表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/38

04.ダンジョン

 朝だ、森だ、村長の家だ。


 目が覚めた。あの世界かと思ったがやっぱり異世界のままか。 


「目が覚めましたか、おはようございます」

「ああ、おはよう」

「もう少ししますと、行商人がやって参るかと思います。それとこれを、先日のお召し物でございます。洗わせておきました」


 渡された甚平は先日の返り血が付いたものではなく、綺麗に汚れが落とされ、折りたたまれていた。


「血はなかなか落とせないと聞いたがこんなに

綺麗になるものなんだな。染み一つない」

「普通に洗うだけではだめですが、お湯に浸し少し待つと落ちやすくなるといわれておりました。わたくしどもも出血の効果を持つ武器を見たのは初めてでしたので、少し不安ではありましたが綺麗に落とせました」

「以外と簡単に落ちるんだな」


 さすがに汚れた格好で街に向かうのもな。

 それにしてもこの村には世話になりっぱなしだ、とてもいい村と村長に出会えた。

 最初の厄介者を見る目は忘れられないけど。


 そういえばここに来る前にスポアも倒したけど出血の効果は見れなかった。モンスターごとに特性でもあるんだろうか。

 モンスターの情報を書いた、モンスターブックとか作れば売れるだろうか。

 冒険者には売れそうだし、もうありそうな気もする。

 いずれにしても、今は行商人を待って、水の都のウンディーだっけ、そこに向かってみよう。


 村長から朝食のパンを渡され、行商人の来る時間を質問する。


「そういえば、行商人はいつごろ来るんだ?」

「そうですね。あと三時間前後といったところでしょう」


 まだ時間もありそうだし少し村の外に出てモンスターでも狩るか、また甚平汚すのも嫌だけどな。

 そういえば村人が鉄の剣もっていたっけ、借りてみるか。


「そうか、少し時間があるなら外で狩りでもしてくる。この剣だと服が汚れるかもしれん、鉄の剣を借りてもいいか?」

「狩り、ですか。鉄の剣でしたら問題ございませんが、この近辺はウォルフとスポアしかおりませんがよろしいのでしょうか」

「ああ、構わん、それにウォルフを見つけたら今度は遠吠えされないように気をつけるよ。村の周りにいたら危ないみたいだしな」

「左様ですか、お気を付け下さい」


 朝食のパンを食べ終わり、外に出る準備をする。といっても剣と盾を持つだけだ。

 あれ、剣二つも持てないぞ、どうしよう。

 タレントポイントの設定のときには武器追加に固定は書いてなかった。でも固定されている。


 これを置いていくわけにもいかないし、困ったな。

 

「おっと、忘れておりました。先ほどから剣をずっと持っているようでしたので、村の者に皮のベルトを作らせました。雑に出来ていますが剣を掛けることはできるでしょう。どうかお使いください」

「なにからなにまで悪いな、他の村では相手にもされなかったからな、とても助かる」


 こういっとけばいろいろ誤魔化せるだろう。一年はかなり長い期間だ、ここまでの常識知らずはさすがにな。

 どうやって一年間食ってきたんだと言われたら答えれない。言われなかったからいいだろう。


 しかしベルトは助かった。

 なんて物分りのいい村長なんだ。もしかして心でも読めるのか。


 鉄の剣とダーインスレイフを皮のベルトに掛け、自分にサーチをする。


古鷹香 年齢19

職業:村人LV3

ダーインスレイフ 鉄の剣 甚平 イージスの盾 皮のベルト スリッパ  髪留め


 武器は複数持てるようだ。ベルトに掛けてるだけでも装備なるのか。

 ということはSTRは上がったままなのか?


