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第10.5話「嬉し涙はデートのあとで」

良哉との東京支社巡りデートを終えた直後、店の入り口の前で一人目に涙を浮かべていた紘深。

良哉が知る由もないデートを終えた紘深の心は、一体どうなっていたのでしょうか?


【本話を読む前に、前話を読んでいただくとありがたいです】

「あれ…?ど、どうしたんだろ私…なんで…涙が…」

楽しかった斎藤君との東京支社デート。家で斎藤君と別れた私の目には、なぜか涙が浮かんでいたの。


(泣いているまんまだと心配されちゃうよね。)


そう思って私は涙を拭って顔を整えて、家に入る。

「ただいまー。」


時間は夕方の4時くらい。お店の方は営業中でお客さんの数もそこそこ。部屋にカバンを置いた後洗面所で手洗いうがいをする。部屋に戻る最中、お母さんとバッタリ会った。

「あ、紘深おかえり。楽しかった?斎藤君との東京支社巡り。」

「うん!かれこれ20か所くらい回っちゃったかな。」

「そんなに言ったんだ。(苦笑)まあでも紘深ったらたくさん調べてたしね(苦笑)…」

「えへへ…(苦笑)(汗)」

「斎藤君って地方から上京してきたんでしょ?あの時計塔を初めて見た時はそれこそびっくりしたでしょうねー。」

「そうだね。テレビはよく見てたって言ってたけど。」

お母さんと今日のことで話が盛り上がる。たくさんの東京支社をめぐったことはもちろんのこと、気づいたら最初は「行ければいいかー。」と思っているだけだった築地市場の方まで行ってしまっていたこととか、斎藤君が銀座の時計塔に興味津々だったこととか。


お店の書き入れ時まではまだ時間があるけど、お母さんはその準備でお店の仕込み場に行く。私は一人自分の部屋に戻る。

「さあてと、もらってきたタイムテーブルをしまわないと。」

そう呟いて私はカバンの中からぎっしりと入っているタイムテーブルやら新聞やらを取り出して、床に置く。


私はふと、今日初めてもらってきた静岡のテレビ局のタイムテーブルに目が行く。


「え、なんで…」

するとまた、目頭が熱くなるような感じがした。

「やばいやばい。整理を続けなきゃ。」

浮かび上がってきた涙を服の袖で拭い、もらってきた物の整理を続ける。今までにもらってきたタイムテーブルをしまっている本棚の本立てを動かして、今日新しくもらってきた20近くのタイムテーブルを新しくそこに入れる。買ってきた新聞は机のそばにある大きなダンボールの中に入れて大事にとっておく。

(こんなにたくさんの新聞を買ってくるなんて機会、もうそうそうないよね。)


片付けが終わった私はベッドに寝転がる。今になって、たくさん歩いた疲れがくる。

そしてその直後のこと…

「あ、あれ…また…?」

また目頭が熱くなってくる感じがした。さっきまでとは違ってどんどん熱くなってくる。はっきりと分かるくらい涙がどんどんと込み上げてくる。

「なんで…なんで私…泣いてるの…?」


なんでなんだろ。確かに私が地方のテレビ局を好きになっていく中で「新橋や銀座には地方のテレビ局の東京支社がたくさんある」ということを知ってからずっと「いつか銀座で地方のテレビ局の東京支社巡りをしたい。できれば、私の趣味を分かってくれる人とも一緒に。」って思ってはいた。今日はそれがやっと出来たわけなんだけど私は今泣いている。今まで「地方のテレビ局が好き」ってことがクラスの人から「変わったやつ」って見なされ、それを理由にからかわれたりいじめられたりしたことなんか一度もなかったのに。


それってもしかして、私は自覚していなかったけど泣いちゃうくらいに嬉しかった事だったのかな?

「私、今日は本当に楽しかったな…」

私はベッドの上で涙をこぼしながらそう感じていた。


私はいつしか、微かに声を上げながら泣いてしまっていた。お母さんとかに聞こえて…ないよね…?


「紘深ったら嬉し泣きまでしちゃって。今日は本当に楽しかったみたいね。紘深、本当に良い友達を見つけられたわね。」


デートを終えた直後ですが、次回また新キャラが登場します!

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