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08.トルロ島

 よくよく考えたら未探索のダンジョンってスポアキングを倒したように中は暗いよね。

 今手持ちになにがある。なにもない。松明、ランタンは必須になるんだろう。


 一度都に戻ってアイテム屋にいくべきか、別れた手前すぐ戻るのも格好悪いが仕方がない。ついでにフィールドムーブも使えるからいいだろう。


 トルロ島の港に戻り、都の港にとフィールドムーブを念じる。

 転移門が出てくる。入ると港についた。そこにはリリシーの姿もなく、日は真上に昇っていた。


 朝方出てきたはずだがもう昼だ。フィールドムーブは移動中に現実の時間も消費するらしい。

 転移門に入っている間の意識は一瞬だけど、時間は経過する。

 ワープだと瞬時に移動できるけど転移門がないから回りからは変だと思われる。

 使いどころが難しいな。


 それにフィールドムーブで時間を消費するのは痛い。

 ワープがばれない場所、移動に使える場所を探してそこに移動と念じればいけるだろうか。

 いけると思っているのは宿の部屋の中だろう。

 そこから瞬時に飛べば問題はない。帰りも誰にも見られることはない。


 問題があるとすればトルロ島のどこに飛ぶかだな。誰もいなさそうなところに念じて飛べたとしても、万が一人がいた場合説明のつけようがない。

 今日はダンジョン探索の準備とトルロ島でワープが使える場所の確保だな。

 昨日やっておけばよかったがリリシーもいた。デートが楽しかったから仕方がない。


 まずはアイテム屋に向かおう。

 確か防具屋の近くにあったはずだ。


 アイテム屋を見つけて中に入る。


「いらっしゃい、何をお探しで」

「ランタンってあるか?」

「ランタンね、お客さん初めてかな?使い方は大丈夫か?」

「初めてだ、教えてくれると助かる」

「じゃあセットで火種もいるな。火種はあるだけ便利だから多く持っておいたほうがいい。ランタンを買うならセットで入れておくよ。中金貨一枚に小金貨五十枚だ」


 中金貨二枚を渡す。おつりに小金貨五十枚とランタン、火種を十個受け取る。


「因みにランタンと火種の単価は?」

「ランタンは一つ中金貨一枚、火種は小金貨十枚だよ。ランタンと一緒だから火種は半額のサービスだ」

「それはありがたい、またなにかほしいのがあったら立ち寄るよ」

「まいどあり」


 アイテム屋を後にして次はギルド本部に向かう。

 魔法の鞄の収納数を増やしておく。ついでに酒場のマスターにトルロ島のダンジョンの場所も聞いておこう。


 カウンターに魔法の鞄の収納数を増やしたいといい、中金貨が必要らしいので支払う。

 中金貨十枚を払い、魔法の鞄LV2にしてもらった。収納数は15個までらしい。

 もう一度収納数を増やすには中金貨が十五枚いるらしい。

 五つずつ上がっていくと考えられる。

 十五なら金貨で三枠取られるから実質十二個入るわけだ。今は十分過ぎるな。


 次に酒場に向かう。

 マスターから聞くには島の中心部に生成されていたと、誰も気がつかなかったわけではなく隠蔽(いんぺい)されていたらしい。

 なぜかは分かっていない。


 お礼を言って、その場から立ち去る。


 そして港にやってきた。時間は午後三時ぐらいと考えられる。宿の番号は聞いたけど部屋の中まで見ていないから、そのリリシーがいうに、記憶はされていないんだろう。


 仕方がないがフィールドムーブを使ってトルロ島に向かう。

 島の真ん中に向かっていく中、酒場でダンジョンのことを喋っていた冒険者たちがいた。


「案外楽勝だな。明日にはボスまでいけるんじゃないのか」

「まだいけると決まったわけじゃないぞ。うちには回復役がいないんだし無茶もできないだろう」

