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#663 決まってるじゃん、デートだよ、デート

#663


「執事殿、はじめまして、ハルト・アマギといいます。この国の姫様であるティアナさんの夫です、今後ともよろしくお願いいたします」


 ハルトはそういうと、ティアナの背中に手を回して、一緒にお辞儀をする。


「まあ、お嬢様が頭を下げられるとあっては仕方ないですな、不本意ではありますが、こちらこそよろしくお願いいたします」

 爺と他の使用人も揃って挨拶をする。


「ハルトさん、さあ、行きましょう」


 剣呑な雰囲気の中でハルトと使用人たちの顔合わせは終わったようで、ティアナはハルトの手を取って歩き出す。


「行きましょうって、どこへ行くんだ?」

「決まってるじゃん、デートだよ、デート」

 ティアナはそういうと今度はハルトの腕にしがみつく。


「おい、ティアナ、俺はエリシアに詳しくないぞ?」

「へへん、大丈夫だって、私に任せて!」

 ティアナはそういうとハルトをぐいぐい引っ張っていく。


「ハルト様・・・旦那様!」

 振り返ると執事の爺がハルトを呼び止める。


「な・・・なんでしょう?」

 また難しいことを言われるといやだなあと思いながらハルトは足を止める。


「お嬢様をよろしくお願いします」

 ハルトは思わず目をぱちくりしてしまう。まるで娘を嫁に出す父親のようだ。


「・・・はい」

「それと、姫様を泣かしたら承知しませんぞ」

 爺はそういうとハルトに一礼をする。そして他の使用人たちもそれに倣う。


「さあ、ハルトさん行こうよ!」

 そんな使用人たちの思いを知ってかも知らずにかティアナはハルトをぐいぐい引っ張る。


「爺、また後でね!」

「お嬢様・・・本当にお幸せそうですな・・・」


 執事の爺はそんな二人を見送ってからそうつぶやくと、他の使用人とともに仕事に戻っていく。


「ねえねえ、ハルトさん」

 ハルトはティアナに引っ張られてセレスタワーのエレベータに乗って地表階まで一気に降りる。


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