった結果ってことですね。」

良哉「まさにその通り。」

千紗「まあ兎愛前は仕事の都合でいろんな所を転々としていたのは知っていましたけど…」

良哉「それで黒藤さんの話にはついて行きやすかったようで、今はこの状態ってわけで…」

千紗「そうなんですね…」


マイクロフィルムが来るまで時間がかかる。黒藤さんと北条さんは開架されている新聞を読んでいた。俺は図書館内の端末で東山温泉に関する本や論文がもっとないか検索していた。

「へーこんな昔の本まで…」


待つことおよそ20分。

紘深(小声で)「あ!」

黒藤さんが声を上げたのが聞こえた。どうやらマイクロフィルムが届いたようだ。


カウンターへ行く2人。

マイクロフィルムが入った箱を受け取ると、マイクロフィルムを見るための設備のところへ行き、マイクロフィルムをセットする。


千紗「私マイクロフィルムなんて触ったことないなぁ… 兎愛慣れた手つきで…」

良哉「何度もやってるから慣れたんでしょうね… 俺がここで3人一緒になったのは初めてですが…」

千紗「その気になったら一日中ここにいられる訳でしょ… さっき調べたら、結構テレビ局の社史?も収蔵されてて…」

良哉「調べたんすね(苦笑)」

千紗「はい…(苦笑)」


2人は夢中で新聞記事が収録されたマイクロフィルムを見ている。俺たちはその様子を見ていることしかできない。


(紘深と兎愛が小声で盛り上がっている)


しばらくすると、黒藤さんと北条さんがこっちへ来た。

良哉「複写の手続きもうしたの?」

兎愛「はい。」


雑誌の受け取りカウンターは新聞記事の複写受け取りカウンターと同じ新館にある。黒藤さんたちが新聞記事を複写したものが出来上がるのを待つ間、俺たちは新館の端末でいくつか東山温泉に関する雑誌記事や論文を改めて調べ、良さそうと思ったものの受け取りの注文を出した。足利さんも、レポート課題の資料にしたい雑誌記事や論文を探しているようだ。


資料を受け取った後は俺は閲覧室に行く。

「!」

閲覧室には黒藤さんと北条さんがいた。もう受け取りはできていたようだ。

紘深・兎愛「…」

2人の顔はとても真剣なものだった。

俺も受け取った雑誌を読む。しばらく読んだ後、複写したい部分にはしおりを挟み、新館1階の複写カウンターに持っていく。この手順には俺も慣れてきた。


複写カウンターで俺は足利さんに会った。どうやら足利さんにも複写したい資料があるようだ。

千紗「2人、どうでした?」

良哉「真剣な顔してテレビ欄見てたよ。」


複写が終わった頃に2人は戻ってきた。

紘深「斎藤君、どれだけ資料集まった?」

良哉「まあそれなりにってところ。あさってみんなに見せるか。」

兎愛「賛成!」


帰るタイミングは一緒になった。家の最寄り駅があざみ野だからそこまで北条さんと一緒だという足利さん。せっかくだから半蔵門線の渋谷駅まで一緒に行くことにした。

「せっかくだからLINE交換しちゃおうよ。」

という北条さんの一言から、俺と黒藤さんは足利さんとLINEのIDを交換することになった。


車内放送「間もなく、渋谷、渋谷です。お忘れ物なさいませんようご注意ください―」

渋谷で俺たちは北条さん足利さんと別れた。

千紗「今日はありがとうございました。」

兎愛「紘深さんに斎藤さん、またあさって!」

(発車ベルの音)


JRに乗り換える俺たち。

(電車のドアが閉まり、走り出す音)

「ねえ斎藤君。」

黒藤さんが話しかけてきた。

「どうしたの黒藤さん?」

「千紗ちゃんとも、友達になっちゃったね。」

「そうだな。にしても北条さんの高校生活、どんなだったんだろうな。」

「中2の頃からはずっと横浜だったって聞いてるよ。」

その後は北条さんに関する話がしばらく続いた。


しかし、その日の夜遅く、いつものラジオを聴いていた時の事。

(LINEのメッセージ通知音)

誰かからLINEが来た。

(LINEで)千紗「斎藤さん、夜遅くに失礼します…」

「足利さんだ…」

そのLINEの主は足利さんだった。俺はLINEアプリを開く。

(LINEで)良哉「どうしたんすか?こんな夜遅くに。」

千紗「実は、」

千紗「渋谷で斎藤さんと黒藤さんと別れた後、兎愛が…」



どうやら足利さんは俺たちと別れた後、北条さんから(黒藤さんからの請け売りの)地方の放送局に関するいろいろな話を、あざみ野まで延々聴かされ続けたようだった。

-今回初登場の登場人物-

足利千紗

兎愛の高校時代の友人。3年間同じクラスだった。

小さいころから海の生き物が好きで、現在は神奈川県内の大学で海洋学を勉強している。

誕生日は9月1日。

趣味は水族館巡り。

好きな食べ物は菓子パン全般。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