「まあそうだな、しっかし手応えなかったな――」


 楽勝なのか。

 いやLV20で楽勝ってことだ。

 自分ならもっと楽になるだろう。

 あの冒険者たちは帰りって感じだったからこの先にダンジョンがあるのは間違いないだろうな。


 数分歩くとあった、相変わらず洞窟だな。

 ダンジョンってこういうものなのか。


 中は松明が壁につけられて明るい。

 これはランタンいらないか。

 でも奥に進めば必要になってくるだろうし、買っておいて損はなかっただろう。


 ダンジョンの中は人の声も聞こえなくて、静まり返っていた。

 足音だけがダンジョン中に響き渡る。

 奥に進み歩いていくと、降りる階段を見つけた。


 ここからが二層目か、LV12まで楽勝なのは分かっているから問題なくいける。

 階段を降りて壁に並べられた松明を見ながらさらに奥に進む。


 モンスターはいない、狩られたあとなのかだろうか。

 三十分ぐらいは歩いているだろう。

 何事もなければ一層進むのに三十分ぐらいか。


 二層もなにもなく次の階段を見つける。迷わず降りる。


 これ、ダンジョンで稼げるのか。

 まだ外のがモンスターはいるのではだろうか、ってぐらいいない。

 一日ぶりの戦闘だっていうのにモンスターが現れないのは残念だな


 三層に行く階段の手前に二人立っていた。サーチするとLV8とLV12の盗賊だ。

 防具は皮の装備、武器は鉄の剣を装備しているのが見える。サーチから見えるダガーは外見からは分からない、多分隠しているんだろう。


 このまま、お前ら盗賊か。とか言うわけにもいかないからな。


 コンビニの前でたむろしている不良共の目の前を通るみたいだな。

 何も起こらないようにするために適当に挨拶して先に進むか。

 何事も挨拶は大事だしな。


「どうも。この先、どうなってるか分かるか?」


 全身を嘗め回すように見られ、答えが返ってくる。


「雑魚ばっかりで手ごたえがないっすよ」

「それに結構深いらしいぜ。君は冒険者か?」

「いやまだ成り立てでね。腕試しにと来てみたんだが、モンスターが見当たらなくてな。この先なら多少はいるか?」

「この辺りは既に殲滅済みだ、モンスターが出てくるまでは時間は掛かるからな」

「そうか成り立てか、無茶はしないようにな。複数に囲まれたときは、特に後ろには注意することだ」


 ニヤリとする顔を見せる。盗賊が自分から後ろを注意と教えるのか。

 はあ、多分襲ってくるんだろうな。カツアゲかな。


 そういえばもし襲ってきたらどうすればいいんだ。

 テレポートは使えないがヘイストなら距離はおける、素早いやつだと思われるぐらいだろう。

 だけど相手は人なんだよな。ゲームみたいにばったばったと斬っていってもダメだろうし。


 頼む、この剣と盾がある限り君たちは俺に勝てない。来ないでくれよ。

 それに無益な殺生はしない。っての格好いいよな。


 盗賊たちは道をあけてくれたので三層に降りる。

 サーチを使えば相手がある程度どの辺りにいるのかが分かるので、使いながら進むが盗賊は追ってくる気配はないようだ。


 帰りは旅人だからエスケープを使えばダンジョンの入り口に即出れるが、盗賊が入り口で出待ちってのも考えられるな。

 襲ってくる前提で帰りは考えたほうがいい。


 四層に進む階段の手前に小人のようなものが複数いる。

 サーチすると


ゴブリンLV7

ゴブリンLV6

ゴブリンLV7

ゴブリンLV4


 と出る。


 えらくばらばらだ。

 それに三層でLV7なのか。

 てっきりLV3ぐらいから階層が増えていくごとにLVが増えていくのかと思ったけど違うようだ。

 そういえばスポアキングはLV12だったしな。

 ボスモンスターとはいえ一層目にいたのに。


 先手必勝で倒しに行くべきか?

