#658 ティアナ、ティアロイド、ビルドアップM!
#658
「ハルトさん、久しぶりにビルドアップよろ」
ティアナはそういうが早いか、ハルトを背後から抱きしめる、というか羽交い絞めにして叫ぶ。
「ティアナ、ティアロイド、ビルドアップM!」
ビルドアップMはハルト内部に収納することで一体化し、10mほどのバトロイドに変化する。
「おいおい、ビルドアップMは疲れるからやだとか言ってなかったか?」
「へへへ、でもハルトさんと一体化するにはこれが一番気持ちいいんだもんね」
ティアナはそう言いつつ、みるみるうちに体を巨体化する。ハルトはティアナの胸部に収納されて、パイロットシートに包まれる。
オールラウンドモニタが周囲の様子を鮮明に映し出す。ハルト自身もバトルスーツに包まれており、スーツを通して、ティアナと神経接続されることで、精神レベルで一体化するのだ。
「ハルトさん、準備いい?」
ティアナはそういうと、左舷デッキに装備されているカタパルトに足を乗せる。
「ティアロイド、発進どうぞ!」
旗艦ルミナスのオートマティック発艦管制が許可を出してくれる。
「ティアロイド、行きまーす!」
ティアナがそう宣言すると、カタパルトがティアロイドの巨体を宇宙空間に押し出す。ハヤトはオールラウンドモニタに映る周囲を確認しつつ、ティアナに話しかける。
「ティアナ、こうして二人で出発するのは久しぶりだな」
「ああ、ハルトさん、私の愛しい旦那様、2日間のデートを楽しみましょうね」
ティアナはウキウキしながらそういうと、背負っている宇宙空間用推進補助ブースターを全開にして加速を開始する。。
「よし、全速前進!」
ハルトはすかさず覚悟するが、すさまじいGが体にかかり思わずうめき声をあげる、決してよがり声ではない。
「う・・・く・・・」
「ああ、ごめん、ハルトさん、うれしくって・・・」
ティアナの巨体が加速する。強烈な加速ではあるが、ティアロイドと一体化したハヤトはティアナと感覚が共通になり、この加速感が徐々に心地よいものとなる、恐ろしいことではあるが。
ティアナは、敷設したばかりのプラズマレールの哨戒も兼ねているらしく、レールに沿って宇宙空間を切り裂いていく。
ハルトはオールラウンドモニタに映るプラズマレール周囲の宇宙空間をチェックしている。




