05.スポアキング
松明の明かりがスポアキングのいる洞窟内部を照らす。
サーチでスポアキングの場所はある程度分かるが、暗くて詳しい位置までは分からない。
少し身構えながら進んでいくと、スポアキングの姿が見えてくる。
でかい。スポアに似ているが、それよりも大きく、横に長い。太ったキノコのように思える。
ウォルフよりも動きは遅い、攻撃は避けやすそうだ。
「来るよ」
「はい」
リリシーに合図をし、松明を地面に置き、スポアキングの側面に駆け寄る。
攻撃を仕掛けなくてもこちらに反応してくる。ウォルフと同じタイプだ。
盾を構え様子を見ているとスポアキングの周囲に胞子が飛び交った。
「気をつけてください。その胞子を吸うと体が動かなくなります」
「うそ、マジか」
時すでに遅く、逃げる間もなく呼吸とともに胞子も吸う。
息は出来るし意識もある。言葉も喋れる。ただ体が動かない、麻痺というやつだろう。
リリシーは間合いを取っているから大丈夫そうだ。このことは最初に言ってほしかったな。
「あー、なんだ、こっちにでもくるか」
スポアキングが体当たりをしてくる。
派手に飛び、地面に転がる。
痛さはない。盾の補正のお蔭らしい。
「だ、大丈夫ですか」
「問題ない、リリシーさんは安全なところに居てください」
「え、でも」
「いいから」
リリシーの言葉を遮る。
いろいろ試したいんだ。
スポアキングLV12か、なんだよ、この剣と盾があればなんともないじゃないか。
楽しいね。これがパワーレベリングをノーリスクで簡単にできるときの気持ちなんだろう。
ダメージは通ってなさそうだ。
だとしてもHPがあれば一ぐらいは減ってるだろう。
アビリティはVITに振っているから多少の無茶はできるけど、もしダーインスレイフ一振りで倒してしまったら困る。
ボスの攻撃は通常の敵よりも強力なのはどこのゲームも一緒だ。
だから試しに攻撃を受けてから倒すことにしよう。
さっきの体当たりも吹っ飛ばされただけで痛みはなかった。
もう一度スポアキングは体当たりをしてくる。
今度は盾で防ぐ。
「見た目はでかいか思ったより軽いな。スポアとほぼ同じといったところか」
ぶつぶつと独り言を言う。遠くからリリシーが見つめている。
大丈夫、楽勝だよこれぐらい。
ついでにイージスの盾の大防御も試すことにしよう。
そう思っているとスポアキングが胞子を出す。
ヘイストを念じ、胞子を吸わない位置まで距離を取る。
移動するのを見計らったのか、追い討ちを掛けるようにスポアキングが体当たりをしてくる。
今だ。
スポアキングの正面に立ち、大防御を念じる。
意識が盾に持っていかれる。不思議な気持ちだ。
最初の体当たりの感覚とは違い、体当たりされたのか分からないぐらい反動はなかった。
体当たりを受け止め、盾でスポアキングを振り払う。綿のように手ごたえがなかった。
スポアキングは仰け反る。
これはすごいな、最初の体当たりで感じた重さはない。ダメージが通ってないんだろうな。
もう終わりにしていいだろう。
テレポートでスポアキングの背後に立ち、ダーインスレイフで深く斬って入る。
呻き声とともに、スポアキングは地面に崩れ落ちる。
一発か、やっぱり強いな、こいつ。
ダーインスレイフを見ながらそう思う。
「お、お見事でした。それにしてもすごいです。数分で倒しちゃうなんて」
「ああ、それもこいつのお蔭なんだけどね」
ダーインスレイフを見せてそういう。