 アビリティポイント再設定を念じる。


STR 2

DEF 2+100

INT 22

VIT 6


 まあそうだよな、都合よく行くわけじゃない。

 試しにダーインスレイフを手に持ったらSTRに補正が付いた。つまり掛けるだけだと補正は付かず、手に取る、身着けると反映されるということか。なにやら複雑というか判定が分からないというか。

 もし盾を弾かれて手元から離れたらDEFが減るわけか。そう考えると、この世界での戦闘は一つ一つが重要になるだろうな。


 アビリティポイントのオールリセットをする。

 多分スキルは使わないだろうからINTを少し下げる。

 盾を持っている限り、剣を二つ持つことはできないだろう。かといって盾を持たないわけにはいかない。

 そうなると。


STR 21

DEF 1+100

INT 5

VIT 5


 これでよし。

 今回はダーインスレイフを使わないからSTRをあげる。

 念のためINTも足しておいた。スキル1回分ぐらいにはなるだろう。


 そしていつの間にか、というかレベルが上がってから再設定してなかったからな。

 アビリティポイントが増えていた。

 アビリティポイントの増え方はレベルが上がればオール一ずつ増えるんだろう。

 これまでのを見れば分かるか。


 つまりLV1で四ポイント増える。再設定は便利で助かる。


 アビリティポイントの初期値は、職業がLV1のときにオール六だった。そしてレベルが一つ上がるごとに一つずつ増えていく。つまりこのSTRの二十一はLV15相当になると考えられる。

 STRが百もあがるって、そりゃあチートだよな。

 百ってことはつまりLV100を超えるわけだし。


 三時間は暇になった、村の周りを探索する、村に帰れるに道沿いを進んでいく。

 スポアがいた、サーチをする。


スポア LV1


 なんだLV1か。いや、ちょうどいいな、鉄の剣でどこまで倒せるかやってみよう。ダーインスレイフのままだとこの世界の基準が分からないしな。


 こいつは攻撃するまで反応がない、先制攻撃だ。

 鉄の剣を振り下ろす。斬った感触はあったが実際に斬れてはいない。

 スポアはこちらに気が付き体当たりをしてくる、それを盾で防ぐ。


 今度は突く、スポアは怯んだのか動きが少し鈍くなった。

 さらにもう一撃加える。

 しかし倒れる気配はない。


 LV1の癖に粘りやがる。

 体当たりを盾で防ぎ、斬り込む。防いで斬るを繰り返す。

 だんだんと動きが読めてきた。

 今度はかわしてみる。うまくいった。こいつはヘイストなしでいけるな。

 ウォルフは早いからさすがに無理だけどね。


 数分粘ってようやく倒せた。

 結晶化したスポアから、小さい金貨が四枚残る。さっそくサーチだ。


小金貨


 金貨か、この世界の通貨だろうか。前に倒したのは二体だけだったし、今回は運よくドロップしたのだろう。

 もしこれがこの世界の通貨だとしたら金はドロップする、ということだ。しかしドロップの運がなかったのか、合計で三匹倒して小金貨四枚だ。


 通常ならばLV15の村人が鉄の剣で戦って数分でLV1のスポアを狩れる。狩りに三匹倒せば小金貨が四枚手に入ると考えても重労働だ。ゲームみたいにリポップするわけじゃない、自分で歩いて探さないといけないわけだし。

 それにウォルフを七匹倒したときに村長は数時間覚悟と言っていた。やはり狩りで稼ぐのは合理的じゃないか。


 どこかにいい稼ぎでもないかねえ。街に出れば見つけられるか、それに都まで歩いて二日だったはずだ。

 乗せてもらうともいっていたし、馬車とかで来るんだろう。

 いくら魔法の鞄があるといっても商品を入れるとしたら限度があると考えていい。

 ならば荷馬車で来るだろう。

 移動中に稼ぎ方でも教えてもらうか、田舎から出てきたとでも言えば問題ない。

 最初に村にきたときよりも不自然ではないからな。


 さすがに鉄の剣で戦うのは効率が悪い、スポアなら出血もなかったからダーインスレイフで倒していこう。ウォルフが出たら鉄の剣で戦闘時間を計ってもいい。


 少し森の中に入る。

 できるだけ道が見える範囲で行動をする。迷うと大変だしな。

 

