#その83 今は、だめだ、ルミナと面談中だ、遠慮してくれ
#その83
リリアはちょっと顔を赤らめながら引っ張られていく。うれしそうにはにかむリリアのケモ耳がぴょこぴょこ揺れて可愛らしい。
「じゃあ俺も少し休むとするかな・・・」
ハルトはリリア救出作戦がなんとか終わった安堵感を感じる。
同時に、どっと疲労が体全体に押し寄せてくるのがわかる。このままだと立ったままでも寝てしまいそうなのだ。ハルトは船長室に戻ってしばし休息することに決める。
操船室のキャプテンシートを降りて部屋を出て、隣の船長室に向かう。ハルトが船長室に戻ってしばらくすると今度はルミナが立ち上がる。
「私もここで一旦抜けますね」
ルミナは他には誰もいない中、一人そうつぶやくと操船室から出る。そしてハルトのいる船長室のドアの前に立ち、ドアを3回ノックする。
「とんとんとん・・・」
「ルミナか、どうぞ、開いてるよ」
ハルトはそう言ってルミナを船長室内に招き入れる。
タスケテ改めリリア・オパリナを宇宙船ルミナに迎え入れて、ノバはリリアの指導担当になった(と自分で思っている)ので、ノバはまず最初にリリアに船内の案内をしている。
「リリア、ここが船長室だよ。ハルト船長は操船室にいなければここにいるからね。入る時はちゃんとノックをしてから入ること・・」
「こんこんこん、船長、ノバだよ。入っていい?」
船長室ではハルトとルミナが懇談中だ。
「今は、だめだ、ルミナと面談中だ、遠慮してくれ」
ハルトはドアを開けることなく返事をする。
「リリア、こんな風に船長に言われたら入っちゃだめなんだよ」
「もし、急用でどうしてもハルト船長に会いたかったらどうすればいい、ノバ姉さん?」
「そおいうときだけは入ってもいいかなあ」
ノバはそういうと、RAI脳内で船内システムにちょこっとアクセスして、船長室のドアロックを解除する。
「ぷしゅー」
軽い音と共に船長室のドアが開く。そこでは机を挟んで向かい合ったハルトとルミナが何やら話をしているところである。ルミナは服の胸元を引っ張って直しながら、立ち上がる。
「ノバ、強制的にロックを外しての入室なんて、よっぽどの急用かしらね」
「リリアがこの船のことを知りたいって言うから、案内してたの」