#その94 、セキュリティレベルは高くないよ、アクセス可能!
#その94
「リリアへ、聞いたか?」
「リリアから船長、聞いたよ。リリアをノバ姉のユニットに接続するね」
リリアはそういうと、右手を前方に差し出して、ノバの肩に載せる。
「ノバ、リリアの演算ユニットを接続するね」
「リリア、ありがとう」
「これで少しは演算が楽になるよ」
リリアにそう言われると、ノバは喜んで飛び上がる。
「ほんとだ!わーい!」
そんなノバを横目に、ハルトは我に返り、ようやく現状分析を開始する。
まず現在の高度は地表からおよそ20000であるらしいことがわかる。惑星アルメリアの重力は地球比1.5倍あり、宇宙船ルミナの対地表降下速度もそれ以上に速い。
油断しているとあっという間に地表に激突しそうであるが、GCS重力コントロールシステムのおかげで、その心配はなくなった。
そしてルミナとノバ、リリアは無事なのがなによりだ。
「よし、では次のステップとして、この惑星の地表に着陸しよう」
「ルミナより船長へ、地表まであと15000です」
「よし、ではゆっくり降下してこの惑星に着陸するぞ!」
ハルトはそういうと、ノバは宇宙船ルミナをゆっくりと降下させる。
「リリア、衛星軌道上の宇宙ステーションの監視システムから情報を引き出せるか?」
「リリアから船長へ、はい可能だよ」
「じゃあ頼むよ。まずステーションのセキュリティレベルを確認してくれ」
「リリアより船長、セキュリティレベルは高くないよ、アクセス可能!」
「じゃあリリア、地表の安全レベルも調べて欲しい」
「リリアより船長、了解」
ハルトはゆっくり降下する様子を操船室の窓から眺める。
真っ暗な宇宙空間から、惑星アルメリアの大気の様子がわかってくる。大気は薄い水色で地球の空の景色とよく似ている。
「ノバへお疲れ、現在の高度10000を維持して飛行できるかな?」
「ノバより船長、もちろんできるよ、ノバ、偉い?」
「ああ、ノバは偉いぞ、こんな難しい命令をこなせるようになったんだな。」
「船長、もっとホメテ、ホメテ。」