#674 じゃあ、ごゆっくりどうぞ、ハルト隊長にルミナ艦長♡
#674
「びっくりしてもらえたかなあ、この間まで作業に使っていたフェニックス2号を短期間で大改造して、熱々夫婦用デラックスクルーザーに改造するのに夢中になっちゃったよ」
フェニックス2号は元々レスキューメカを搭載したコンテナを用途に応じて差し替えて、出動する仕組みになっている。
そのコンテナ内部が改造されて、王族向けといってもおかしくないほどの仕様に仕上がっているのだ。
「ささ、早く二人で乗り込んで出発しちゃいなよ、これから48hたっぷり二人の時間が楽しめるようにしてあるから、期待してね」
アリスはそういうと、ルミナの肩を抱くようにして、フェニックス2号に連れ込む。ハルトはその後を追うようにして、内部に滑り込む。
「じゃーん、これが二人の部屋だよ」
そこはスイートルームと見まがうばかりの空間だった。
部屋のの中央にはソファセットとミニバーが設置されている。その奥には小さな机が置かれてあり、その横には引き出しのついたデスクがある。
また窓に面してカウンターテーブルも置かれてある。そのさらに奥の壁一面がクローゼットになっているという充実ぶりだ。
「奥の部屋にはキングサイズのベッドがあるからね」
「これをアリスが作ってくれたの?」
ハルトが尋ねる。
「そうだよーん、心を込めて作ったからね」
アリスはそういうと、ポケットからカギを出す。
「ベッドルームのカギだよ」
それはいわゆるカードキータイプの電子錠だ。それは結構洒落たデザインで高級感がある。
「フェニックス2号には二人しかいないんだけど、鍵がかかった方が、落ち着けるし、二人の部屋って感じがすると思って、用意させてもらいました」
アリスはそう言ってドヤ顔をすると、ルミナに鍵を渡す。
「じゃあ、ごゆっくりどうぞ、ハルト隊長にルミナ艦長♡」
アリスはそう言って鍵を渡すと、そそくさとフェニックス2号から退船する。ハルトとルミナはアリスを見送ると搭乗ハッチを閉める。
「行っちゃったね」
ルミナが言う。
「さあ、せっかくアリスの好意だ、遠慮なくいただこうじゃないか」




