#670 これからも、俺と一緒にエリシアとこの広い宇宙を守ろうな
#670
「でも、ハルトさんと結婚したから私はもう王女ではないし・・・」
ティアナはそう言って下を向いてしまう。そんなティアナをハルトはそっと抱き寄せる。
「なあ、ティアナ、俺と結婚したからってティアナがエリシアの姫様でなくなったわけじゃないだろうが」
「そうだよね、だから私ね、ハルトさんがスペースレスキュー隊フェニックスを創立して、この星にフェニックスベースを作ってくれたこと、とっても感謝しているんですよ」
ティアナはハルトの胸に顔をうずめて、幸せそうな横顔を見せる。
「これからも、俺と一緒にエリシアとこの広い宇宙を守ろうな」
「うん、ありがとっ」
ティアナはハルトを見上げて涙ぐむ瞳で尋ねる。
ティアナは珍しくそのままめそめそと泣き出してハルトにぎゅっとしがみつく。そんな
ティアナの頭をハルトは優しく撫でてやる。
「大丈夫だ、俺がずっと側にいるから」
ハルトはそういうと、ティアナを抱きしめる。
「うん・・・」
その時、ハルトとティアナが持つ端末から声が聞こえる。
「ハルトさん、ティアナ左夫人、お楽しみの最中ですが、そろそろ2日間というお約束の時間が迫っていますよ」
その声はもちろん、ルミナ右夫人、だ。
「ああ、ルミナ、連絡ありがとう」
「どういたしまして、ハルトさん、そろそろお迎えに参りますが・・」
「ルミナ右夫人、そりゃご丁寧にありがとう、ございますね」
ティアナは少々嫌味に答える。
「そうだな、来るときはティアロイドで来たけれど、大気圏離脱はできないから、フェニックスベースに戻ろうかどうしようか、考えていたところだったから、助かるよ」
「ティアナ、二日間ありがとな、楽しかったよ」
ハルトはティアナにそういうと、にかっと笑って、ティアナにちゅっとキスをする。
こんなことでティアナのむかつきは解消されてしまうのだから、単純なものだ。
その時、はるか上空できらりと何かが光ったと思うと、地上に向かって一条の光が伸びる。
「どどーん」