 結構奥まで来てしまったが一直線で歩いた、反対に帰れば戻れる。

 それにスポアも三体は狩れた、ドロップはなしだったけど。


 それで、この洞窟はなんだろうか。

 中は暗い過ぎて探索すらできないだろう。

 辺りをサーチしても情報は入ってこない。

 ん、洞窟の奥でなにか反応があった。


スポアキング LV12


 スポアキング、しかもLV12ときた。

 ここは村からは大分離れているし、それに洞窟から出てくる気配もない。

 スポアキング、スポアのキング、そのままの意味だろう。

 キノコが洞窟の中でなにしてるんだか。

 もしかしたら村長が何か知ってるかもしれない、戻ったら聞いてみるか。

 ここには洞窟以外なにもないし、一旦戻ろう。戻る頃には行商人も来る頃合だ。


 村に帰る途中でスポアを二体倒す。

 運が良かったのか小金貨をドロップした。今度は六枚残った。

 ドロップ量はばらばらなのか、金貨は固定ではないと考えるともっと上に行けば多く落としそうだな。

 それが効率的かというと話は別だろう。

 今回は二時間ちょっとで小金貨十枚も取れた。

 これが多いのか少ないのかは、分からない。


 村に入るとちょうど荷馬車が見える。

 自分と年が近そうな女性がいた。あれは商人だろうか。なにやら話し合っている。


「話しているところ悪いな、村長、鉄の剣ありがとう。多分汚れはないと思うが」

「いえいえ、問題ございません。それよりも、こちらが商人のリリシーです。わたくしの家に来る途中でお会いしたと思います。リリーの姉になります」


 近くで見ると美人、というよりも可愛らしい女性だった。確かに妹さんのリリーに面影がある。

 この商人はこの村の出なのだろうか。


「そうだったのか、ということはこの村の出なのか」

「はい、そうです。先ほど、村長からはコウ様のお話をお伺いしたところです。魔法の鞄も代金は頂いております。少しお待ちください」


 リリシーが荷馬車から魔法の鞄を取りにいく。


「こちらになります」


 渡された魔法の鞄をサーチする。


魔法の鞄LV1


 LV1?

 なんのことだろう。


「すまないな、因みにいくらぐらいするんだ?」

「都では中金貨五枚から販売されております。私たち行商人も村を行き来しているのでその先で売ったりしています。こちらは収納が一番少ないものです、ドロップアイテムは十個ほどしか入りません」


 説明してくれるのは村長と話したからだろうか。なにやら温かい目で見られている。

 ありがたいんですよ。でもね、うん、なんともいえない気持ちになるんだ。


「そうか、今の自分には払えそうにないな、村長、ありがとう」

「いえいえ、ところでウォルフの毛皮はどうしますか、お売りになるでしょうか?」

「今は必要なさそうだしな、いくらぐらいで売れるんだ?」

「ウォルフの毛皮でしたら一枚小金貨二十枚で買い取らせて頂きます」


 リリシーがそう答える。

 二十枚になるのか。スポアのドロップした金貨の数よりも、毛皮のがドロップ率はよかった。

 ウォルフを狩ったほうがよかったのかな、でも周りにはスポアしかいなかったからな。

 敢えて遠吠えさせる、とかどうだろう。


 それに小金貨に中金貨ときた、中金貨一枚は小金貨何枚なんだろうか。この世界のどこまでが常識か分からないから聞くに聞けないな。


「それじゃあ全部頼むよ。毛皮は確か、村長の家に置きっぱなしだったな」

「それでしたら一度わたくしが取りに行きましょう。このままお待ちください」

「すまないな」


 村長が家に戻る。


「ウォルフの毛皮六枚ですと、中金貨一枚と、小金貨二十枚になりますね」


 リリシーが金貨を渡してくる。先払いでいいのか。

 まあ村の中だしな、そのままトンズラもできないだろう。もちろんする気もない。


「お待たせしました。リリシー、これだ」

「はい、ありがとうございます」


 村長がリリシーにウォルフの毛皮を渡すとそのまま荷馬車に持っていった。

 そういえばスポアキングのこと聞いてなかったな。今のうちに聞いておくか。


「そういえば村長、先ほど村を出ていたときにスポアよりもでかいモンスターを見たんだが、あれはなんだ?」

「はて、そんなものこの付近におりましたかな」

「それってスポアキングじゃないですか? 数年前に村長も一度戦ったじゃないですか。でももうリーネの村の付近にはダンジョンはなかったはずですが、おかしいですね。またなのでしょうか」

