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上京男子と地方局マニアの女子  作者: 白石あみの
~3年生編・Part2~
144/247

第139話「2度目の文化祭デート」

「斎藤君。」

「黒藤さん。じゃあ行こうか。」

「うん。」


午前のシフトが終わり、12時過ぎ。約束の時間。今年も俺たちの文化祭デートが幕を開ける。


(これは間違いなくデートだ。まあもうそれでいいか。)

なんてことを俺は思っている。


昼食時ということもあって、出店はどこも行列している。

「今から何食べる?」

「うーんそうだなぁ…」

俺はあたりを見回す。


(去年焼きそば食べたから今年はたこ焼きかなぁ…)

なんてことを思った。行列もさほど並んでいない。

「じゃあ、たこ焼きにしようかな。去年は焼きそばだったから。」

「分かった。じゃあ並ぼう。」

「そうだな。」


俺たちはたこ焼きの列に並んだ。

列に並ぶ俺たち。見た感じやはり10分はかかるだろう。

去年はこのタイミングで、テレビ宮○のドラマ再放送枠の話をしていた黒藤さん。その時のことを俺は思い出していた。


~回想~

「違うよ~。再放送は前にもやった作品だから『再放送』なのであって、本放送…つまり初めて放送される作品は『一挙放送』なのっ。」

~回想終わり~


とにかく話が細かかった黒藤さんだったっけ。

するとその黒藤さんは…


「ねえ斎藤君。」

「なに?」

「ねえこれ見て。」

すると黒藤さんはスマホを見せてきた。番組表のアプリだ。

「これがどうかしたの?」

「見てこれ。ここの高校ラグビーの決勝戦の後の番組だけどね、どこの番組だと思う?」

「動物の番組か… 聞いたことないな… どっかの地方?」


すると黒藤さんは少し置いて…

「実はこれ、BSの番組なんだ。」

「BSの番組…ってことは、BSの番組は、地上波のローカル局で流れるってこと?」

「そう。見るからにラグビーが長引いたらお休みになっちゃうやつだけどね(苦笑)」

「言われてみると時間調整する感丸出しだなぁ… その番組、その局では毎週流してる訳じゃないんでしょ?」

「うん。動物好きな人にとっては複雑だろうね…」

「そうだな。(苦笑)」


そうこうしている間に俺たちの番になった。


良哉「6個入り一つ。」

紘深「私も同じので。」


俺たちは200円のたこ焼きを買って、2人で座れそうな場所を探す。今年も中庭の飲食スペースはごった返している。


「ふう… ここなら大丈夫そうだな…」

「うん。それにしてもここめっちゃ混んでるね…」

「ああ…」


今年も窮屈な状態で食事。窮屈さは去年以上かもしれない混み方だ。てなわけで黒藤さんとは今年も密着状態だ。


紘深「じゃ、いただきまーす!」

良哉「いただきます。」


食事中、ちょくちょく黒藤さんの腕があたってくる。去年同様に黒藤さんは「気にしないで」と言っているものの、やはり気になってしまう。


(やましい気持ちはないけど、やっぱり緊張するなあ…)