 違うな、ゴブリンの攻撃方法は見ておいても損はないだろう。

 もしものときのために役立つはずだ。


 ヘイストを使い、ゴブリンの間合いに入る。出血も考慮して服が汚れないように立ち回り、ゴブリンの首を斬り落とす。

 やはり血は出るらしい。恐ろしい。


 結晶化し、見覚えがあるものが残った。

 これは火種だ。

 なるほど、こいつが落とすのか。

 もう買う必要はなさそうだ。なくなったらここのダンジョンに来ればいい。


 ゴブリンLV4を一体だけ残し様子を見る。

 ゴブリンは木の棒を持ち、懐から何かを取り出す。

 懐から出したなにかで木の棒に点火させる。


 こいつが火種を使うからドロップするってことなのか。

 それにしても火とは厄介だな。

 囲まれたら燃やされそうだし。


 攻撃を見るため盾で身構えて様子を見続ける。

 するとゴブリンはジャンプして一気にこちらとの距離をつめて来る。


 跳躍力すごいな。

 あの跳躍力はほしいぐらいだ。

 ヘイスト使えばあれぐらいできるかな。


 ゴブリンは火のついた木の棒で殴りにかかるが、盾で受け流す。

 火との距離はかなり近いが熱さは感じられない。


 無敵だなこれ。

 もう奥までいってダンジョン討伐してもいいんじゃないかな。

 今日はもう時間がないからやめておこう。

 それにであった冒険者も明日にはいけるともいっていたしな。

 盗賊がいたことも気になる。


 ゴブリンの攻撃も分かったし止めを刺す。


 結晶化し小金貨八枚と火種が残った。

 やっぱり稼げそうにないよな。傭兵登録するしかないのかな。


 四層に行く階段を降りる。松明が雑につけられていた。

 ここからあまり探索されてないのだろうか。

 三層までは綺麗に並べられていたわけだが。四層は、見えていればいいだろう。ぐらいの雑さでおかれている。


 誰が松明をつけているのかわからないし、明かりがあるだけまだありがたい。


 進むでいくとウォルフとゴブリンがいた。

 一掃して先に進む。


 五層だ。かなり順調に先に進んでいる。三層までなにもなかったのと武器のお蔭ですぐ来れたわけだが。

 それに通常の武器ならゴブリンとウォルフの戦闘で数時間は取られているだろうからな。


 時間は夕方ぐらいだろう。フィールドムーブで都につく頃には夜になるだろうし今日のところは帰ってもよさそうだな。

 ちょうどよく五層だし、次はここからスタートできる。


 ダンジョンムーブを使って入り口にと念じようとする。

 盗賊がいるんだったな。どうする、二層の入り口に出てダンジョンの入り口に向かってみるか。


 ダンジョンムーブを念じ二層の入り口に出る。

 階段を上り一層に出る。

 ダンジョンの入り口についたが誰もいなかった。


 あの様子だと待っていそうだったんだけどな。疑いすぎだったか。


 トルロ島の港まで移動し、フィールドムーブで都の港に移動する。

 時間は夕日が落ちたばかりといったところだ。現実の時間で二十時ぐらいだろう。


 アイテム屋に向かいウォルフの毛皮を二枚売却したあと宿屋に戻る。

 明日の朝から進んでいけば次は十五階層までいけそうだな。


 同じやつが続けてダンジョンを討伐するのは、この世界的にどうなんだろう。

 確実に金貨を得るなら今はダンジョンの討伐が一番だろう。それに討伐したのはギルド本部の受付しか分からないだろうから気にしなくてもいいのかもな。


 トルロ島にダンジョンがあるのは、ギルド本部の内部にも伝わっているだろう、もし討伐できたとしてもそれを隠すことは出来ないはずだ。

 討伐してあとでモンスターカードを持って行くとすると、なんですぐに持ってこなかったと言われるだろうからな。


 宿で夜食を済ませることにする。ここは酒場に比べて小金貨五十枚分安い。その分少し質素ではあるが。


 今日は稼げてないから赤字か。明日は少しでも狩れるといいな。


