女神、探します(探される方もいます)
かなり難産の割に話は進みません。本当に申し訳ない。
アクアとヴェルヌが着替え終わり部屋に戻ってくると、そこには別世界が広がっていた。
つい数十分前まで足の踏み場がないほど散乱していた調度品はしっかりと元の位置に戻っており、一面に転がっていた日用品は立体パズルのように収納されている。
「あの、ノーティリウス様…」
「あら、アクア、ヴェルヌ。お清めは終わったみたいね。こっちも丁度片付けたところだから」
「ノーティ…、ありがとう…」
「いいのよ、今の私にできるのはこのくらいのことだし。でも、貴方も少しは自分でやる努力をしなさいな」
「そのうちね…。それより、私も二人を探すの、手伝う…」
「いいの?アクア。かなりハードは仕事になるわよ」
「面倒なのは、嫌い…。でも、二人がいないのはもっと嫌だし、ノーティが忙しいと私の部屋が汚れるし…」
「そうね、居たら騒々しいけれど、居なかったらそれはそれで物足りないものね」
「素直じゃありませんね、ノーティリウス様は」
「ノーティは、照れ屋だから」
ノーティリウスは反論しようと口を開きかけたが否定材料がないことに気付き甘んじて不本意な評価を受け入れることにした。よく見るとアクアの言葉通りノーティは頬をうっすらと赤く染めていた。
ようは照れ隠しで憎まれ口を叩いているだけで本音の部分では心配なのである。
「とは言っても、ティーラは未だどの世界に降りたのかわからないからフローの方を先に探すわよ」
「ところでフロー様はどちらにいらっしゃるので?」
「…第42管理世界、ウィニスタよ」
その名前を聞いた瞬間にヴェルヌは顔を顰め、アクアも少しだけ眉を寄せた。
「ああ、例のフロー様が創造された管理世界ですね…」
「ヴェルヌ、気持ちはわかるけど今からそんなゲンナリしてたら体がもたないわよ」
「でも、あの世界に近寄りたくないのも事実」
第42管理世界ウィニスタ。風の神フローが直々に創造したその世界は吹きすさぶ暴風の如く荒ぶっている。
文化と知性は荒廃を極め、暴漢どもが我が物顔で闊歩している。
大いなる先代の神々が想像した第1管理世界の言葉では世紀末と呼ばれるような有様である。
女神でなくとも好んで訪れる者は多くないだろう。
しかし、フローを連れ戻すためにはウィニスタに降りるしかない。その現実を受け入れるしかなかった。
次回からついに女神たちの捜索本格スタートです。一体荒れ果てた世界でノーティリウスたちはどうなってしまうんでしょうか(未定)。