#667 おっ、この部屋、{ティアナ王女の私室}って名前がついているぞ
#667
「おい・・・こんなところに仮にも王族が入って大丈夫なのか?」
「だいじょぶだいじょぶ、問題なし、だって私たち夫婦なんだからさ」
ティアナはそういうとハルトの腕をむんずとつかんで、ためらうハルトと引きずるようにしてラブホに平気で入っていく。
「なあ、ほんとにいいの?」
「もう、ハルトさんたら、変に真面目なんだから?」
外から見えなくするためなのか迷路のようになった入口の門をくぐると、無人の受付がある。そこには部屋の内部写真が貼ってあり、ボタンを押すとその部屋を選ぶことができる仕組みだ。
「ねえ、ハルトさん、どの部屋にしましょうか?」
ティアナはハルトの腰をがしっとつかむと、体を摺り寄せる。
「そうだな、おっ、この部屋、{ティアナ王女の私室}って名前がついているぞ」
「ああーっ、ティアナブランドの無断使用じゃん?」
「そういうことか?、まあここにしてみようじゃにないか」
ハルトはそういうと、ボタンを押す。
がこんと音がして、部屋の鍵が落ちてくる。ハルトは鍵を受け取ると、ティアナの手を握る。
「さあ、行こうか」
「はい、旦那様」
二人が選んだティアナの私室は302号室なので、3階だ。奥にあるエレベータに乗って、3階に向かう。
ハルトはなんとなく、落ち着かなくなり、ティアナから手を離し、気まずい時間が訪れる。ぴーんと音がしてエレベータの扉が開くと、廊下の向こうで302と書かれたぴかぴか光るプレートが見える。
ハルトはティアナの手を握ると、302号室に向かう。
「ここがそうね」
ティアナはそう言うと部屋の鍵を開けて中に入る。
室内は暗めの暖色系照明で照らされており、カップルが落ち着ける雰囲気を醸し出している。
「ティアナ・・・」
ハルトはティアナの名前をつぶやくと、ティアナをぎゅっと抱きしめる。そしてそのままベッドサイドに向かうと、今度はそのままキスをする。
「ハルトさん?」
「ティアナ、大好きだよ」