「いえ、そういうわけではなくて。それにとても早くて、最後なんか動きが見えませんでした」
テレポートは見えないだろうな、自分でさえ視界が一瞬ぼやけるんだ。
それとやっぱりヘイストはパーティメンバーには効果がないのかな。
唐突にリリシーにヘイストを念じてみる。
「わ、なんだか体がとても軽いです」
「まあこういうことだ。あまり深くは聞かないでくれ」
「は、はい。分かりました」
単体のバフスキルってやつ。
それにしても話が分かるいい子じゃないか、詳しく聞かれても答えられないけどね。
スポアキングはしばらくすると結晶化した。通常のモンスターよりも遅いらしい。
地面に何か残る。
スポアキングのカード
中金貨
中金貨、しかも三枚。
カード、なんだろうこれ。
カードと中金貨を手に取り、リリシーに聞いてみる。
「これはなんだ?」
「これはスポアキングのカードです。ボスモンスターを倒すと必ずドロップするらしいです。都のギルド本部に持っていけば金貨と交換してくれます。各都ではダンジョン討伐数を競ってるとかなんとか、それで必要らしいです」
なるほど、カード数は討伐数になるということか。
でもそれって他の都で倒してその都に貢献することが可能なんじゃ。
でも討伐したらダンジョンどうなるんだろう。そのまま残るのかな、生成されてるってことは消えるのかな。
あまり行政には深く突っ込まないほうがいいか。
「それじゃあ一旦ここから出るか」
「はい、ここなら入り口も近いです。徒歩でよさそうですね」
「徒歩以外もあるのか?」
「ありますよ、例えばこれとか」
なにやらアイテムを出してきた。サーチで見る。
エスケープゴートの鈴
「鈴か」
「はい、これを使えばすぐに外に出れます」
入り口が近いから使わないってことはやっぱり高いのか。
リリシーとダンジョンの入り口まで歩きつつ会話を続ける。
「やっぱり高いのかそれ」
「それはもう。エスケープゴートは奥深くのダンジョンにしかいません。それにあまりドロップしないと言われています。私も見たことはありませんが鈴は商品なので持ち歩いています。職業、もしくはサブ職業が旅人の人はエスケープが使えます。旅人以外の人は常に持ち歩いていると聞きます。ただサブ職業は転生書では見られないので、自ら申し出る必要があります」
なるほどね。
それにしてもサブ職業か、職業変更の第二職業とは別なのだろうか。
転生書でも見れないらしいし、でもサーチなら見れそうだな。
それにしても、エスケープね。限定スキルにないかな。
タレントポイント再設定を念じるとポイントが三つ余っている。
これは、結構上がったな。
限定スキルを調べる。
エスケープ、エスケープ、それらしいものは……あった。
ワープ
ワープってつまり、ワープなんだよな。
テレポートよりも距離が長いってことだろうか。
ちょっと振ってみるか。残り二ポイント余っているけど、あとででいいか。
よし、早速使ってみよう。
ダンジョンの入り口に、ワープっと。
視界が一瞬にして変わる。入った洞窟の入り口にいた。
やはり構造はテレポートと一緒か。
あ、リリシーさんを忘れてしまった。
「あれ、ここは」
と、思ったら真横にいた。一緒に飛べたのか。
リリシーさんがこっちを見てくる。
「あの、なにをしたんでしょうか」
なにをしたって、ワープだよ。
とは言えないよな。
限定スキルはこの世界に存在しなさそうだし。
「あー、その、エスケープ? みたいなの?」
「でもエスケープは鈴と同じで転移門が出るはずですが」
転移門?
