#その77 船長、こいつ、だめだ、そっちから撃っちゃって!
#その77
「何が、です?」
ルミナがハルトのいたずら心を見透かすように聞く。
「一つ提案がある。じゃあ、ノバ、タスケテはお前に任せるから、説得してなんとか収容してくれよ」
「え、ルミ姉じゃなくてノバがやっていいの?」
ノバは意外そうな顔をする。ここまでのやりとりを考えれば、まあ無理もないか。
「ああ、ちょっと前まで同じようなことをしていたノバなら説得できるかもしれないからな」
「そうね、ノバ、頼むわよ」
ハルトとルミナに言われてノバは俄然やる気になったようだ。
「わかった!じゃあ行ってくる~」
ノバはやる気満々でタスケテの説得のために出発準備をする。
RAIとしての自分の意識を小型ドローンにコピーして宇宙船にいるノバとシンクロすれば準備完了だ。これで小型ドローンは遠隔操作できる脳みそみたいに扱える。
「ノバ、準備できたか」
「はい船長、いつでも出発OKだよ!」
「よし!出発だ」
「ノバ、了解!」
小型ドローンはノバの意識を乗せて宇宙船ルミナの後部ハッチよりタスケテに向けて発進する。
タスケテが搭乗している小型探査機はノバの意識を搭載した小型ドローンを射程内に捉えると、再び攻撃を開始する。しかしそれは威嚇なのかなんなのか、見当違いの場所に着弾する。
その隙をついて、ついにノバがタスケテ接触に成功すると・・・タスケテからノバに反応がある。
「タスケテ・・・助けて・・・」
「私はノバ、あなたを助けに来たよ。聞こえてるなら、うん、って言って。」
ノバがタスケテに呼びかける。
「・・・・」
「私はノバ、聞こえないの?」
「・・・・」
「船長、こいつ、だめだ、そっちから撃っちゃって!」
ハルトはノバの真意を理解し、調子を合わせる。
「船長よりノバ、ルミナ、ライフルの照準こっちに寄越せ」