#その96 アリス管制官、了解・・・なわけねーだろ
#その96
「ルミアへ、シンクロ開始してくれ。ノバ、それに追従して着陸地点ヤーポン宇宙港にセットしてくれ」
「ルミア了解、ヤーポン宇宙港にセットします」
「ノバOKー、ナビ開始するよ」
操船室でどたばたしている間にヤーポン側から通信が入る。
「宇宙船ルミア、聞こえますか、こちらヤーポン宇宙港」
若い女性の声が操船室に聞こえる。
「ヤーポン宇宙港了解、こちら宇宙船ルミナ、船長ハルトだ」
「ハルト船長、初めまして。こちらヤーポン宇宙港管制官アリスです」
「アリス管制官了解、そちらの宇宙港に着陸を希望する」
「ハルト船長、アリスです。着陸許可します、ビーコンに従って航行してください」
「アリス管制官、了解。ビーコンにシンクロしてそちらに向かいます」
「ルミナへ、ビーコンに従って高度を徐々に下げてくれ。ノバ、ヤーポンまでのナビゲート頼む」
「ルミナ、了解」
「ノバより船長、このまま進むとヤーポンの手前で着陸だよ、再度確認して」
「ノバ了解、アリス管制官、この航路で本当にいいのか」
「アリスよりハルト船長、宇宙船ルミナには禁止されている宙賊との違法戦闘の疑いがあります。 まずは武装解除へ恭順、検査員を搭乗させての船内点検に応じないと着陸許可は出せません」
アリスの声はさっきと違い、どこか官僚的で冷たく感じる。
「アリス管制官、了解・・・なわけねーだろ」
ヤーポン宇宙港のアリス管制官の無理無体な通信により宇宙船ルミナの船内はにわかに緊張が走る。
「総員に次ぐ、本船はこれより戦闘態勢とする。それぞれ持ち場にて臨機応変な対応を期待する」
「ノバより、それって適当のぶっ放してもいいってこと?」
「ノバへ、そういうことじゃないぞ、この星と戦争したいわけじゃないからな」
「ノバ、了解・・・?」
「ルミア、ノバ、エンジン両絃全速全開、上空へ退避する」
エンジンを全開にして、上昇を始めた宇宙船ルミナが見えるのか、アリスから忠告が入る。
「アリスよりハルト船長へ、惑星であるここの重力は強力です、大気圏を単独で脱出するのは容易なことではありませんよ?」
「ハルトよりアリス管制官、そんなことわかってらあ、です」
ハルトも口でアリスに負けるわけにはいかないので、応酬する。




