第100話「誕生日パーティー!」
ついにこの小説も100話目到達!
そんな今回は、紘深の誕生日パーティーの話です!
4月25日、今日は黒藤さんの誕生日。
その夜、俺たちは黒藤さんの家で誕生日パーティーだ。
(ドアのチャイムを押す音)
幸太郎「こんばんはー。」
良哉(幸太郎からワンテンポ遅れて)「こんばんはー。」
誕生日プレゼントを持って俺は黒藤さんの家に行く。見ると藤堂も誕生日プレゼントらしきものを持っていた。念のため俺は聞いてみることにした。
(階段を上がりながら)
「なあ藤堂、お前が持ってるこれって誕生日プレゼント?」
「ああそうだけど。お前のそれも?」
「ああ。」
「いやあ黒藤に何かあげるの初めてだから、俺すげえ悩んだよ…」
「俺も岐阜の実家帰った時に買った岐阜のテレビ局の番組表とか新聞くらいしかあげたことないしなあ(苦笑)逆に俺は、タイムテーブルとかいろいろ貰ってはいるんだけどね…(苦笑)」
「そうだよなあ…(苦笑)」
階段を上がった俺はリビングに着いた。
兎愛「あ!斎藤さんに藤堂さん!」
リビングには北条さんと黒藤さんの姿が。北条さんは俺たちよりも先に黒藤さんの家に着いていたようだ。
良哉「おう。」
幸太郎「よお。お前もう先に来てたんだ。」
紘深「待ってたよー2人とも!」
手洗いうがいを済ませ、俺たちはリビングのテーブルの席につく。
すると、黒藤さんのお父さんがお寿司のセットを運んできた。おじさんが今日のために事前に握っておいたものだという。駅近くの鮮魚店でなら2~3千円台でかかりそうなクオリティーだ。
良哉「ありがとうございます。いや凄い豪華ですね…」
幸太郎「はい… マジでありがとうございます…」
兎愛「ありがとうございます!ウニもある!」
大智「いいってことよ!じゃあ、紘深の誕生日パーティー、楽しんでくれよ!」
約束の時間よりかはちょっと早いが、パーティーが始まった。
幸太郎「んじゃあ黒藤、誕生日おめでとう!乾杯!」
幸太郎以外の3人「かんぱーい!」
(グラスで乾杯する音)
紘深「みんな本当にありがとう!」
幸太郎「さあ、飲もう飲もう!」
飲むといってもお酒はなく、みんなで持ち寄ったジュースや炭酸飲料だ。北条さんもいることだし。
食べるものはおじさんが握ってくれたお寿司の他にみんなで持ち寄った食べ物もある。北条さんが買ってきたグラタン(近所のコンビニで売っているやつ。数は2つ。)、藤堂が買ってきたローストビーフ(近所のスーパーで売っているやつ。3人前。)、黒藤さんが買ってきたエビフライやコロッケ、それに俺が買ってきたバウムクーヘン…
(一同、お寿司などを食べながら)
幸太郎「えっと寿司の他は北条が買ってきたグラタンに、俺が買ってきたローストビーフ、黒藤の買ったエビフライとか… でお前それって… バウムクーヘン?」
良哉「ああ。黒藤さんの誕生日プレゼント買った店で売ってたやつで、買ってみたんだけど結構旨くて、ハマった。」
俺はそのバウムクーヘンを、奮発して様々な味のものを10本も買った。値段にしてなんと2,000円くらいだ。
兎愛「メロン味やレモン味のバウムクーヘンは初めて見ます。」
幸太郎「今こんなフレーバーもあるんだ…」
紘深「私もそれ知ってる!東口のショッピングモールに入っているやつでしょ?」
良哉「そうそこ。」
みんなバウムクーヘンに興味を示しているようだ。藤堂はメロン味、北条さんは抹茶味、黒藤さんはほうじ茶味をそれぞれ半分ずつ食べる。
幸太郎「メロン味のバウムクーヘン… なんか不思議な感じだけど旨いな。」
兎愛「抹茶菓子みたいです!美味しい!」
紘深「これ私の好きなやつかも!今度他の味も買ってみよ!」
みんなが絶賛したバウムクーヘン。黒藤さんの『これ私の好きなやつかも!』という言葉には、心なしかちょっと安心した。
パーティーも一通り進んだところで、誕生日プレゼントを渡す時間だ。
幸太郎「…まず誰から渡す?」
良哉「話し合っておいた方がよかったやつ?」
兎愛「普通こういうのって流れで渡すはずですがね…」
紘深「私は別に誰が一番最初でもいいけど…」
誰が黒藤さんにプレゼントを渡すかで少々ぐだついた。
幸太郎「斎藤。お前からでよくない?この中でリアルで接点強いのってお前だろ?」
良哉「ええ!?ちょっと待てよ心の準備ってもんがあるだろ…」
さらに俺はこう続ける。
良哉「SNSでは北条さんが一番付き合い長いんだし、藤堂お前は黒藤さんとは中学の頃からの付き合いなんだからそれでもいいじゃん…」
幸太郎「いいじゃねえかよ!もうお前が先に渡さないといけない空気になってんるんだしさ!」
藤堂の言う通り、この誕生日パーティーの空気は完全に俺がプレゼントを渡す空気になっていた。
文房具ばかりの俺からの誕生日プレゼント。少々地味かもしれない。黒藤さんは喜んでくれるか、俺は今から不安になってきた。
良哉「じゃあ黒藤さん… これ、誕生日プレゼント…」
紘深「ありがとう斎藤君。結構大きいね。何かな?」
(紙袋を開ける音)
紘深「クリアブックに、スタンプ、あ、封筒もある!大きい!」
