#666 おい、ティアナ、お前って、けっこう人気があるんだな
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女性は感極まって、大きな声で泣き出す。そんな声が周囲の人々の関心を引き寄せる。
「おーい、王女様が、ティアナ姫様が無事だったぞー」
「ここにいらっしゃるぞー」
そんな様子を見てハルトは目を丸くする。
「おい、ティアナ、お前って、けっこう人気があるんだな」
「ハルトさん、それはいささか失礼ではござりませんかね、私、こう見えてもこの国のお姫様ですからね」
ティアナは周囲を気にしてか、怪しい言葉遣いでハルトに話しかける。
「ああっ、でも人がたくさん集まってきた、とりあえず、逃げるぞ」
ハルトはそういうと、ティアナの手を取って、立ち上がらせる、いきなり全速で走り始める。
「そうですね、レッツ、エスケープ!」
ティアナも脱兎のごとく走り始める。
こうなるとハルトの足ではとてもティアロイドにはかなわない。ハルトははあはあぜいぜい言いながら、ティアナの後を追う。
そういえば、お忍びの王女様と街で知り合い、恋に落ち、二人で逃げながらひと時の逢瀬を楽しむという映画が昔あったような?ハルトとティアナは走りまくって、街はずれ迄やってくる。
「ふう、ここまで来れば大丈夫かな」
ティアナはそう言うとハルトに声をかける。
「ねえ、ハルトさん」
そんなティアナにハルトは答える。
「はあはあ、なんだ?」
ティアナはにっこり微笑むと、ハルトに抱きつく、そしてそのままキスをする。
ハルトが周囲を見回すと、二人は比較的大きな建物の脇の狭い通路にいることがわかる。
「おい、ティアナ、こんなところにお城みたいな建築物があるんだな?これって王室のなんかか?」
ハルトが不思議に思ってティアナに尋ねる。
「ああっ、これ?ここはね、えへん、恋人たちが愛を確かめるためだけに存在するホテルなんだよね」
あっ、そうか、元世界でいうラブホなんだ、まさか惑星エリシアにもあるなんて、驚きだ。
「さあさあ、ハルトさん、ここにしばらく身を隠しましょう」




