#675 ぽーん、ようこそ、フェニックス2号ラブラブ仕様へ
#675
ハルトはそういうと、コンテナからブリッジに移動する。そして、ハルトは船長席、ルミナは副船長席に着席する。
「ぽーん、ようこそ、フェニックス2号ラブラブ仕様へ」
フェニックス2号のAIシステムが二人を迎え入れる。
「ぽーん、ハルトさん、ルミナさんをこの船のキャプテンと認識完了しました」
「じゃあ、エンジン始動、出発する」
ハルトは厳かにAIに命令する。
「ぽーん、本船は2日間アリス少佐がプログラムした経路で飛行します」
エンジンが始動したと思うと、カタパルトが即座に発射モードに入る。
「ぽーん、発射まであと3,2,1・・・発射!」
ぐいんと加速Gがハルトとルミナに加わり、フェニックス2号は宇宙空間に押し出される。しばらくは加速を続けて、どこかに向かってフェニックス2号は飛行する。
「ぽーん、本船は完全にオートクルーズに切り替わりました、ハルト様、ルミナ様は船室にお戻りください」
そして、ブリッジのモニタは全て消灯する。余計な情報は与えない設定らしい。
「さ、ルミナ、部屋にもどろうか?」
「はい、ハルトさん、そうしましょう」
ルミナはそういうと、自然な仕草でハルトの腕に手をからめる。
旗艦ルミナスほど広くないフェニックス2号のブリッジからアリス特製ルームの間には、わずかに外が見える透明チューブ状になったエリアが設けられている。
フェニックス2号には元々そんなおしゃれな装備はなかったはずなので、アリスが二人のために装着してくれたのであろう。その証拠に透明チューブには二人掛けのソファがいつの間にか用意されている。
「ルミナ、ここに座ろうか」
「はい、ハルトさん」
ハルトはルミナの腰を抱くようにして、ソファに並んで座る。
「それにしても、アリスってすごいね」
ルミナは改めて感心しながら、部屋を見渡す。ハルトもそれに同調する。
「ほんとだね、アリスのやつ、いつの間にこんなものを作ったんだか・・・」




