第50話「紘深ちゃん最近何してる?」
かれこれこの作品も50話目。
タイトルからして回想回かもしれませんが、そんなつもりはない(つもり)です。
大学のテストが終わって何日かが過ぎた7月のある日のこと。家の最寄り駅近くにあるカレー屋。
「まさか藤堂が俺のことを元同級生に話したのが、ここまでのことになるとはな…」
ということを考えながら、俺は人を待っていた。
事の発端は、藤堂の誕生日の次の日に遡る。
〜回想・7月4日、大学の学食〜
「よお藤堂。テスト勉強どう?」
「ああ。プログラミングが相変わらずムズいってところだよ。」
(食事を始める2人)
「そうだ。実はさこの間、久々に高校の同級生のグループLINEが動いてね。クラスの奴からこんな話が出たんだよ。」
「ん?それどんな話?」
「ああ。『大学で一緒の人に面白そうな人がいるのか』って話でさ。」
「なるほど。でそれがどうかしたん?」
「ああ…」
(一呼吸置く幸太郎)
「お前のこと話した。」
「ちょっと待て。まあ黒藤さんといつも一緒的なことは書いたかもしれないだろうけど、まさか黒藤さんとラブラブみたいなこと書いてないよね?」
「ああまあそこまでのことは書いてないよ。強いていうなら、休みの日に銀座で(地方のテレビ局の)東京支社巡りしたこととか、展望台で2人きりでラジオ聞いてたりとかかな?」
「おい待てよそれ俺たち付き合ってるとしか思われないやつじゃん…」
「まあそうテンパるなって。『そいつ地方から上京してきたやつ』ってことを話したら、『(声色を若干変える幸太郎)紘深ちゃん的に出会いたかった人だね(笑)』とか言ってたしクラスのやつ。」
「まあそうだろうな…(苦笑)」
〜回想終わり〜
話はこれだけでは終わらなかった。
〜回想・その3日後の夜〜
(LINEの通知音)
(藤堂?)
幸太郎「斎藤、こんな時間に悪りぃ。」
幸太郎「覚えてる?この間俺がお前のことクラスの奴に話した件。」
良哉「ああ。それがどうかした?もう10時だぜ。」
良哉「そのことで、クラスの奴が『紘深ちゃんが今どうしてるかも気になる』とか言い出してさ…」
幸太郎「お前、空いてる日教えてくんね?そいつ駅前のカレー屋でお前と話がしたいとか言い出して…」
良哉「おい」
良哉「そこまでの事態になったのかよ…」
〜回想終わり〜
というわけで、俺は藤堂の高校時代の同級生に会うことになったのだ。藤堂本人はバイトで不在なのが、緊張感を高める。
それからしばらくして…
「すみませ~ん… 斎藤良哉さんですか?」
女子大生の2人組が俺の席にやってきて話しかけてきた。この2人が俺と話がしたがっている、黒藤さんと藤堂の同級生だろうか。一発で俺が分かったのは、藤堂に伝えた俺の席の場所からだろう。
「はい。そうですが。」
と俺は答える。すると2人が席に着いた。
「やっぱり!私、蘆名寧夏と申します。私たちの同級生の紘深ちゃんと仲良くしてくださっているようで、本当にありがとうございます。」
「私は南条千愛です。本日はよろしくお願いします。」
名前を名乗った2人。どうやらこの2人が俺に会いたがっていた2人で間違いないようだ。名字はLINEで藤堂から事前に伝えられていた俺。それと間違いない。
寧夏「ビーフカレーをお願いします。」
千愛「私も同じので。」
2人が注文を終えた後、話が始まった。
寧夏「それで早速なんですが、斎藤さんは紘深ちゃんとはどんな感じで出会ったんですか?」
単刀直入に聞いてきた蘆名さん。受験の面接を思い出した半面、「週刊誌で熱愛スクープされた芸能人か俺は?」とも思った。
俺は答える。
「はい。ゼミの授業が終わった後、黒藤さんの方から話しかけてきたんです。自己紹介の時、『俺が岐阜出身』って言ったのに反応したみたいで…」
~回想・初めてのゼミの授業にて~
「斎藤良哉です。岐阜県から来ました。大学では―」
~回想終わり~
かれこれ今から半年以上前のことだ。当時の記憶が蘇る。
寧夏「本当に思った通りでした(笑)それでその後、紘深ちゃんからはどのようなことを聞かれたんですか?」
良哉「ああ…『岐阜にいた頃、『テレビが通販ばっかりだな』って感じたことはある?』って言われたんですよ。」
千愛「テレビが通販ばっかり?」
良哉「なんだったら、うちの地元のテレビの番組表見せましょうか?」
寧夏「いいんですか?すいませんありがとうございます。」
良哉「見た方が分かりやすいと思ったので。」
俺はそう言ってスマホを操作し、地元のテレビ局の番組表を見せた。
番組表を開いた俺。今日も今日とて、昼1時から夕方まで通販がびっしりだ。通販以外は韓流ドラマと演歌の番組がそれぞれ30分ずつあるくらいだ。
良哉「とまあ本当にその通りなので。」
千愛「そりゃ紘深ちゃんも食いつくよね(苦笑)」
良哉「ちょっとこちらもお聞きしたいんですが、高校でも似たようなことがあったんですか?」