あちゃー、一度鈴の効果を見たほうがよかったか。
どう説明しよう。
「いやまあね、似たようなスキルがあるんだよ。うん。でもこのことは黙っててくれるかな。悪用されかねないからね」
「わ、分かりました。……でも村人のはずじゃ」
誰に悪用されるというのか。それになにか呟いてる。
リリシーは不満そうな顔をする。
ごめんて。
しかし、今は問答無用でスキルを使いまくってるけど、この世界で生きるならこのままだとだめだろうな。
本当に利用されて、捨てられる可能性もあるだろう。自重するか。
俺はソロ専門だ、とか言ってパーティに入らなければいいのかな。
それにパーティを組まなくてもLV10のモンスターなら楽々倒せるだろう。スポアキングがLV12だったし。
それはそうと、ちょっとした疑問を聞いてみる。
「まあまあ、それは措いといてさ。それよりもエスケープ以外の移動手段はないのか。深いダンジョンを入り口から奥に進むとすると結構な時間がかかりそうだけど」
「それならダンジョンムーブがあります」
「ダンジョンムーブ?」
「そうです。ダンジョンは階層ごとに分かれているのはご存知で?」
首を横に振る。
「このダンジョンは出来たばかりでしたので、一層目にボスモンスターがいましたが、本来深いところでは一層目のどこかに二層目に降りる階段が生成されています」
階段か、まあテレポートで瞬時に移動できる世界だしな。不思議とは思うがこっちじゃそれが常識なんだろう。
受け入れるのだ、この世界を。
下らないことを思っていると、リリシーが再び喋りだす。
「二層目の入り口についたら、その場所は記憶されます。ダンジョンに入り、ダンジョンムーブを念じれば移動できるらしいです。エスケープとの違いは、ダンジョンの中で使うことは出来ません。階層の入り口から入り口への移動しかできないようです」
ある意味二セット必要というわけか。面倒だな。
でもこのワープならどこにでもいけそうな気がする。
というかワープがあればもう移動しなくてもよくないか。
「ってことは三層に行ってない場合は三層に移動できないのか」
「そうですね。一度記憶しないと移動できないと言われています」
「なるほどな。説明ありがとう」
「いえ、私が知ってることなら」
話を切り上げ、ドロップアイテムの整理をする。
ウォルフの毛皮は二枚ある。
小金貨四十枚を貰い、毛皮を渡す。
ボスがドロップした中金貨は自分の袋に入っている。カードの売却が終われば半分は渡すつもりだ。
情報量的提供の感謝の意味もある。
「レーネの村からですと一日ほどでウンディーに着きます。それまでゆっくりしていって下さい」
「それじゃあよろしく頼むよ」
荷馬車の、リリシーの隣に陣取る。
うん、なかなか悪くない。
このままリリシーさんと商人をして暮らしてもいいかもしれない。向こうがどう思うか分からないけど。
しばらく呆然と周りの風景を見る。
どれぐらいたったんだろう。一日って結構長いんだな。仕事とかゲームしているときはすぐだったのにな。
どうしようか、リリシーさんでも見てるか、でもなんか下心あるみたいだしやめとこう。
なんとなく職業変更を念じる。
第一職業:村人LV7 第二職業:なし
旅人LV1 剣士LV1 戦士LV1 討伐者LV1
お、LV7になってたりいろいろ増えてるじゃないか。
それで旅人はこれね。
旅人
効果:VIT小アップ
スキル:エスケープ ダンジョンムーブ フィールドムーブ
これがエスケープとダンジョンムーブか、フィールドムーブって?
