ブラッドロック
人はかつて神の怒りに触れた。
西暦2100年、当時の科学者達は枯渇する世界の資源を憂いていた。しかし、空想理論「神」が証明されたことにより人間の力では推し測ることのできない存在「創世神」と名乗るモノとの接触に成功する。「創世神」との契約により新たなる万能のエネルギー「魔導力」の供給が確立されることとなり、人類は一時の安堵を得ることになった。
契約の内容は2200年における人類の滅亡、現世界の消滅。きまぐれな創世神の遊び心により人類史は100年後の滅亡が決定された。
西暦2152年、科学者エウレス・C・ハイアームが提唱した「創世神」を地上に実体を持たせ顕現させる「降神計画」によって人類は創世神を殺すことで滅びの運命を避けようとした。
結果として「創世神」は人々の行いに激怒し、世界を造り直した。新たなる「ヒト」と動物の誕生、魔導力による資源の組み換え、それらをゼロから始めさせた。
かつて地上を支配していた人類は伝説として語り継がれるだけの存在となった。かつての文明は全てが新たなる大地の地底へと眠ることになる。
「ヒト」は新しい時代を、文明を、宗教を、戦いを身につけ時計の針を進めていく。
「創世神ウルトカーナ」を信仰する「創聖教」の発足により新たなる人類が産まれた日を起点に「創聖暦」と呼ばれる年号が決定される。そして創聖暦0年は「再創造」と名付けられた。
そして時は流れ、創聖暦1628年、人類は科学者ハルトマンが提唱した「魔導科学」と呼ばれる技術によりその文明の進化を加速させていくこととなる。
世界の国々は友好関係を結ぶ国もあれば他国への侵略により国土を広げる国もあった。
また、世界機関なる組織も存在し、各国からの知識人達により運営されており、彼らは世界が破滅の方向へと向かわないように世界を統制する、監視する目的で存在している。
移り変わった世の中で、賞金狩りを生業としている男の噂が再創造前、アメリカと呼ばれていた土地、今は世界四大国のうち、最大の国土を誇るUSA連邦の片隅で話題になっていた。
筋肉質で大柄な体格に身の丈ほどの大剣。賞金首は魔獣だろうが人間だろうが容赦はしない。目が合えば命を奪われるとさえ錯覚する眼光の鋭さ。人には太刀打ちできないような化け物すら叩き伏せる凶暴さ。それらはただ一人の男を指していた。
「なあ、アンタ...アッシュ・ブラッドロッカーを知ってるか?」