なんてことを思いながら、俺はたこ焼きを食べ続けた。しかも去年より窮屈だからか、黒藤さんとの密着度合い…というか腕があたる頻度が凄いのだから。


それから10分ほどで食事を終えた。その後はお互いトイレを済ませる。


トイレを済ませ、戻ってきた俺。

「ねえ斎藤君、これからどこ行く?」

「そうだなあ… そうだ!ボードゲーム同好会行こうよ。」

「ボードゲーム同好会?いいねいいね!古田さんいるとこでしょ?」

「ああ。去年オセロやったけど楽しかったんでね。」

「うんいいね!行こう行こう!」


俺たちはボードゲーム同好会に行くことになった。


ボードゲーム同好会の部室。

紘深「こんにちはー。」

古田「あ!黒藤さん!」

紘深「来ちゃった。」

黒藤さんと古田さんは、いつの間にかタメで話せる間柄になっていたようだ。

古田「ありがとう黒藤さん。斎藤さんもいるー!」

紘深「斎藤君が『去年オセロやったけど楽しかった』って言ってたから。」

古田「ありがとうございます!オセロ今空いてますよ。黒藤さんとやりますか?」

良哉「ああ。じゃあ。あでも古田さん。」

古田「なんですか?」

良哉「黒藤さんのことでからかってくるのはなしですよ。」


古田さんはゲーム中に黒藤さんのことで俺をからかってくるのではないかと思った俺。だから俺は、古田さんに一応釘を刺しておいた。


古田「じゃあ、スタート!」

良哉「じゃあ行くよ。」


じゃんけんで勝った俺が先攻。黒藤さんが後攻だ。順々に石を乗せていき、お互い石をひっくり返していく。


「なんか東○王みたいだね。」

「難読漢字がないじゃん。」


結果は黒藤さんの勝ちだった。負けはしたものの、楽しかった。


「いやーやっぱりオセロは楽しいよ。」

「そうだね。スマホのアプリ入れるか今度のバイト代で買おうかな。」

「買ったら一緒にやろうね。」

「ああ。」


すると、

「何だかとっても仲良い様子ですけど、あの去年の文化祭の後何かしました?」

と、古田さんが口を開いた。


紘深「えーと… 横浜とか花火とか海とかいろいろ行ったけど、斎藤君と一緒に泊まりがけの旅行行ったよ。それも2回も!」

古田「マジで!?どこ?どこ行ったの?」

紘深「京都と、あと岐阜。」

古田「え待って待って待って待って。岐阜ってもしかして斎藤さんの実家じゃないよね?」

紘深「そうだよ。」

古田「すごい黒藤さん斎藤君の実家行ったんだ!」

紘深「うん。2回とも斎藤君が許可取ったんだ。」

良哉「はい… なにせ俺も関わってくることでしたので…」

古田「え待って凄い凄い凄い凄い…」


古田さんはかなり興奮している様子だ。まるで去年の二番煎じ、いやそれ以上かもしれない。


古田「してお二人さん。」

良哉「なんですか?」

急に改まった感じの古田さん。すると…


古田「旅行中、あんなこととかこんなこととかしました?」

(怪しい手の動き)

良哉「やってるわけないじゃないですか。(真顔)」

紘深「もう何言ってるの古田さん子どももいるんだよ。(苦笑)」

古田「ごめんごめんついつい…」


そうして俺たちは、ボードゲーム同好会の部屋を後にした。

古田「じゃあオセロ買ったら私にも連絡してくださいね。」

良哉「はい。」


その後は去年同様にテニス部の縁日を楽しんだり、美術部・漫画研究会で作品を見たり、茶道部の研究発表を見たりした。茶道部の今年の研究発表は、各地のお茶の種類に関する研究だった。


