#その76 それはわかりませんが・・・子供だから、でしょうか
#その76
「船長、タスケテはやはり助けを求めているようです」
「ああ、そうらしいな、でもなぜだ?」
ハルトにはわからない。
「ルミナ、この小型探査機にはどんな機能があるか調べられないか?爆発物満載じゃ、かなわんからな」
「はい、やってみます・・・これは!・・・」
「どうした?何かわかったのか?」
ハルトはルミナに質問する。しかしルミナから帰ってきた答えは予想外のものだ。
「ハルトさん・・・この探査機はタスケテの収納装置ではなく、元は有人小型宇宙船のようです。」
「なに!、タスケテの専用じゃないってことか?」
「はい、たぶん、タスケテは何らかの理由で中に入り込み、宇宙船代わりにして宙域をさまよっているんじゃないかしら」
ルミナは解析結果を見ながら説明する。
「この探査機には推進装置と通信機能はあるようです。ただし、インターワープの通過はできません。」
「じゃあなんでタスケテは助けを求めてるんだ?」
「ノバより、そんなことタスケテに聞かなきゃわかんないよ」
「ルミナより、そうなんだけど、助けて欲しいのに相手を攻撃してしまう、という自己矛盾を抱えているようです」
「変な奴だねえ」とノバ。
「そうか・・・でもなぜだ?」
「それはわかりませんが・・・子供だから、でしょうか。」
「ルミナへ、子供?、RAIにも子供がいるのかい?」
「ルミナより、そうですね、ノバの例もありますから」
「ルミ姉、ノバはお子ちゃまじゃないけど」
「おい、ノバ、そうやってすぐにむきになるあたり、お子ちゃまそのものだと思うけどな」
「ルミナより船長・・とノバ、どっちもどっちですよ」
「うーん・・・タスケテは学習不完全で成長していないRAIの可能性が高いんじゃないか?」
「ルミナより船長、その可能性はとても高いです」
「じゃあ、ノバの妹ってことで、どうかなあ」
ハルトは思いついたように言う。