#その65 これって、あの話だよなあ。なんでこんなところで見れるんだ?
#その65
「あっ、あれはお星さまだよね?大きいねえ。」
ノバが指さす先には、地球から見た月が映し出されている。
「そうだな、あれは月というんだ、惑星でなくて地球の衛星だよ。」
「ねえ、船長さん!この投影機ってすごいね!」
3人はしばらくの間、投影機が映し出す星々の変化を楽しむ。しばらく楽しんでいると、突然地球と思われる惑星に彗星らしい別の星が衝突し、大爆発が起きてしまう。
「ねえハルト船長、この星に住んでいる人たちはどうなっちゃったんだろうねえ」
この光景を目にしたノバがつぶやくように言う。
この光景は実際に起こったことなのか、影絵の中の空想なのかもはや確認する手段がハルトにはない。実際に起こったことであっても1000年前のことなのだ。
ルミナとノバはその後も投影機にセットするカプセルをとっかえひっかえして映像を楽しむ。
「これ、すごいね。大昔にこんなことがあったのね」
ルミナが感心して見入っているのは、一隻の大型宇宙戦艦に搭乗する若者が主人公のお話だ。
公害で汚れてしまった自分たちの住む星を、きれいにしてくれる装置を、遠くの星に取りに行くために様々な冒険をするストーリーである。若者は旅の途中で美しい同僚と恋に落ちるのはお約束の展開だ。
「これって、あの話だよなあ。なんでこんなところで見れるんだ?」
アニメおたくのハルトはご多分に漏れず、転生前にはこのアニメを何度も見ている。
だが、ここは異世界宇宙で、自分は本当に宇宙船に乗っている。その上、その操船室でこの有名なアニメを見るって、なんのフラグなんだ?、と独り思いを巡らす。
「ねえ、ハルト船長!このお話ってすごいね!」
ノバはこのアニメを特に気に入ったようで、食い入るように真剣に見ている。
ノバは窮地に陥った宇宙戦艦が超強力な主砲をぶっぱなして、人類を救うシーンが気に入った様子だ。ルミナもそんなノバを見ながら言う。
「ねえ、ハルト船長、これって地球で流行ったお話なの?」
「うん?まあそうだな・・・アニメっていうんだけど、地球、特に日本の子供たちから大人までみんな知っているんじゃないかなあ・・・」
「へえ・・・そうなんだ」
宇宙船モノを見終わったノバは今度はロボットモノを見ている。