「リリシーさん、少しいいかな。フィールドムーブって知ってる?」
「フィールドムーブは都と村を移動する転移門を出すスキルですね。そういえばコウ様は都に行かれたことは?」
「ないな。今回が初めてだ。あとその様付けはやめてくれ、あまり慣れないんだ」
距離取られてるみたいだし。
別に深い意味はない。仲良くなりたいとかそんな邪な……。
「分かりました。初めてでしたらギルド本部まで案内しますね。そこでカードを売りましょう。それに転職もできますから、コウさんはお強いのですぐに剣士になれると思いますよ」
「そうか、案内は助かるな。ありがとう。しかし転職か、それはいつでもできるのか?」
「そうですね。いつでもできます。ただ冒険者になるには村人で、ある程度の数モンスターを倒さないとなれない職業です」
そうなのか、これまでなかったのは村人のLVが足りなかったからだろうな。
「そういえば君の妹さんにあったとき、冒険者と言われたが冒険者も職業なのか?」
「俗にいう冒険者というのは旅人、剣士、戦士、商人たちのことを言います。村人である程度モンスターを討伐したものが慣れる職業です」
「そうだったのか、名もない村の出だからな。いろいろと説明は助かるよ」
「いえいえ」
笑顔で質問に答えてくれる。ああ、やっぱり可愛い。
じゃああの四つは冒険者の職業ってことか、それじゃあ討伐者はなんだろう。聞いても大丈夫だろうか。
「少しお尋ねしたいのですが、いいでしょうか」
先手を打たれた。
「ん、なんだ」
「その、コウさんの故郷ってどんな場所だったんですか?」
どうする、どうするよ俺。
黙り込む。聞かなかったことにする。話したくないという。
「いい場所だった。生活するのに何一つ不自由がなかったな。ただつまらなかったな、村の外にも行けずに家の中に引きこもっていた」
あー、何言ってるんだろう。どうしよう、どうやってこの話終わらせよう。
しかも引きこもってねえよ、前の世界だとしっかり働いていたわ。
「そしたらな、村がモンスターに襲われたんだ。家族はこの剣と盾を渡して逃げろと言ってきた。自分は無我夢中で村の外に走った。あとから来る村の者はいなかった。自分だけが生き残ったんだ。そしてしばらくはモンスターを倒して生活してきた」
最後かなり端折ったが、我ながらいい妄想っぷりだ。
それに名もない村って設定だ。特定されることはない。
どうやって食ってきたかと質問されれば困る。まだ食べ物の取得方法は分かってないからな。
「そ、そうだったのですか。急にすみませんこんなこと。とても大変だったでしょう」
いや、本当に来たのは昨日だ。そんな悲しい顔やめてくれ。
「そのお蔭で旅に出られてる。家族のことは残念だが、今はとても楽しい。多少知識不足だけどね。それにいい村にも出会えたからな」
そう言いリリシーの頭を撫でる。
嫌がる様子はなく、若干笑みを浮かべている。
それにリリシーさんにも会えた。
とは言わない。というか言えない。いくらなんでも臭すぎるからな。
え、なに、まじで恋でもしてるのか。なんなんだ、恋をする十九歳ってか、やかましい。
女に免疫なさすぎだろ。
気持ちを抑えつつ次の話題を振る。
「そうだった、リリシーさんは討伐者について知っているか」
「討伐者ですか。あ、そういえばコウさんはスポアキングを倒しましたからね」
なんのことだ。話がいまいち理解できない。
「討伐者はダンジョンを討伐した、ボスモンスターに止めを刺した人がなれると言われています。ダンジョンを討伐できたのは私は今回で二度目です。一度目は村長が止めを刺しました。それにしてもよくご存知ですね」
「小耳に挟んだんだが、質問できる人がいなくてな。それも冒険者に入るのか?」
「はい、村人と盗賊以外は冒険者の部類に入ります。職業によっては特殊なケースも多いです。例えば剣士の上位職の騎士は、都の王家に仕えることができる、とか。なので冒険者には剣士が多いですね」
上位職に、王家ね。
「それに討伐者自体あまりいません。ダンジョンの討伐のとき、誰がボスモンスターに止めを刺すかで冒険者同士揉めることがあるようです。止めを刺したものはその後酒場では誰からも誘われなくなるといわれます。パーティメンバーからの陰湿な嫌がらせらしいです。その仕返しにパーティメンバーを殺め、盗賊になるなんて話も多いみたいですよ。ただこれは浅いダンジョンの話です。深いダンジョンは誰が止めを刺しても文句は言いません。それに転職するとまた鍛えなおしだと聞きますから」