良哉「まあ、クリアブックは黒藤さん今後どこか出かけてテレビ局のタイムテーブル貰ったって時にクリアブックいっぱいになってたら困るだろうし…」
紘深「うんうん!」
良哉「スタンプと封筒については就活近いからさ… 後々役に立ちそうなものがいいかなって思って…」
紘深「うんうん!ありがとう斎藤君!私この『履歴書在中』のスタンプはマジで欲しかったんだ!」
良哉「喜んでくれたようでよかったよ。どういたしまして。」
紘深「大切にするね!」
プレゼントを喜んでくれた黒藤さん。こちらとしても一安心だ。
幸太郎「番組表入れる用のファイルは黒藤的に需要めっちゃあるのはもちろんのことだが、就活を見越すプレゼントもとはお前すげえな…」
良哉「最初から狙ったわけじゃないんだけどね…」
幸太郎「じゃあ次は俺。」
紘深「藤堂君のは何だろう?」
(紙袋を開ける音)
紘深「腕時計だ!かっこいいやつ!」
藤堂が黒藤さんにあげたプレゼント。それは腕時計だった。黒を基調としたものだが、見た感じ男女兼用のものに見える。そういえば黒藤さん、大学に腕時計はつけていなかったなあ。
紘深「ありがとう藤堂君!大学にもつけて行くね。」
幸太郎「ああ。」
最後は北条さんだ。北条さんのプレゼントの箱は大きめだ。
兎愛「私からの誕生日プレゼントです。」
紘深「大きい箱だね。なんだろう?」
(箱を開ける音)
紘深「なにこのワンピース!凄く可愛い!」
北条さんが黒藤さんにあげたのは、1枚のワンピースだった。色はベージュだ。
紘深「ちょっと着てくるね!」
黒藤さんはそう言って、ワンピースを持って部屋に戻った。試着しているのだろう。
数分後…
紘深「じゃじゃーん!」
ワンピースを身に着けた黒藤さんが部屋から出てきた。袖はひじくらいまでで、スカートの丈は膝くらいまでというところだ。藤堂とかには言えないが、はっきり言ってかわいい。
兎愛「わー!紘深さん可愛いです!」
幸太郎「いいね。」
良哉「ああ。」
紘深「ありがとうみんな。」(満面の笑み)
すると、
「斎藤。」
藤堂が俺に話しかけてきた。
「藤堂?」
「なんかお前リアクション薄くね?」
「いや… 我ながら普通かなと俺は思うが…」
「お前のことだから黒藤のこと可愛いとか思ってたんだろ?相応のリアクションじゃなかったからさ。」
「そういう問題かよ… まあ確かに可愛いとは思ってたけど… あ。」
俺はうっかり口を滑らせた。
「じゃあしっかり言えよ!斎藤!」
「恥ずかしいわそんなん!」
北条さんからもらったワンピースを着ている黒藤さんが可愛いのは事実だが、それを言うのは恥ずかしい。藤堂に誘導されて言うのだからなおさらだ。
良哉「黒藤さん…」
紘深「?」
良哉「可愛いよ。そのワンピース。」
紘深「(微笑んで)ありがとう。斎藤君。」
幸太郎「言えたじゃん!ヒュ~ヒュ~!」
良哉「ううるせーな藤堂…」
紘深「もう何なの斎藤君も藤堂君も~?(苦笑)」
その後はいろいろおしゃべりしながら引き続き食事だ。俺と藤堂は食事をしながその脇で黒藤さんと北条さんはスマホでゲームをしている。
夜も8時頃になればたくさんあった食事も完食だ。するとそこへ…
侑梨「みんな盛り上がってる?ケーキ持ってきたわよ。」
黒藤さんのお母さんが、パーティーの場にケーキを運んできた。
兎愛「ケーキだ!ありがとうございます!」
紘深「お母さん!ありがとう。」
良哉・幸太郎「ありがとうございます。」
おばさんにケーキを4等分してもらい、俺たちはケーキを食べる。ただでさえお寿司などいろいろ食べてお腹がいっぱいな俺たちだが、ケーキはなぜか入る。これこそまさに「甘いものは別腹」とかいうやつだろうか。
幸太郎「お前もそう思った?よく言うよな。甘いものは別腹って。」
兎愛「はい!」
紘深「うん!」
良哉「なんだろう。今日はまだ行ける気がするなあ。」
今までで一番食べたかもしれない。
その後パーティーは夜の9時過ぎまで続いた。
良哉「じゃ。」
紘深「うん。また明日ね。」
パーティーが終わり俺たちは順次家に帰る。時間も時間ということで北条さんは黒藤さんの家に1泊泊まるようだ。
その夜、夜寝るタイミングで、
(LINEの着信音)
「斎藤君、」
「まだ起きてる?」
黒藤さんからのLINEが来た。
俺は黒藤さんに返信する。
「ああ。」
すると黒藤さんは
「今日のパーティーどうだった?」
と返してきた。
「うん。楽しかったよ。」
と返す俺。俺たちはやり取りを続ける。
「どうだった?」
「兎愛ちゃんが私にくれたワンピース。」
(そうきたか黒藤さん…)と思いながら、俺は返信する。
良哉「可愛かったよ。さっきのは藤堂に言わされてた感があるけど…」
「可愛いなって思ってたのは事実なんだぶっちゃけ。」
すると数分後、
紘深「ありがとう。」
「近いうちに大学に着ていこうかな。」
「あと斎藤くんとどこか出かける時にも!」
「今年はゴールデンウィーク合宿ないから、2人でどっか行けるしね。」
「おやすみ。」
良哉「ああ。おやすみ。」
気づけば、新しいワンピースを着た黒藤さんと一緒に出かけるのが、なんとなく楽しみに思う自分がいた。
(この気持ち、藤堂には絶対に話せんな(苦笑))