 朝になって、宿を出る。

 その場でフィールドムーブが使えるかと思ったが使えなかった。

 使える場所は決まっているようだ。やっぱり記憶、なんだろうな。その記憶できている場所でしか使えないと、ダンジョンムーブも一緒だ。


 ワープはどうだろう、一度しか試してないから分からないな。

 あとでレーネの村にと念じてみてもいいかもしれない。


 今はトルロ島のダンジョンだ。港にいこう。

 港からトルロ島に向かう。

 トルロ島についたら昨日の盗賊たちがいた。


「お、昨日の冒険者じゃん。今ダンジョンか?」

「ああ、それにしてもあんたら朝早いんだな。それとも帰りか?」

「まだこれからだ、人を待っているところだからな」

「そうそう、遅刻だぜまったくよ」

「そうか、それじゃあ先に行かせてもらうよ」

「気いつけなよ」


 悪い笑みを浮かべながら返事が返ってくる。

 しかし盗賊に気を使われるとはな、それとも何かの意味か、昨日の発言を含めると。

 盗賊だからっていう偏見か、うーん。

 なにかあったらそのときでいいか。


 ダンジョンの入り口につき、ダンジョンムーブで五層に向かう。


 ゴブリンとウォルフがセットで行動している。

 この層ではこいつら固定か。うまみがあるのはウォルフの毛皮ぐらいだろう。


 ヘイストで近寄り経験値の足しにする。毛皮は落とさなかった、残念。


 六層は少しLVがあがって最高でLV9のウォルフがいた。無論盾のお蔭で体当たりは重たいぐらいだ、何も感じない。


 問題なく七層に進む。順調順調。

 ん?なにやら奥から人が走ってくる。あれは――


「ちっ、聞いてねえぞあんなやつがいるなんて」

「逃げろ、撤退、撤退だ」

「くっ、すまねえ。おい、お前も逃げろ。このままやられちまうぞ」


 三人パーティの男たちが六層に向かう階段を上がっていった。

 三人ともLV11と平均が取れていた。

 あのLVでダメな相手がいるのか。


 奥に進んでいくと足音が聞こえてくる。全身が黒く、二つ頭を持つ犬の姿が見えた。


ヘルウォルフ LV20


 ボスか?でも専用の部屋があるはずだ。

 ということは通常の敵か?にしてはLVが上がりすぎている。

 まだ七層でLV20ってどういうことだ。


 足元には皮の装備が落ちていた。もしかしてこいつに一人やられたのか。

 見た目はウォルフのような感じだが、大きさはウォルフより一回り大きい。それに二つ頭だ。


 なんにせよ、こいつを倒さなければ奥には進めないな。


 いつも通り盾で身構えて距離をとると、ヘルウォルフは素早い動きで回り込んでくる。


 少なくともウォルフよりも早い。

 対応が遅れ、前足で左腕を引っかかれる。


「いってえ。あ、いや。まだ痛くないな。くっそ服ぼろぼろじゃねえか、どうしてくれるんだ」


 問いかけても答えてはくれまい。モンスターだしな。

 袖が少し破れ、そこからは出血している。面倒な相手だ。


 ヘイストを使ってこちらも蹴りを付けにいくため、回り込もうとする。

 向こうも早いがヘイストを使えばこちらよりは劣る。


 ダーインスレイフで横腹を斬り込もうと構えると、ヘルウォルフは後ろに下がり避けた。

 くそう、無駄に素早いやろうだ。もうテレポートで蹴りつけるか、七層の入り口の道にサーチをして人がいるか確認をする。

 よしいない、今なら――


 ヘルウォルフの体当たりを受け、後ろに飛ばされた。

 盾は持っているが剣が手から離れてしまった。

 この犬モドキが、どうせ一撃なんだから潔く倒されてくれよ。


 人はいない、攻撃方法も分かったからすぐに終わらせよう。

 ヘイストの効果が切れたから再び念じる。剣の元まで駆け寄り手にし、テレポートを使ってヘルウォルフの背後に立つ。斬る構えを見せずすぐさま突き刺す。


 地面に倒れ、しばらくしたら結晶化した。通常より遅いからやっぱりボスだったのか?