寧夏「はい。鳥取だったっけ?の方出身の社会の先生がいたんです。紘深ちゃんその先生とはあまり話してなかったんですけど、それが分かった途端いろいろテレビの事とか聞いてきてその先生と盛り上がってたんです。」
千愛「たしか『兵庫のテレビ局が入るから野球の放送が試合終了まで見れた』みたいなことを先生話してましたね…」
良哉「完全その社会の先生俺みたいなポジションじゃないですか(苦笑)」
寧夏「はい。私たちはその先生とよく話してるから、そのことを話題にした時、『凄い趣味の奴いるんだな』みたいなこと私たちに零してました。(苦笑)」
地方出身であることが分かるや否やその人が体験したテレビあるあるについて聞いてくる。それはどうやら、俺が初めてではなかったようだ。
寧夏「それで、紘深ちゃんと斎藤さんは今どのゼミに入っているんですか?」
良哉「近世史のゼミですね。ちなみに、そのゼミで地方出身なの、俺だけでした。」
千愛「そうだったんですね(苦笑)ところで部活は?」
良哉「写真部です。ちなみに黒藤さんも俺と出会ってから入部しました。藤堂とも写真部で知り合ったんです。」
寧夏「斎藤さんの影響で同じ部活に入ってくるってなんだかいいですね(笑)地方に合宿したりとかは?」
良哉「ありますよ。5月に山梨に行きました。」
千愛「そうなんですね。やっぱり紘深ちゃん、泊まった先にテレビあったら見てたんですかね?」
良哉「その通りです。」
寧夏「そうだ。藤堂君から『銀座でテレビ局の東京支社巡りをした』って話をお伺いしていたんですが、一体どれだけ回ったんですか?」
蘆名さんから、俺が「この質問は絶対来るだろう」という質問が飛び出した。
良哉「ああ〜。かれこれ20くらいは回った気がします。あまりにもたくさんあったので俺も細かくは覚えてなくて…」
千愛「そんなに(笑)紘深きっと楽しかったでしょうね。」
良哉「もう本当に楽しかったって顔してましたよ。」
俺はふと一つのことを思い出した。
良哉「そういえば、黒藤さん実はネット友達?がいるんですけど…」
寧夏「紘深ちゃんネッ友いたんですか?初めて聞いた…」
千愛「私も〜。その人がどうしたんですか?」
良哉「ああ。今年度、同じ大学に入ったんです。」
寧夏「あ〜そうなんですか(笑)やっぱり、地方のテレビ局の話題のこととか話してたんですかね?」
良哉「まあ大体そんな感じでしたね。彼女元々転校繰り返してて各地を転々をしてたりとか、後はアニメの放送局の情報とかで地方のテレビ局の名前に触れてたから、そういうアドバンテージ的なのがあったみたいです。ちな部活も一緒です。」
千愛「部活一緒なんですか⁉︎ 地方のテレビ局知ってる人が2人も友達って結構すごいですね(笑)」
すると、南条さんがこんなことを聞いてきた。
千愛「実は私紘深ちゃんとは小学校の頃から同じ学校なんですが、紘深ちゃん家のお店って行ったことありますか?」
良哉「ちょっと待ってください南条さんそうだったんですか⁉︎」
俺は驚いた。南条さんはなんと小学校から同じ学校だったようだ。瑞寿司にも小学校の頃は何度か行ったことがあるという。
千愛「斎藤さんって、お店行ったことってありますか?」
良哉「はい。俺元々寿司が好きで、藤堂に誘われて入ったらそこが黒藤さんの家だったんですよ。」
〜回想・良哉が初めて瑞寿司に行った時〜
「実は俺も瑞寿司に行くのは初めてなんだよねー。」
「あーわかる。近所の食べ物屋って滅多に使う機会ないよね。」
「だよな。ああと実はそこね、俺の同級生のうちなんだよ。」
「へー。」
〜回想終わり〜
千愛「そうだったんですか。偶然ですねまさに。」
良哉「でもそれが、藤堂のやつ知っててあえて黙ってたんですよ(苦笑)」
〜回想〜
「藤堂、おま…まさか知ってて言ってなかったやつ!?ここが黒藤さんちだって!?」
「ああ。だって言わないでおいた方が面白いかなって思ったから。」
「マジかよぉ…」
〜回想終わり〜
良哉「黒藤さんのお父さんからも俺結構期待されちゃってて…(汗)」
千愛「そうなんですか(苦笑)」
その後も色々と黒藤さんに関する話は続いた。
寧夏「紘深ちゃんの今、色々聞けてよかったです!」
千愛「久しぶりにお店行ってみようかな。今日は本当にありがとうございました。」
良哉「どういたしまして。」
寧夏「紘深ちゃんのこと、これからもよろしくお願いします!」
千愛「紘深ちゃんにもよろしくお伝えください!」
黒藤さんの同級生の女子と、彼女のことでかれこれ2時間近く盛り上がってしまった。
そういえば、今やってる7月のアニメが終われば、黒藤さんと初めて会ってから1年を迎える。
「もうそんなか…」
と俺は思っていた。
次の日。家の最寄り駅。
「あ、斎藤君おはよー。」
「あーおはよう。黒藤さん。」
-今回初登場の登場人物-
蘆名寧夏・南条千愛
良哉たちとは別の大学に通っている大学2年生。
2人とも千葉県出身。そのうち寧夏は小学校入学と同時、千愛は幼稚園の途中でそれぞれ東京に引っ越してきて、小学校の頃から高校まで紘深と同じ学校に通っていた。




