#その92 だ・か・ら、い・や・です
#その92
「ルミナとノバとリリアは脱出用ポッドにRAIを移動し宇宙船ルミナより離脱せよ。これは絶対命令だ。」
妨害割り込み信号は依然続いている・・・とりあえずルミナとノバ、リリアを宇宙船ルミナから脱出させることを第一の目標として行動する、そう考えたハルトだが、すぐに3人から反論される。
「ルミナより船長、嫌です。」
「ノバより船長、ぜーたいに嫌!」
「リリアよ船長、脱出なんてしないよ」
「あのなあお前たち、このままだと摩擦熱で溶けちゃうんだよ。お前らは、RAIになってとにかく脱出すればいいじゃないのかなあ」
「だ・か・ら、い・や・です」
「ルミナより船長、船外温度500度を超えます、船内温度60度になります」
「あはは、道理で暑いわけだ。」
これまで楽観していたハルトもさすがに状況のまずさに打つ手がなくなっていることを実感する。
「うう、暑いな、もはやこれまでか。こんなところで、人生終わるなんて、ソフィア様に顔向けできないなあ。俺も脱出するか?」
船長席で汗をだらだら流しながら、ハルトはつぶやく。ルミア、ノバ、リリアの3Dビジョンも陽炎のようにゆらめいている。
「ノバ、起きなさい、今こそあなたが覚醒する時ですよ」
どこからともなく聞こえるこの声は・・・・女神ソフィア様だ!
リリアがノバをひじでつつく。
「ノバ、ソフィア様がお呼びだよ」
「ん、んーあ、おはよー」
ノバが眠そうに目を覚ます。
「ノバ、今こそあなたの出番です。」
「え、なになに?」
「いいから早く!」
「う、うんわかった!・・・あれ?ここは?」
「ノバ、あなた寝ぼけてるのね?」
「大丈夫、目え覚めたよ」