 地面に残ったアイテムと金貨をサーチする。


ヘルウォルフの牙

中金貨


 牙の大きさは人差し指の第二関節ぐらいだ。これに噛まれたらひとたまりもないな。

 中金貨は五枚だ。まずまずといったところか。


 それと冒険者の遺品の鉄の剣、皮の鎧、手袋、靴。

 どうしよう。放置すべきか。

 しかも血だらけだし触りたくないから放置でいいか。

 鉄の剣だけ貰っておこう。


 それにまだダンジョンは奥にある。

 進んでいくと階段を見つけた。八層目か。

 つまりヘルウォルフはボスではなかったと、中ボスってところか。


 袖のやぶれた甚平のままいくわけにはいかないよな、出血は治っている。HP吸収のお蔭か。


 ここは一旦戻るか。時間もまだまだあるしな、焦る必要はない。それに中ボスでLV20ってことはさらに上も出てくると考えていい。

 そうなるとあの酒場にいた冒険者のLV20だと、太刀打ちは出来ないと考えていいな。


 もっともより強い冒険者が来る可能性もあるが、そこは大丈夫だろう。

 ここのボスで稼がせてもらうぜ。


 八層入り口に着き、一旦エスケープを念じダンジョンの入り口に戻る。

 転移門から出ると、目の前に映し出された光景はまさに最悪といったところだ。


 盗賊たち、後ろにもいて数が分からないが十数人だろうか。

 先ほど逃げていった冒険者たちの身包みを剥いでいる現場を目撃してしまった。


「あー、俺は帰っていいのかな?」


 さすがに数が多すぎる。相手にするのは厄介だ、残念ながらあの冒険者たちには犠牲になってもらおう。


「お、お前さんはあのときの冒険者か。まさか旅人だとは思わなくてな、数時間待ちぼうけだぜ。それでどうしたんだその傷?ウォルフにでもやられたのか。だっせーな」


 盗賊たちが笑い出す。

 笑ってくれて構わんから通してくれないだろうか。

 ため息をつきながら答えを返す。


「まあそんなところだ、腕が痛くてな。帰って手当てしたいんだが、もう行っていいか?」

「おいおい、この状況で行けると思ってるのか?」

「服だけは勘弁してやるよ。その剣と盾は置いていきな、それで許してやるよ。へへへ」


 あー、不良共を相手にしているようで面倒だ。

 一気に斬り殺したいところだがしないほうがいい。

 数が多いってことはまだほかに仲間もいるだろう。

 逃して仲間を増やして報復でもされたら困るからな。


 いったんダンジョンに逃げてワープで宿に戻れるか確かめてもよさそうだな。


 ダンジョンムーブを念じ、五層まで移動しようとする。


「お、逃げるのか、構わねえぜ。ここで待っといてやるからよ」


 転移門に入り、五層入り口に着く。

 そのままワープで自分が泊まっている部屋の場所を念じる。目を瞑り、あけると宿の中だ。


 成功した。

 盗賊たちから不審がられるだろうけど、原理は理解できないはずだ、問題はない。


 時間は昼過ぎってところで時間はある。袖の傷は治っているが付いている血を落とさないといけないよな。

 他に服もないからこのまま出歩くしかないけど。


 部屋を出て店主のところにいく。

 宿の入り口は二つあるため、店主の目を気にせず移動できるのが救いだ。

 服屋はあるかを聞くと、あるらしいからそこに向かうことにする。


 その前に商人ギルドにいくか、リリシーには聞きたいことがあったしな。


 商人ギルドからリリシーの行く先を聞いてから服屋にいくか。

 移動中結構な数に振り向かれる。

 当然だよな、目立ちたくないが甚平で既に目立ってたし、今回はさらに袖が破れて血がついているからな。


「リリシーという商人は今どこにいるんだ」


 商人ギルドにつき、受付に話をする。


「リリシーでしたら、今はディネー村の配達に向かっています。伝言でしょうか?」

「少し用があってな、いつごろ帰ってくるか分かるか?」

「遠いので早くても三日、遅いと五日ほどで帰ってくると思います」

「そうか、ではまたその日にでも来よう」

「泊まっている場所がありましたらそこをリリシーに教えておきますが、いかがなさいますか?」

「あー、それじゃあ頼むよ、宿は――で部屋が――だ」

「分かりました。それでは帰って来次第リリシーには伝えておきます。お手数ですが転生書の提示をお願いできますか」

「分かった」


 転生書を見せる。

 名前確認とかだろう。もしリリシーの知らない人間だった場合は行かせないようにするとかかな。


「ありがとうございました」

「こっちこそありがとう」


 商人ギルドを後にして服屋に向かう。

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