「お茶はある程度知ってる方だけど、まだ知らないお茶もいっぱいあるなあ…。岐阜県にも美濃白川茶とか恵那茶とかいっぱいあるんだぁ…」

「お寿司屋さんってあがりあるからね。」

「うん。でもやっぱり初めて聞くお茶が多いなぁ…」


その後は古文書研究会・歴史研究部を経て、考古学研究会へ。考古学研究会では、去年同様に石器の欠片のレプリカを使った石器の拓本取りをやった。


「去年もやってましたので。」


去年もやった拓本取り。それもあってか、去年と比べて上手くやることができた。


「どうだった斎藤君?」

「去年と比べては上手くできた気がするよ。特にあの水の加減。」

「私もちょっとその辺意識してやった。」


その後はチアリーディング部・応援部のブースへ。去年同様に水野さんが出迎えてくれた。


水野「いらっしゃい!黒藤さんに斎藤さん!」

良哉「どうも。」

紘深「今年も来ちゃいました。」

水野「ありがとうございます。で、1年経ったわけですが、あの後進展はありましたか?」

紘深「はい。斎藤君と一緒に旅行に行きました。京都とあと岐阜。」

良哉「岐阜って、俺の実家があるところでして…」

水野「えーそうなんですか!?斎藤さんの実家にも行ったってのに、これでも、まだ付き合ってないって訳ですよね?」

良哉「え、ええ…」

水野「2人ともお付き合いのフェーズに入っちゃった方がいいですよ!」

紘深「えへへ…」


黒藤さんはここでも俺と2人で京都や俺の実家に行った話をした。まあ、それほど楽しかったということなのだろうと俺は改めて思った。


チアリーディング部・応援部の後、

紘深「ちょっとトイレ行ってくるね。」

良哉「ああ。じゃあ俺はここで待ってるから。」


トイレに行った黒藤さん。俺はその間周りのポスターを見る。

するとこんなものが目についた。

(大分県人会…か。途中参加可能…)

大分県人会の集まりのポスターが来ていた。途中参加可能な上、大分県出身じゃなくても参加可能だという。そういや去年は山形県人会が来ていたっけ。

~回想~

「私も参加したいな。」

「言って黒藤さんテレビの話しかしないじゃん。しかも山形県って、テレビのことでいろいろあったしさ…」

「えへへ…(苦笑)」

~回想終わり~


トイレから戻ってきた黒藤さん。

「お待たせー。」

「ねえ黒藤さん。こんなのがあるんだけど。」(大分県人会の集まりのポスターを指さす良哉)

「え待って大分県人会?待って私も参加したい!大分出身じゃなくても参加可能なんでしょ?」

「少しだけだよ…。(苦笑)行くか。」


大分県人会の集まりが行われている教室に近づく俺。場違いな感じしかない。


30代前半の女性参加者A「あら?誰かしら?」

良哉「あ、どうも… 1階のポスターを見て来ました…」

紘深「すいません、大分出身じゃないんですがいいですか?」

30代前半の女性参加者A「いいわよいらっしゃい。」


というわけで、俺たちは大分出身の人たちに混ざることとなった。

50代の男性参加者B「で、お嬢さん(紘深)は何か趣味とかはありますか?」

紘深「はい。地方のテレビ局の番組表見たりとかするのが好きです。」

30代前半の女性参加者A「地方のテレビが好き…?ってことはつまり大分の不思議なテレビ事情も知っているんですよね?」

紘深「はい!テ○○大分のクロスネットの編成大好きです!」


黒藤さんはとても楽しそうな顔をしている。


50代の男性参加者B「本当!?昔はもっと複雑でね、初代の仮○○○ダーが確か日曜の朝9時だったよな?俺も日曜の朝早起きして見てたよ。」

30代後半の男性参加者C「俺は小学生の頃日曜の朝にお○○です見てたなぁ…いっやノ○ダー懐かしい… 数年前に映画に出てきたって話聞いた時はびっくりしたよ…」

紘深「私どっちも知ってます!」

40代の女性参加者D「あなたとても面白いこと知ってるんですね。」

案の定とも言うべきか、大分県の昔、特に1993年より前のテレビに関する話がポンポン飛び出した。


良哉「じゃあ、俺たちはこの辺で。部活の方の展示がありますので。」

紘深「お話しできて本当に楽しかったです。」

29歳の男性参加者E「こちらこそ。また会えるといいですね。」


俺たちが教室を出た頃には時刻は2時50分を過ぎていた。あと10分弱で写真部のブースに戻らないといけない。

「やっべあと10分。もねえじゃん。」

「急ごう。」

「そうだな。」


写真部のブースに着いた頃には、時刻はもう午後2時57分になっていた。

良哉「お待たせー。」(息が少し切れた様子)

紘深「ごめんごめん遅くなっちゃった。」(息が少し切れた様子)

幸太郎「待ってたよ2人とも。どうだい。文化祭デートは楽しかった?」

良哉「あ、ああ…」


俺は藤堂の「デート」の部分に突っ込むこともできないまま、午後のシフトに。


そして時刻は午後5時。

片桐「じゃあみんな、明日もよろしくね。」

一同「はい。」


なんだかんだ楽しい1日だった。明日も明日で時間がある。どうせ暇だから、黒藤さんと文化祭を周ろうかなと思っていた。


~次の日~

(軽音楽部の公演を見ている良哉と紘深)

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