「ダンジョン?」


 それにまたって。


「はい、ダンジョンは地下深くに繋がっていると言われています。ダンジョンの最下層にはその場所にあったボスモンスターがいると言われています。前に一度、この村の付近にダンジョンが生成されました。そこのボスモンスターもスポアキングでした」


 なるほど、つまりボスモンスターが洞窟にいて、しかもサーチできる距離にいたと。


「私も都のダンジョンに行ったことがあります。都では敢えてダンジョンを討伐せず、冒険者たちの練度上げの場所として使われ、管理されています。私はあまり深いところまでは行ったことありませんが、地下深くになってくるとモンスターも強くなってきます。それに地上と違い、薄暗く視界も悪いのでとても戦いにくいです」


 なるほど、説明ありがとう。あ、でもその温かい目やめてね。

 それにしてもダンジョンに、地下ね。でもあれは確か洞窟だったような。


「そうか、しかし見たのが洞窟に入られたところだったからな。奥が暗くて追えなかった」

「ということはまだ生成されて日が浅いのでしょう。それにダンジョンが生成されたということはいつも以上にモンスターも徘徊します。早めに討伐するのがよろしいかと」


 ドロップアイテムにも期待できそうだし、初ボス戦か、いいね。わくわくする。ダーインスレイフどこまでやれるかな。


「そういうことでしたらコウ様、スポアキングをどうかにお願いします。ついでにこのリリシーもお連れ下さい。男か顔負けの剣儀が見られましょう。決して邪魔にはなりません」


