屋上
side 京介
「あったあった。いい感じの屋上じゃん!裏夜景も一望出来るしあんま人も出入りしなそうだしな…学校の屋上ってやっぱロマンだよな。」
建也と別れたあと、いろいろと回っていた京介は屋上へとたどり着く。
「しかしこの学校でけえなぁ…基本はこの校舎だけど、実習棟とか外もいれたらパネエな…とりあえず一服…ん?歌声?どっかのギャルゲみたいな展開だな…」
京介がタバコに火をつけようとすると歌声が聞こえてくる。
「うん!バッチリでしょ!これなら新歓でもいけるいける!」
「そう?とりあえず一安心か…ギャラリーも増えてるしね」
「んっ?スーツって事は新入生?こんにちは!」
京介に気づいた2人の女性は声をかけてくる。
「先輩っすか?偶然ここに来たらきれいな歌声が聞こえたもんで…まだ休みなのに練習とは見習いたいっすね?」
「私達は二年になるわ。練習はちょっと学校に用事があったからついでよ。」
「私達は入学式のお手伝いをしててね?とりあえず自己紹介しよっか?私は桐谷小夏。出身は商業で、二年二組。軽音サークルなんだ。ヨロシクね?」
小夏さんか…少し明るい髪に八重歯、はっきりとした顔立ち、スタイルもいいし、なんていうか美人以外の何者でも無いな…
「次は私かしら。七條沙耶。小夏とは中学からの付き合いでね?今も同じってわけ。軽音サークルでバンドも昔から。私には一つ下の妹がいるんだけどあなたと同じく今年から未来大に入学したのよ。名前は…」
「それって…みのりっていう名前じゃないすか?」
つくづく自分は何故こうもアタリを引くのだろうか、何故なら目の前にいる七條沙耶さんは、俺のよく知る人物。みのりの姉なのだから…
「あら?そうだけど、みのりの知り合い?みのりの知り合いにこんないけてる子いたかしら?」
「やっぱわからないんすね…そうですね。それじゃヒントです。昔誰かにもらったケーキでみのりと喧嘩しておじさん達に怒られてましたよね…それをあげた人物は?」
「なんでその事…あなた…」
「昔から歌が上手だった沙耶姉にギターを教えた人物は?1人しかいないっすよね…」
「キーくん…なの?」
「まさかこんなところでアタリ引くとはつくづく俺もついてる。みのりに聞きましたよね?またヨロシク?沙耶姉!!」
「キーくんのバカ!!」
沙耶は京介に飛びつく。
「ったく姉妹揃ってバカ呼ばわりすか…」
「へー?その子がみのりちゃんや沙耶ちゃんが言ってた京介くんだ?なるほど…」
「まぁ何を聞いていたかは知りませんがよろしくお願いしますね?小夏さん」
「うん!よろしくね?ほら沙耶泣き止んで!」
「ごめんなさい…突然だったから…おかえりキーくん。今日はうちで飲むんでしょ?そこでの再会のつもりでいたから、心の準備してなかったじゃない!しかしほんと変わったわね?東京での話し、ゆっくり聞かせてちょうだいね?小夏も良かったらくる?」
「うーん…でも私接点ないしいいの?」
「気にしないで下さい。俺のミニバンで送りますし、沙耶姉のその後も聞きたいっすから」
「んじゃお言葉にあまえてー!」
三人がのんびりと話しをしていると、
「キョンちゃん!!」
屋上の扉が開かれ1人の女の子が京介の名前を呼ぶ。