#659 へへん、重力コントローラ作動開始、大気圏突入用耐熱シールド展開!
#659
「ティアナ、プラズマレールには異常は認められない・・・っと」
「ハルトさん、いい感じだよ、もうじきオツキが見えてくるけど、寄る?」
「いや、今回はエリシアに直行でいいぞ」
「りょうっかーい!」
ティアナはそう言うと、さらに加速を続ける。
オツキの手前で進路を小惑星帯に変更する。この小惑星たちは以前にこのあたりでレスキュー活動を行った時にできた星々たちかもしれないな、なんてハルトは思う。
ティアナはそんなことは気にもしないで、そこも凄まじい速度で駆け抜ける。
「ハルトさん、間もなくエリシアの大気圏に突入するよー、アーユーレディ?」
大気圏突入を前にして、なぜかティアナのテンションは高い。
「おい、着陸場所を考えて、大気圏突入するんだぞ」
「ダイジョーブ、わーかってるて」
「ほんとうだろうな、それと突入角度大丈夫か?、燃え尽きるなんてしゃれにならんぞ」
ハルトの心配事は尽きないが、ティアロイドと一体化している以上は、まさに一蓮托生の状態だ。
「大丈夫、ダイジョーブ」
ティアナはそういうとさらに大気圏に突入し、惑星エリシアの重力を受けて加速する。ティアロイドは大気との摩擦で真っ赤になり、やがて炎をまとう。
「おい、ティアナ、そろそろ減速だ、暑くてかなわん」
「わかってるってー」
ティアナはそういうと、肩口から耐熱シールドを放出する。
「へへん、重力コントローラ作動開始、大気圏突入用耐熱シールド展開!」
シールドはティアロイドをいい具合に覆う。重力をコントロールすることで、比較的大きい惑星エリシアの重力加速度が弱まり、ティアロイドの対地表降下速度がぐっと下がる。
同時にティアロイドの表面温度は見事に下がり、惑星エリシアの大気温度に近づく。モニタに映る周囲の景色は真っ暗な宇宙空間から、うっすらと青みを帯びた大気の色、灼熱の赤、そして、美しい惑星エリシア地表に移り変わる。
「おっ、エリシアの地表が見えてきたぞ、おい、ティアナ、セレスタワーはどこだ?」
「うーん、ちょっとまってね」
モニタに惑星エリシアの地図と現在位置が表示される。
「あー、わからなくなっちゃよ、ハルトさん、ナビOK?」




