#688 ソフィア様、よくおいでなさいました、相変わらずおきれいですね
#688
「こりゃ何時頃だ?」
「MA200頃かな」
それまで宇宙空間をオートパイロットにより当てもなく彷徨っていたフェニックス2号コンテナ部分が突然白色光に包まれ、やがて徐々に収束していく。
「ティアナ、ちょっと前で停めてくれ」
「じゃあ、戻してっと、ここかな?」
ティアナが停めたシーンにばっちり白っぽい人影が写っている。
「人影があるけど、ここは宇宙空間だよなあ」
ハルトがつぶやく。
「そうですね、生身の人には生存が難しい場所ですね」
「ということは・・・ソフィア様、まだその辺にいらっしゃるのでは?」
「まあ・・・その可能性は十分あるよなあ」
ハルトがそう言った瞬間、アリス工房に白い光が溢れる。
「じゃじゃーん、おっまったせえ・・」
厳かに現れたのは言わずと知れた我らの女神ソフィア様である。
「ソフィア様、よくおいでなさいました、相変わらずおきれいですね」
ハルトはそういうと、深く敬礼をする。その横でルミナも同じように敬礼をしている。
「おほほほ・・・楽にしていいわよ」
ソフィア様はそう言うと、二人とも敬礼を解く。
「ハルトさんとルミナさん、よくがんばったわね、その成果がそこに抱かれているレイちゃんよ」
女神様はそういいながら、レイの頭にそっと手を添える。
「ソフィア様、ありがとうございます」
「ハルトさん達には前に赤ちゃんがどうしてできないのかのヒントを授けたけど、わかってもらえたかしら?」
「はい、夫婦である自分とルミナはただお互いが好き同士であるだけでなく、尊重し高めあう仲であることをわかりあってから愛をかわしたところ、レイを授かることができました」
ハルトはソフィアに面と向かって、視線をそらさずに言う。
「ソフィア様のおかげでRAIである私と人であるハルトさんの間に愛の結晶であるレイを授かることができました、ありがとうございます」
ルミナはソフィアを見つめるハルトの熱い視線にちょっとやきもきしながら答える。