なんか殺伐してるのな。嫉妬深いのはどの世界も一緒か。
でも傭兵とかいたんじゃなかったっけ。そいつ等雇って止めを調整とかすれば。
「でもそれなら傭兵とか雇えばいいんじゃないのか。それで止めを調整はできないのか?」
「傭兵と言われていますが、傭兵が冒険者ですね。ギルド本部の酒場で傭兵登録をして一緒に冒険できるらしいですよ。私は転職後すぐに商人ギルドに行きましたので酒場での登録はしてないので分かりませんが。それに相手はボスモンスターです。止めがいつ刺せるかなんて分かりません。悠長にしてたら殺されることだってありますし」
そうだったな。自分のスキルでもHP見えないもんな。
なんか複雑だな。
でもそれなら討伐者はあまり好かれない職なのかな。
「それなら討伐者にはならないほうがいいのかな」
「それは大丈夫です。私たちが討伐したのは浅いダンジョンですが、パーティメンバーは私しかいません。それに酒場に登録しなければなんの問題もありません」
「そ、そうか。ならよかった」
なにがよかったのか分からないが、とにかくよかったのだろう。
「それにしてもいろいろなこと知っているんだな、それとも自分が知らなさすぎなのだろうか」
「そんなことは……少しありますけど」
あるのか、だよな。
「でも私は商人の端くれです。噂話から都の情報まで至れり尽くせりです。よく知ってるのは当然のことです」
リリシーが胸を張って自慢する。
つまり商人は情報通であると。
「そうか、じゃあまたどこかで会えたらそのときにでも分からないことを聞くよ」
「え、は、はい。そのときには、なにか買ってくださいね」
「今はまだだけどね。都も案内して貰いたいし」
「任せてください」
いい雰囲気じゃないだろうか。
リリシーさんも出会ったときより少し言葉も柔らかくなっている感じがする。
無知過ぎる自分に対しての同情かもしれないけど。それでもいいんだ。
でも都に着いたら別れなきゃいけないよな。
それにまた、なんて言ったけどいつ会えるかも分からないだろうし。
縁があればまた会えるだろう。次あったときこそが運命なんだ。
あ、それよりお腹すいたな。
「リリシーさん、なんか食べ物ある?」
「手軽に食べられるものならパンがありますよ、食べますか?」
「食べるよ」
リリシーからパンを貰い頬張る。
もう夕方ぐらいだろうか、夕日が眩しい。
「暗くなってきましたので今日はここで宿を取りましょう。明日の昼ごろには着くと思います」
「そうか、やど……あ、いやなんでもない、分かった」
危ない、多分これまで野宿してきたと思われているだろうし、どうすればいいんだろう。
荷馬車を止め、調理器具を出し始める。
「野宿のときはいつもそうしてるのか?」
「いつもは簡単なもので済ませていますが、今日はコウさんもいますので、気合入れますよ」
「俺も手伝おう。なにかすることはあるか」
「でしたら水汲みをお願いします。そこに川がありますから」
「よし分かった。任せろ」
なんか今日はとても楽しかったな。やっぱり冒険してるからなのか。
いいや違うな、女の子といるからだろう。こんなことは絶対ありえなかったからな。
なるほど、これが充実しているやつの気持ちなのか。くそ、羨ましいな。
水を汲み、リリシーのところに戻る。
下準備中らしい。
「スープでも作ろうか?」
「お願いします」
しばらく支度し、出来上がる。
パンにスープ、そして肉だ。何の肉だろう。
まあいいか、見た目は寂しいが味はいい。
ここに来てから久しぶりにまともな食事だ。あの村パンと野菜だけだったからな。食わせてもらっただけでもありがたいけども。
肉も塩をまぶして焼いただけだがこれもなかなかうまい。パンに挟むと肉汁がパンに染みてとてもグッドだ。
この世界にも卵はあったから卵スープを作ったがまずまずの出来た。
リリシーにも好評だった。
食べ終わり調理器具の片づけを済ませる。
あとは寝て、明日には都か。
さて問題の寝る場所ですが、テントはない。
荷馬車には寝るスペースはあるが二人寝るには小さいだろう。
さて、ここで紳士の俺は外で寝ることにする。
いつも一人で寝泊りしてるだろうからいつも通りにしてあげるのが一番だ。
それにこれまでの設定を崩すわけには行かない。
俺はいつも外で寝泊りしていた。だから外で大丈夫だ、と。
くそう。我ながら悲しい設定を作ってしまった。
矛盾点をどうなくすか考えたらああなったんだ。仕方がない、仕方がないんだ。