 その可愛い顔で剣振るんすか、さすがですねリリシーさん。


「そ、そんなことは、それに私は商人に成り立てです。お役に立つかどうか」

「問題ないだろう。それで、村長は来ないのか?」

「コウ様が居られれば大丈夫でしょう。そう信じております」


 嫌な信じられだ。まあ別にいいか。初ボス戦だ。


「分かった、では準備が整い次第洞窟まで案内しよう。商人殿の仕事は済んだのか?」

「はい、おかげさまで」


 いい笑顔で答えてくれた。

 まさか商人が女性で、しかもこんな可愛い子とはな。

 それにこの村の出だ。村長から俺の話を聞いてるだろうから情報が聞き出せないじゃないか。

 どこまで話されたのか分からないから迂闊に質問もできない。


 とりあえずスポアキングを見つけた洞窟まで案内をする。


「ここだな、中は暗いがどうする」

「残念なことにランタンの仕入れがまだでした、それに出来たばかりだということなので松明でどうにかなると思います。これをどうぞ」


 木を渡される。サーチする。


プラントの枝


 これで枝かよ、そんでもってプラントね。別のところのモンスターだろう。


「お、おう。ところで火はどうやってつけるんだ」

「それはこれを使えば」


 サーチすると火種と出た。魔法の鞄から出したからあれもドロップアイテムなのだろう。

 リリシーは火種を使い、プラントの枝の先に火をつける。


「出来ました」

「準備させて悪いな」

「いえいえ、故郷の近くなのでどの道討伐することになりますから」


 これ消えたりしないのかな。聞くの聞けないこの状況が嫌になる。別に隠しているわけじゃないんだが、別の世界から来た、なんていったらどんな目で見られるのやら。


「念のためパーティを組んでおきましょう」


 そうリリシーが言い。転生書が胸元に出る。

 転生書提示。

 よし、出てきた。

 えっと、どうするんだろう。


 パーティ編成と念じる。

 お、できたか。


 頭の中で組まれた感じがする。

 相手の情報が分かった。

 職業は商人と分かった。


 いや、サーチすれば分かることだ。

 それに転生書が出てるんだから見ればいい。


 そういえばリリシーにサーチをしていなかったな。

 リリシーにサーチを念じる。


リリシー 年齢18

職業:商人LV4

カットラス ダガー 皮の服 バックラー 皮の篭手 皮のベルト 皮の靴


 ほー、全身皮装備か。

 なんかこう見ると自分装備って武器と盾以外貧弱だな。


「できたか?」

「はい、ありがとうございます。それでは進みましょう」

「おう」


 といっても、すぐそこなんだけどな。

 あれ、サーチで見えなくなってる。なに、こんなに早いのか。

 とうとう入り口が見えなくなり、完全に外の明かりはなくなり、松明の火だけとなった。

 それでも明るい、火ってこんなに明るかったっけ。いつも電気しか見てないからだろうか。


「いないですねー」

「そうだな」


 サーチを常に念じながら進む。たまにリリシーの情報がちらちらと頭に入ってくる。別に興味があるわけじゃないんだ、いや、別に気になったりなんか。


ウォルフ 3LV


 ウォルフか。


「ウォルフがいる。少し待て」

「え、でもまだ真っ暗で」


 ウォルフが遠吠えをし、洞窟中に響き渡る。


「ほ、本当にいました。でもどうやって」

「そんなことを言っている場合じゃない。遠吠えをした。来るぞ」


 松明を持ちながら戦うのは面倒だ。地面にでも置いておこう。

 ダーインスレイフを抜き、ウォルフの近くに歩み寄る。

 斬り込み一匹を倒す。毛皮を落とした。

 さらに奥から数匹こっちに来る。

 LV2、LV3、LV3、三匹だ。

 松明があるところまで下がり待つ。


 ちょうどウォルフたちが視界に入ったところでヘイストを使う。

 走りこみ、返り血を浴びないように立ち回りながら斬る、斬る、斬る。

 一撃で倒せるって気持ちがいい。それにヘイストで体も軽い。


 リリシーを見るとぽかんとしている。

 まあ当然か、どうだ、少しは見直したか。


「す、すごいです。一体何が起こったのか、それにその武器、出血効果付きなんですか」

「そうみたいだな、昔住んでいた村の形見みたいなものだ」

「そうなんですか、それにしてもすごいです。あんな一撃で、それに動きも早かったです」


 とっさに嘘をついてしまったが、どうせ分かるまい。

 それにここまで褒められるのも悪くはないな。タレントポイント様様だ。


 リリシーはウォルフが落とした毛皮を拾って渡してくる。


「あとで買い取らせてくださいね」

「ああ、頼む」


 松明の明かりから笑みが映る。

 ああ、可愛い。

 なんだろうか、このもやもやは。一目惚れだろうか。

 いや、ただの気の迷いだ。あの世界じゃ出会いなんてなかったし、女性と話すこともなかったからだろう。そうなんだろう。


 少し進むと部屋の入り口のようなものが見える。


「ここです。ここがボスの部屋です。一度見たことがあります」

「そういえば村長は戦ったことがあったって行ってたな。リリシーさんも戦ったのか?」

「私は見ていただけです。村の人たち総出で挑みました。一人は死にましたが、なんとか討伐ができて、今は平和になっています」


 リリシーは少し暗い表情をする。

 重たい話を聞いた、というか死ぬのか。

 お、俺は大丈夫だろう。なんたってこの剣と盾がある。


「なんかすまないな、嫌なことを思い出させて」

「いえ、討伐できたおかげで村の生活もよりよくなりましたから」

「そうか、ならよかった」


 そういえばあの狩りから設定変えてなかったな、今のうちに設定しておこう。

 アビリティポイント再設定を念じる。オールリセットから設定しなおす。


STR 1+100

DEF 1+100

INT 10

VIT 24


 設定完了。

 ポイントが四増えていた。先ほどの戦闘で多分村人がLV4になったんだろう。

 ついでにタレントポイント再設定もしておこう。

 一ポイント余っている。

 装備類追加は固定されるから今はまだいらない。付け替え可能のスキルのがいいだろう。

 今回はボス戦ということでヒールに振ることにする。

 これで現在の限定スキルはテレポート、ヘイスト、サーチ、ヒール。

 もうこれだけで負ける気がしない。

 リリシーさんを守る意味でもヒールは必要だろうしな。


「それじゃあ行こうか」

「はい」


 洞窟の、ダンジョンの最深部へ入る。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