#その68 よし、本宇宙船はインターワープ1を経由して、救援発信ポイントに向かう
#その68
「ハルト船長、これでピンポイントに特定できたと思うよ」
ノバが表示したモニタに表示される文字を見て驚く。そこには{ルクセイド星系}と書かれていたからだ。
「やっぱりここには惑星があったんだね。」
「今はないんでしょう。」
「でも、取り残された何かがタスケテ~って手の込んだメッセージを送ってきたってわけね」
ルミナとノバが意見をかわす。
「で、ハルト船長、もちろん、ここに行くんだよね。」
「ああ、ちょうど、アルメリアに行く途中だしね。寄らせてもらおうか。」
「ハルト船長、了解!」
操船室にルミナとノバの復唱する声が元気よく響く。
船内で話がまとまったところで、IWSインターワープステーション1よりステーション通過許可が届く。宇宙船ルミナはただちに4004番バースを離岸すると、指定の宙域に向かう。
その宙域は周囲を宇宙戦艦群に厳重に警戒されたワープポイントである。ワープステーションと名付けられているが、実体は解明されていないブラックホールの一種とされている。
ステーションと呼ばれるブラックホールに入り、決められたシーケンスで航行すれば、遠く離れた宙域のブラックホールに出現することができる、というのがIWSインターワープステーションの正体だ。
したがって、原理はわからないが、利用はできるので、特定の組織や国がここを占有することが絶対ないように厳重に出入りが監視されることになる。
航法ユニットはIWCを通過する際のIDとパスワードであり、通過中のシーケンスを司る文字通りのユニットなのだ。宇宙船ルミナでは航法ユニットはノバであるので、IWS通過中、ノバは本来の航法ユニットとしてしっかり働いてもらうことになる。
*インターワープ1航行
「よし、本宇宙船はインターワープ1を経由して、救援発信ポイントに向かう。総員、配置につけ。」
「ルミナ、準備完了です」
「ノバ、同じく準備完了だよ」
ルミナもノバも3Dビジョン化して、ハルトが座る船長席の隣に並んでたたずむ。
ブルーのジャンパースカートの下には白いブラウス、首にはおしゃれなスカーフを巻いている。同色のベレー帽をかぶって整列する姿は宇宙船ルミナのりっぱな乗組員だ。